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遠隔転移の再発はがんが見つかった時から決まっている。
第4回 がんの再発予防の考え方でお伝えしましたが、遠隔転移の再発については、手術などの治療の後にがんが出来るわけではなくて、がんの発見時から転移があったかどうかが問題となります。
主治医が転移はありませんというのは、あくまでもCTやPET-CTなどに映るレベルの大きながんの転移がないという話でしかありません。
主治医はそれをよくわかっているので、手術で「見えているがんを全部取りました。」「手術は成功しました。」と言ったのにも関わらず、5年間経過観察を薦めてきます。
あれは目に見えないレベル、画像に映らないレベルでの取り残しや遠隔転移があるかもしれないと思っているからです。それを血液検査も含め現状の検査では見つけることが出来ないので、「5年間、がんが大きくなるのを待ちましょう」と言っているのです。
5年経ってみて、どこからも大きくなるがんが見つからなければ「5年前の手術の時に完治していました」ということを5年後に聞いたということになります。
逆に3年後に肝臓などから転移が見つかると「3年前の時にステージ1と言って手術をしたけれども、実は手術の前からステージが4だったんですね」ということが3年後に分かったということになります。
再発予防の考え方
よって、がんが再発しないように予防をするというのは、厳密にいうと予防ではなくて、「残っているだろう小さながんを小さいうちにあらかじめ治療しておこう」ということになります。
手術の後の抗がん剤についても同じで、残っているだろうがんに対して、がんが小さいうちに治療しておこうという考えです。がんが出来ないように抗がん剤をする訳ではありません。
ただ、本当にがんが残っているかどうかは5年経つまで分かりません。
なので、有るかどうか分からないがんに対して治療をしておこうという考えになります。
再発予防と抗がん剤
使うのは抗がん剤です。
抗がん剤は説明書を読むと劇薬、毒薬と書いてあります。
あの劇薬、毒薬を有るか無いか分からないがんに対して積極的に使うという訳にはいきません。がんが残っている可能性が高ければ、抗がん剤を使いましょうとなります。
がんが残っている可能性が低い場合は、「何もしないで5年待ちましょう」となります。それは決して大丈夫という訳ではありませんが、抗がん剤を使うリスクの方が高いという考えになります。
大丈夫ではないのであれば、残っているかもしれないがんに対して、何かあらかじめ治療をしたいと考えても、その場合は保険診療では出来ません。
保険以外の治療であればそういった制限なくできるのですが、今の主治医は保険診療以外の治療は絶対にしてくれません。混合診療が認められていないからです。
この様な理由から、残念ながら保険以外の治療をする場合は、主治医に内緒で違うクリニックにも通うということを行っている患者様が多いのが現状です。