第7回 治療方法がありませんと言われたら。

第7回 治療方法がありませんと言われたら。

竹内 規夫

がんメディカルサービス株式会社 代表取締役

「第6回 がんが再発してしまったら」でがん難民の話をお伝えしました。

本当に治療方法がないのか

「こんなのに医療が進んでいるのに本当に治療方法がないのか」と誰もが思います。

保険診療の先生が言うところの治療方法がありませんという言葉は、基本的には「国がお金を負担してくれる保険診療の範囲では治療方法がありません」ということになります。

そして合わせて「この病院では保険診療以外の治療は絶対にしません」という宣言になります(混合診療は禁止されているので今まで治療していた病院では出来ません)。それはがんセンターを含め、保険診療を行っている病院と名のつくところすべて同じ話です。よって保険診療をやっている病院では保険外診療のメニューそのものがありません。

しかし、保険以外の治療を含めるとまだまだ治療方法が存在します。

「自分でやれないにしてもそういった治療を紹介してくれたら良いのに」と患者様は思います。

医師の立場としてみたら「国が認可していない自分が知らない治療で、自分の知らないどっかの誰かがやる治療に対して関わりたくない」のが現状です。

それよりも治療方法がないのに居座ろうとする患者様を追い出すことに必死です。このまま入院を続けてもベッド代くらいしかお金が取れず、病院としては大赤字です。入院をしないで通院だったとしても、治療方法が無い訳ですから、来てもらっても何も出来ない訳です。

お互いの為にも患者様には今の病院から出て行ってほしいという風になります。

なので、基本的には「治療方法がありません」と言われたら、保険以外で治療方法があったとしても(保険外診療を受けるとしても)保険診療では治療を諦めるという選択になります。
緩和ケア科がある大きな病院であれば緩和ケア科に移るということも出来ますが、がん治療は一切しません。緩和ケア科がない病院であれば、近くのホスピスに行くか、訪問医療を選択して在宅ということになります。ホスピスや在宅医療もがん治療は一切しません。対処療法のみの治療となります。

対処療法のみなので、症状がないと何もしません。ただ、何かあったときに連絡できる主治医の先生がいないと心配なので、ホスピスや在宅の先生に主治医になってもらうという流れになります。

目次

治験

治験は保険診療で「治療方法がありません」となった後に、保険診療の先生が薦めてくれる可能性がある唯一の治療です。もちろん治療方法がある場合でも、治験は出来ます。
治療方法がないと言われた場合、例外なくステージ4だと思うので、治験に入る場合も全身治療の治験に入るということになります。
重粒子線や光免疫治療のような局所治療の治験が仮にあったとしても、その状態では治験に参加することが出来ません。

今の全身治療の治験は分子標的薬という抗がん剤が中心になります。

分子標的薬とは、自身のがんの遺伝子の突然変異を調べて、ターゲットとなるたんぱく質の発現が認められるとそのたんぱく質をターゲットとして使える抗がん剤ということになります。ターゲットとなるたんぱく質がなければ、その治療は使えないということになります。

ターゲットとするたんぱく質を標的としているので、普通細胞に与えるダメージは少ないです。しかし、仮にターゲットとするたんぱく質が陽性で分子標的薬が使えるとなった場合においても、自身のがん細胞すべてにターゲットとなるたんぱく質があるというのは考えられないです。ゆえに、その分子標的薬が届かないがんが存在することになり、その分子標的薬が凄くよく効いてがんがほとんど見えなくなったとしても、理論的には必ずがんが残るという話になります。

なので、治験に参加出来たとしても半年後にはやはり「治療方法はありません」ということになってしまいます。もしくは、がんが消えたように見えたけれどもまた再発が起きるということになります。

ゲノム医療

プレシジョン・メディシン、遺伝子パネル検査などとも言われていますが、これに関しては保険で対応出来ます。

ただ、誰でも出来る訳ではなくて、基本的には保険で決められた治療方法を全部行って、治療方法が無い状態で、かつ元気な人(PS0~1)が対象です。元気でないと受けられません。

これも違う日に詳しく書くつもりですが、簡単に説明すると自身のがんの遺伝子検査をして100種類以上の国が指定しているターゲットとなるたんぱく質の突然変異を調べて、そのターゲットとなるたんぱく質に対応する分子標的薬が見つかれば、その分子標的薬を使おうという取り組みです。

あくまでも使うのは抗がん剤です。

よって白血球が下がって骨髄抑制が起きていたり、間質性の肺炎が起きて抗がん剤が使えない人は同じようにゲノム医療も出来ないということになります。

遺伝子検査は保険診療になりますが、遺伝子パネル検査で適応になった抗がん剤は自由診療となります。分子標的薬の自由診療となると莫大なお金がかかることになるので、基本的には遺伝子検査を保険診療でして、見つかった治療薬の治験に参加するということになります。治験は無料です。

なので、遺伝子の突然変異が見つかってもそれに対応する治験がない場合がほとんどで、現状だと12%ぐらいの人にしか使える抗がん剤が見つかっていません。

がん保険などでこの自由診療に対応する新しい商品なども出ているので、大きくがん治療が変わったこのタイミングで、がん保険を見直すのも良いと思います。

保険外診療

保険診療以外の治療方法も含めると治療方法が一気に広がります。

ただ、いろいろ問題も多いので注意が必要です。
これについては次回、詳しくお伝えします。

竹内 規夫

がんメディカルサービス株式会社 代表取締役

がん相談実績20,000件以上の実績を誇る、がん治療コンサルタント。
メディアにも多く取り上げられ、「産経ニュース」、「賢者グローバル」、「医療最前線」(千葉テレビ)、「AERA」(朝日新聞出版)、「FLASH」(光文社)、「現代ビジネス」(講談社)など出演多数。

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