今回は「がんが再発してしまったら」についてお話したいと思います。
目次
再発の種類
「第4回 がんの再発予防の考え方」で詳しくお伝えしましたが、再発には局所再発と遠隔転移の2種類あります。
局所再発とは手術などの治療の取り残しや大腸などを切り取って縫い合わせた接合部分に手術で使ったメスなどに付着していたがん細胞の接触によって、不幸にも残ってしまったがんが大きくなって画像検査などで見つかる場合の再発です。
遠隔転移の再発とは、リンパや他臓器にもともと転移があったけれども、手術前の検査ではそれが小さくて見つからなかったのが大きくなって見つかることを言います。
局所再発の場合
局所的な再発の場合、血管やリンパにがんが入って全身に転移があることが確定している訳ではないので、がんが局所的に留まっている可能性が十分にあります。
他の臓器などに転移していないのであれば、局所的に再発したがんをもう一度きちんと取り除けば、完治の可能性はあります。
ただし、前回の手術の時にこの辺りまでがんが広がっているかもしれないと見えないくらい小さながんまで想定して、がんの周辺部分をごっそり手術で取り除いています。
それにも関わらずがんが局所再発したということは想定以上にがんが広がっていたということになるので、遠隔の転移がまだ見つかっていないけれども遠隔の転移があるかもしれない可能性は初めの手術の時よりも高いということになると思います。
局所的な再発に関する治療もはじめの時と同様に手術や放射線などの局所的な治療方法を選ぶということになります。
もしどうしても取り残しの可能性を減らしたいのであれば、もう一度手術を選びますが、取り残しの可能性が高かったとしてももう体を傷つけたくないと考えるのであれば、重粒子線などの放射線なども選択肢の1つになり得ます。
年齢や体力なども考えて治療を選ぶということになります。
遠隔転移の再発の場合
遠隔転移の再発に関しては手術の前から決まっているということを書きました。(「第5回 「遠隔転移の再発はがんが見つかった時から決まっている。」)
なので、初めの治療の時に手術を選ぼうが、放射線を選ぼうが、どの治療を選ぼうが遠隔転移の再発に関しては関係ない話になります。よって手術の失敗でもないのです。
そして1つでも他臓器に転移が見つかれば全身に転移しているだろうということが前提になります。治療に関しては手術や放射線のような局所的な治療ではなく、全身にする治療を中心にやっていこうということになります。
手術、放射線については、転移先のがんをすべて取り切れるかもしれないとの判断の場合は行った方がよい場合もありますが、基本的にはしない方が良いという判断になることが多いです(原発のがん種によって考え方が変わります)。
抗がん剤を使った全身治療
保険診療で全身治療となると、ほとんどが抗がん剤治療ということになります。
抗がん剤の種類や使う順番は、基本的にがん毎に全国統一で決まっています。
Aというがんであれば、初めにBかCの抗がん剤を使いなさいと決まっています。がんはすごく賢いので、そのBという薬であろうがCという薬であろうが、大体3か月から半年で、がんが薬に対して耐性を持って来ます。
がんがその薬に対して耐性を持つと同じ薬は自分のがんには効かないと考えます。
よって、はじめにBという薬を使った人は、次にCという薬を使います。初めにCという薬を使った人は、次にBという薬を使います。
それも3か月から半年で効かなくなってくるので、その後はDかEという薬を使いましょうとなります。
大体、2種類か3種類の薬を変えて使うとその後の薬については、使うメリットよりも使わないメリットの方が高いという考えになり、治療方法がありませんとなります。
これは初めからステージ4となった人も同じです。
この抗がん剤の流れは「がんの診療ガイドライン」でマニュアル化されています。
それはがんセンターだろうが大学病院だろうが、地方の総合病院だろうが同じです。全く同じマニュアルを見て抗がん剤を決めているのですから、ガイドライン通り治療をしている病院であれば、同じ内容です。
よって、今の主治医の先生が治療方法はありませんと言うと、がんセンターや大学病院も同じマニュアルを見ているので治療方法がありませんとなります。
大学病院やがんセンターは特別な治療をするところではない
よくがんセンターとか大学病院では、世界中の論文などをみて自分にあった特別な治療をしているところと勘違いする人が多いです。
まったく違います。むしろ真逆です。
がんセンターや大学病院などは国や学会が定めた「診療ガイドライン」を必ず守る病院です。
ガイドラインを守る模範となるべき病院です。他の病院が「ガイドライン」を守るように模範とならなければならない病院が、自分たちだけ特別な治療を行うということはあり得ないです。
今の主治医が「治療方法がありません」と言ったら、がんセンターや大学病院にセカンドオピニオンに行っても、同じガイドラインを使っているので「治療方法がありません」となります。
まあ、今の主治医がガイドラインをきちんと順守していることが前提となりますが・・・。
再発時のがんの大きさ
ほとんどの再発は定期健診中に見つかります。よって、1センチ前後の状態で見つかるのが普通です。
5年間の経過観察中は3か月や半年に1度検診を行っている訳ですから、再発が2センチ、3センチの大きさで見つかる可能性は極めて低いです。
もしその大きさで再発が見つかった場合はよっぽど進行速度が速いか、手術前の検査での見落としがあったと考えることになります。
そんなに進行速度が速いがんの場合は発見時からステージ4の場合がほとんどでしょうから、“手術を行ったことによって転移巣のがんが急に大きくなった”か“手術前の検査で見落とした”かのどちらかだと思います。
がん難民
1センチ前後でがんの再発が見つかった場合、普通は自覚症状が出ません。
よって健常者と変わらない生活を営んでいると思います。まったく自覚症状がない状態で抗がん剤のような辛い治療をするということに抵抗がある人も多いですが、自覚症状が出ないように治療をしようと考えるので、自覚症状が出ているかどうかは治療には関係がありません。
その自覚症状がないほど元気な状態で、1センチの再発に対して抗がん剤を行います。
多くのがん種で用意されている抗がん剤はおおよそ2~3種類です。
1つの抗がん剤が大体3か月~半年でがんが耐性をもつことが多いので、1年半から2年で「治療方法がありません」となります。
もし抗がん剤が効いていたのであれば、治療を受ける前より元気になっていたいところです。
全く自覚症状がない元気な状態から抗がん剤を2年近く行って、「治療方法がありません」と言われます。
まだ仕事やゴルフに行けるくらい元気であっても関係なく治療がないと言われます。
仮に寝たきりになっていた場合は死を受け入れることも出来るかもしれませんが(それでも出来ない人が大半だと思いますが)、まだまだ元気で体力もあるのに「使える薬がありません」となったとしたら納得出来ないのが普通だと思います。
まだまだ治療をする体力があるのに治療方法が無いと言われて治療を探している患者様のことを「がん難民」といいます。
全国に60万人近くいると言われて社会現象にもなっています。
同じ思いをしている患者様が全国にたくさんいるので、弊社に問い合わせが集中しているのだと思います。
そういった患者様が望んでいる治療を受けられるような社会が来ればよいと思っています。
そのために弊社はいろいろな取り組みを考えているところです。
次回は「第6回 治療方法がありませんと言われたら。」をお伝えしたいと思います。