食道がんとは

食道がん

食道はのどと胃をつなぐ管状の臓器です。食道がんは40歳を過ぎると発症者数が増え、男女比では男性が女性の約7倍発症するという特徴があります。

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口から飲みこんだ食事を胃へと運ぶ食道はのどから胸を通ってお腹にまでいたる臓器です。食道の壁は薄く、周りには心臓や肺、大血管や神経などがあり、食道がんは容易に転移・浸潤します。

食道がんは全体のがんの中ではそれほど多い病気ではありませんが、増加傾向にあります。また治療の選択肢が多く、手術であっても内科が担当する胃カメラの治療から外科が担当する開胸手術まで幅が広く、さらに抗がん剤や放射線療法を組み合わせるため複雑になっています。

食道がんは男性に多く、飲酒や喫煙で発生率が上がると報告されています。日本人ではほとんどが扁平上皮がんのタイプですが、欧米で多い腺がんタイプも増えつつあります。

食道がんの初期には症状がほとんどなく、早期発見には検診が有効です。食道がんを見つける検査は主に胃カメラとバリウムの検査です。

元気な方はどのようにすれば食道がんになりにくいのか、どうすれば食道がんを早期発見できるのかについて、食道がんと診断された人は食道がんとはどのような病気なのか、どんな検査をしてどのように治療していくのかについて、このページではそれぞれ細かく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

食道とは

食道はのどと胃をつなぐ管状の臓器で、口から入った食事を胃に運ぶ役目をしています。食道の粘膜はとても薄く、粘膜、粘膜下層、固有筋層、外膜の4層になっており、がんは内側の粘膜から発生して外へひろがっていきます。食道は左右の肺の間にある縦隔(じゅうかく)という部分を通っていますが、縦隔にはそのほかに大動脈や気管など重要な臓器があります。

食道がんの主な原因と特徴について

食道がんは40歳を過ぎると発症者数が増え、男女比では男性が女性の約7倍発症するという特徴があります。日本人の約9割が扁平上皮タイプの食道がんを発症し、その発生には喫煙と飲酒が関係しています。そのほかに腺がんタイプの食道がんがあり、こちらは割合的には少ないものの肥満や食事の欧米化により増加傾向にあります。

初期の食道がんは症状が出ることが少ないため、早期発見には検診などの検査が必要です。

「食道がんになりやすい人の特徴や原因リスクについて」では、どのような人が食道がんになりやすいのか、どうすれば食道がんを予防できるのかについて紹介しています。

食道がんの初期症状と診断方法

食道がんには初期症状がほとんどないため、症状が現れる頃にはかなり病状が進んでいることがあります。進行すれば食べ物が胸にしみたり、胸でつかえる感じがします。食道の周囲には気管や声を出す神経なども存在しており、がんに巻き込まれると咳が出たり声がかすれたりすることもあります。

住民健診で食道を調べる検査はバリウム検査や胃カメラです。これらの検査は胃がん検診として行われている検査ですが、検査範囲に食道も含まれています。食道がんが疑われたら、確定診断となる病理検査や、病気のひろがりを判定する超音波内視鏡、CTやMRI等の検査を行ないます。

食道がんの初期症状から診断までの流れ、検査にかかる費用についての詳細は「食道がんの初期症状と検査方法、検診に掛かる費用とは」で紹介しています。

食道がんのステージ別生存率

食道がんは患者数も死亡者数も年々増加傾向にある疾患です。当然食道がんの治療も進歩していますが、それぞれのがんで治療効果を比較するために用いられているのが5年相対生存率です。その病気でない人と比較してその病気の人が5年後に生存している割合を表す数字で、100%に近いほど治療効果の得られやすい病気、ということになります。

がんのひろがり具合の表現にステージ(進行度)があります。食道がんの場合は0から4までがあり、通常は数字が大きいほど病気がひろがっていることを意味します。当然ステージが進むほど5年相対生存率は低下します。がん全体の5年生存率は男性で62.0%、女性で66.9%、全体では64.1%ですが、食道がん全体の5年生存率はそれと比較して低い数字になっています。

その他に病気の経過を別に表現した平均余命という数字があります。これは100人がその病気になったときに半分の50人が亡くなる時期を示したものです。

食道がんの末期では食道を食べ物が通らなくなり、水分もつかえるようになります。そのほかに声がかすれたり、肺にまで病気がひろがると咳や胸水貯留などがみられるようになります。

食道がんの種類、食道がんのステージはどのように決められるのか、そして平均余命、罹患者数や死亡数の推移、末期食道がんの症状やケアについては「食道がんのステージ別生存率と平均余命」をご覧ください。

治療と副作用

食道がんには手術、抗がん剤、放射線治療などの治療方法があります。

食道は壁が薄く、周囲には心臓や肺、大血管や気管など重要な臓器があり、早い段階から転移・浸潤しやすい疾患です。さらに食道はのど、胸、腹部にまたがる臓器であり、手術の場合、病気の位置によっては広範囲に切る必要があります。

通常の手術では手術時間も長く、体の負担も多い治療になるため、条件によっては体の負担の少ない胸腔鏡や腹腔鏡、縦隔鏡を用いた手術などもできる病院が増えています。これらの治療の対象になるかどうかは全身状態や病気の位置、進行度、そしてその病院の設備などによって異なります。それぞれの手術方法にはメリット・デメリットがあるため、十分な検討が必要です。

手術できない範囲にがん細胞がひろがっている可能性がある場合には化学放射線療法と呼ばれる、抗がん剤と放射線療法を組み合わせた治療が行われます。

その他に、再発した食道がんには、適応は限られますがサルベージ手術や、体の負担の少ない光線力学療法(PDT)などが行われています。さらに現在、免疫チェックポイント阻害薬の臨床試験が進行中です。

それぞれの治療にはメリットとデメリットがあります。基本な治療の目的はがんを完全に体から消し去ることですが、食道の一部を切り取ったり胃や腸の一部を切る手術によって、その後の食生活が大きく変わることもあります。のどを含む手術では声を出すことができなくなったり、呼吸をするための管をのどに取り付けて生活する場合もあります。治療方法の選択は治療後の生活も含めて考える必要があります。

食道がんの治療とその副作用の詳細については「食道がん治療と副作用について」をご覧ください。

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食道は頚部、胸部、腹部にまたがる臓器で、かつ食道がんの治療方法は手術、抗がん剤、放射線療法などがあり、治療方針を決定するにも内科、外科、放射線科などが相談し、多くの治療方法から最適なものを選択しなければなりません。しかし食道がんは他のがんと比較して患者数はそれほど多くなく、食道がんの治療経験が少ない病院も数多くあります。後悔しない選択をするためには食道がんの治療を多く行っている病院で相談することも1つの方法です。

では、どのようにして食道がんを多く診ている病院を探せばいいのでしょうか。参考になる1つのデータは厚生労働省が発表しているDPCデータです。DPCとは病名や治療ごとに決められた医療費の定額支払い制度で、大きな病院は厚生労働省に毎年患者数を報告しています。食道がんの患者や手術数を見れば、ある程度その病院が食道がんの治療経験を推測することができます。

「手術数で分かる食道がんの名医がいる病院ランキングトップ10」では実際のランキングや手術の数を載せています。そのほかに病院選びの際のポイントも載せましたので、参考にしてみてください。

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春田 萌

日本内科学会総合内科専門医・日本消化器内視鏡学会専門医