乳がんとは

乳がん

乳がんは30歳台の女性から増加し、45~55歳程度がピークでその後減少します。乳がんの10-20人に1人は遺伝子が関係していると報告されています。

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乳がんは女性の罹患者数が最も多いがんです。30歳から罹患者数が増え、ごく稀ですが男性でも乳がんを発症することがあります。

乳がんにはいろいろな種類があり、中には検診では発見できないタイプの病気もあるので、注意が必要です。乳がんの治療方針は、他のがんと異なり、進行度(ステージ)だけではなく、細胞の種類や病変の受容体の有無も考慮して決定されます。
乳がんの一部は遺伝が関与していると考えられます。また生活習慣や女性ホルモンの分泌量などにより乳がんのなりやすさが異なると報告されています。
乳がんの発症数は年々増えていますが、死亡者数の増加は発症者数ほど増加していません。それは乳がん検診の受診率が少しずつ増えていることや、セルフチェックの啓蒙活動、そして乳がん治療の進歩が関していると考えられます。

1生涯で女性の10人に1人が発症すると報告されている乳がん。元気な方はどのようにすれば乳がんになりにくいのか、どうすれば乳がんを早期発見できるのかについて、乳がんと診断された人は乳がんとはどのような病気なのか、どんな検査をしてどのように治療していくのかについて、このサイトではそれぞれ細かく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

乳房とは

乳房は胸の左右にあり、母乳を作る小葉とそれを乳頭まで運ぶ乳管があります。乳房の主な役割は乳汁を作ることです。

乳がんの主な原因と特徴について

乳がんは30歳台の女性から増加し、45~55歳程度がピークでその後減少します。
乳がんの10-20人に1人は遺伝子が関係していると報告されています。そのほかに乳がんの発症には女性ホルモンの累積分泌量やBMI、飲酒、乳製品などとの関係も報告されています。逆に大豆製品には乳がんの発症を予防する可能性が報告されています。
乳がんの早期発見には検診を受けるだけでなく、セルフチェックが大切です。そのためには自分が乳がんになりやすい体質かどうかを知っておくことが重要です。

乳がんの分類や乳がんになりやすい人の特徴、そして乳がん予防の詳細については「乳がんになりやすい人の特徴や原因リスクについて」をご覧ください。

乳がんの初期症状と診断方法

乳がんの初期症状は人によって異なります。早くから症状が現れることもあれば、進行するまで症状がない場合もあります。乳がんに特徴的な症状としては乳房のしこりや赤み、痛み、乳頭からの分泌物などがあります。
症状がある場合はもちろん、第1部で乳がんになりやすい体質と判明した場合には、無症状でもセルフチェックを定期的に行い、検診も受けることが早期発見につながります。

一般的に乳がんの検診として行われているのは、マンモグラフィと超音波検査です。検査はどちらかを受ければよいというものではなく、それぞれの検査には良い点と悪い点があります。それぞれの長所を組み合わせたり、場合によっては人間ドックのオプションとして行われている乳房専用PET(マンモPET・PEM)
などを組み合わせることも考えましょう。

乳がんの疑いがある場合は細胞診や組織診で病変の一部をとって、顕微鏡で見る検査を行います。乳がんと診断されれば、病気のひろがりを見るための検査を行います。

乳がんの初期症状から診断までの流れ、検査にかかる費用についての詳細は「乳がんの初期症状と検査方法、検診に掛かる費用とは」で紹介しています。

乳がんのステージ別生存率

乳がんの患者数は年々増加傾向にあり、それにつれて死亡数も増加していますが、患者数と死亡数を比較すると患者数の増加に比べて死亡数の増加はゆるかやかになっています。つまりは乳がんは発症しても予後は決して悪いものとは限らず、逆の言い方をすれば長く付き合う病気、とも言えます。

一般的にがんはステージによって治療方針を決定しますが、乳がんの場合には細胞の種類や受容体の有無によっても治療方針が異なります。そのため、他のがんと比較して治療方針は多彩になっています。
基本的な治療は
ステージ0:手術
ステージ1、2:(場合によっては術前に薬物療法を行なって)手術
ステージ3:薬物療法(場合によってその後手術)
ステージ4:薬物療法
となります。

乳がんの進行度はステージ0から4までの5段階に分かれています。病変の広がりが領域リンパ節までの場合は、がん全体の5年生存率と比較してよい成績になっています。また、乳がんの平均余命も他のがんと比較すると長くなっています。

主要な乳がんの種類、ステージはどのように決められるのか、そして平均余命、罹患者数や死亡数の推移、末期乳がんの症状やケアについては「乳がんのステージ別生存率と平均余命」をご覧ください。

治療と副作用

乳がんの治療方法には手術、薬物療法(抗がん剤・ホルモン療法・分子標的薬)、放射線療法などがありますが、基本的には手術か薬物療法ということになります。

手術には乳房部分切除術と乳房切除術があります。また、乳房切除術の場合、希望すれば乳房再建術も行われます。
乳がんの手術に特異的な後遺症としては、腋窩リンパ節も併せて切除した場合に起きる腕や肩の動作制限や異常感覚、浮腫などがあります。

乳がんの薬物療法には抗がん剤とホルモン療法、分子標的薬があります。これらのどれを行うかはそのがんがどのような受容体をもっているかによって決められます。

そのほかの乳がん治療としては経皮的局所療法として経皮的凍結療法とラジオ波焼灼術があります。

乳がんの治療とその副作用の詳細については「乳がん治療と副作用について」をご覧ください。

全国の病院ランキングトップ10

乳がんの治療は多彩です。病気のひろがり具合だけでなく、細胞の種類や受容体の有無、また手術の場合は乳房再建の有無などによりその人に合った治療方針を決める必要があります。しかし、すべての病院がすべての治療を行えるわけではありません。また、乳がんは治療後も再発のチェックなどで長く付き合う病気になる事が多く、長い目で治療方法を選択する必要があります。

病気の治療方針を決定するには、できれば乳がん治療の経験が豊富な病院で行われることが理想です。どの病院が乳がんの患者を多く見ているか、を推測する1つの目安に、乳がんの手術数があります。乳がんの手術数は厚生労働省が集計しているDPCデータで報告されています。

「手術数で分かる乳がんの名医がいる病院ランキングトップ10」では実際の手術数のランキングや、病院を決める際のポイントを紹介していますので、病院選びの参考にしていただければと思います。

平成28年国民生活基礎調査の概況(がん検診受診率の推移)
がん情報サービス | 最新がん統計
参照日:2020年9月

春田 萌

日本内科学会総合内科専門医・日本消化器内視鏡学会専門医