膵臓がんとは

膵臓がん

膵臓がんは40歳ころから発症しはじめ、若干男性のほうが発症しやすい病気です。膵臓は胃の背中側にある臓器で、バナナのような形をしています。

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膵臓がんは2014年の報告ではがんと診断された人の中で全体の第5位にあたる、頻度の高い病気です。また2017年がんで死亡した人の中でも膵臓がんは全体の4番目に多い疾患でした。このように頻度の高い疾患でありながら、現在でも早期発見が難しい病気でもあり、基本的な治療である手術が可能な状態で病気を発見できるのは全体の20%程度と報告されています。

膵臓がんは定期的に健康診断や人間ドックを受けていたとしても早期の段階で見つけられないこともあり、検診を受けているから大丈夫というものでもありません。そのため、膵臓がんになりやすいのはどのような人なのか、どんな症状が出たら膵臓がんを疑って病院にかかったらよいのかということは普段から知っておく必要があります。

元気な方はどのようにすれば膵臓がんになりにくいのか、どうすれば膵臓がんを早期発見できるのかについて、膵臓がんと診断された人は膵臓がんとはどのような病気なのか、どんな検査をしてどのように治療していくのかについて、このサイトではそれぞれ細かく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

膵臓とは

膵臓は胃の背中側にある臓器で、バナナのような形をしています。膵臓の真ん中を主膵管という管が通っており、膵臓で作られた消化液である膵液が流れています。この管は膵臓の右側にある十二指腸に繋がっています。

膵臓はさまざまな物質を作って分泌する働きをしています。分泌の方法は外分泌と内分泌があります。膵臓が行っている外分泌は食べ物の消化に必要な酵素(アミラーゼ、リパーゼ、トリプシンなど)の入った膵液を作り、主膵管を通じて十二指腸に排出しています。膵液の流れが妨げられると消化液が足りなくなるため、便秘や下痢などの排便障害が現れたり、栄養をうまく吸収できないため体重が減少することもあります。膵液が適切に排出されず膵臓にたまると膵炎を起こすこともあり、この場合は腹痛や背部痛が現れます。

内分泌とは作ったホルモンを血管の中に分泌することで、膵臓には様々な内分泌細胞があり、糖尿病に関連するインスリンやグルカゴンなどを産生しています。

膵臓がんの主な原因と特徴について

膵臓がんの原因は1つではありませんが、膵臓がんになりやすい人の特徴はいくつか報告されています。

膵臓がんは40歳ころから発症しはじめ、若干男性のほうが発症しやすい病気です。糖尿病や慢性膵炎の人、そしてタバコを吸う人ではそうでない人と比較して膵臓がんになりやすいと報告されています。また、男性に限りますが、現在もしくは20歳の時にBMIが30以上の肥満の場合も膵臓がんになる危険性が増えます。

逆に男性に限ると禁煙により膵臓がんになる危険性が低下することもわかっています。そのほかに膵臓がんの一部は遺伝性疾患との関連もあります。

膵臓がんの分類や膵臓がんになりやすい人の特徴の詳細については「膵臓がんになりやすい人の特徴や原因リスクについて」をご覧ください。

膵臓がんの初期症状と診断方法

膵臓がんの早期発見が難しい理由の1つは初期には自覚症状が出ないことが多いためです。症状があっても、膵臓がん特有の症状というものはほとんどありません。

健康診断や人間ドックをきちんと受けていれば、もし膵臓がんになっても早期発見ができるかというと、そうとは限りません。膵臓がんを疑って検査をしていても、早期診断が難しい場合もあります。

そこで重要なのが、膵臓がんを疑う症状があるのに検査で異常がない場合は、異なる検査方法を行ったり、適切な間隔をあけて再検査を受けることになります。

膵臓がんの初期症状から診断までの流れ、検査にかかる費用についての詳細は「膵臓がんの初期症状と検査方法、検診に掛かる費用とは」で紹介しています。

膵臓がんのステージ別生存率

膵臓がんには浸潤性膵管がん、膵腺房細胞がん、腫瘍性膵のう胞、そして神経内分泌腫瘍などがあります。

また進行度を示すステージ分類には日本膵臓学会が定めた分類と、国際的に決められたUICC分類があります。ステージは0から4まであり、数字が大きくなればなるほど病気のひろがりが広いことを示しています。

生存率とは病気ごとの治療効果を表現するための数値で、一般的には5年後の生存率を表す「5年生存率」が使われています。5年生存率は100%に近いほど治療効果の高い病気ということになります。

主要な膵臓がんの種類、ステージはどのように決められるのか、そして平均余命、罹患者数や死亡数の推移、末期膵臓がんの症状やケアについては「膵臓がんのステージ別生存率と平均余命」をご覧ください。

治療と副作用

膵臓がんの一般的な治療法は進行度を示すステージ別に決められます。膵臓がんの基本的な治療は手術、抗がん剤、放射線療法です。場合によっては2つ以上の治療を同時に組み合わせて行います。実際にはステージ以外に年齢や体力、基礎疾患なども考慮して治療方針は決定されます。

病院で治療方針の説明を受けるときには、自分の病気はどの範囲にあって、なぜその治療法がよいのか、その治療のメリットとデメリット、その治療以外の選択肢があるのかないのかを聞くことが重要です。

膵臓がんの治療とその副作用については「膵臓がん治療と副作用について」をご覧ください。

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膵臓がんは手術を行っても再発率の高い病気であり、治療後も継続して検査や別の治療を受ける必要が多い病気です。そして病院によっては設備や医師の技術などにより異なった治療が提案されることもあります。そのため場合によっては、ある病院の治療方針に不安がある場合はセカンドオピニオンなどで別の病院の医師の意見を聞いてみるとよいかもしれません。

どの病院で相談したらいいか、ということの1つの目安に、その病院はどのくらいの膵臓がんの患者を診ているのか、ということが参考になります。そんな時に参考になるのはDPCデータです。厚生労働省が集計しているDPCデータでは入院患者の主な病名や行った治療などが公表されており、その数で膵臓がん患者をどのくらいみているか推測することができます。

詳細は「手術数で分かる膵臓がんの名医がいる病院ランキングトップ10」で実際のランキングや数字を載せていますので、参考にしてください。

春田 萌

日本内科学会総合内科専門医・日本消化器内視鏡学会専門医