第1回 がんかもしれないと思ったら

第1回 がんかもしれないと思ったら

がんメディカルサービスのがんの無料相談でがんの治療に関するご相談を2万件以上受けて来ました。患者様の相談内容は「がんかもしれない」という悩みから「もう治療方法がない」と言われたという悩みまで様々です。

弊社でのがん相談は基本治療方法についてなので、「がんかもしれない」という場合は基本的にはご相談に乗れないということになるのですが、悩みを持っている人が想像以上に多いのでそのあたりについてお話したいと思います。

基本的に「がんかもしれない」という人は大きく分けて2種類あります。

1つ目は「自覚症状はないけれども健康診断などで腫瘍が見つかった人」
2つ目は「何かしらの自覚症状が出ているのだけれどもまだがんが確定していない人」

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目次

がんを確定するには病理検査以外にない

前者の健康診断で腫瘍が見つかった場合は、基本的にはまだその腫瘍ががんだと確定したわけではありません。まずは腫瘍が良性なのか悪性(がん)なのか決める必要があります。

その腫瘍が良性なのかがんなのかを決める検査のことを病理検査といいます。確定診断とも呼ばれています。がんを確定するのは主治医の先生ではなく、病理医という先生ということになります。画像診断だけでは主治医の先生は基本的にはがんかもしれないということしか言えないということになります。

病理検査とは腫瘍の一部の細胞をとってきて、病理医というお医者様が顕微鏡でがんの悪性度をクラス分けして5段階に分ける検査のことを言います(10段階の場合もあります)。クラス1だと良性、クラス5だと悪性(がん)だということになります。クラス2~4という腫瘍は境界性悪性腫瘍であったり、異形成という腫瘍ということになります。

この病理検査を行う病理医というお医者様は日本全国にそんなにいません。なので、病理検査はたいていの病院で外注になります。患者様から採取した腫瘍の一部を郵送して、病理検査をしてもらい郵送で返してもらうので2週間近くかかります。がんであろうと良性であろうと2週間かかります。「2週間かかるから重いがんに違いない」と思って電話をくださる方がいますが、2週間かかることそのものは問題にはなりません。

この病理検査には合併症などのリスクが伴います。なのでがんの可能性が高い腫瘍は病理検査にかけるのですが、がんの可能性が低いと経過観察となります。3~6か月期間をおいてもう一度画像検査をして、腫瘍が大きくなっていたらがんかもしれない可能性が高いと考えるので病理検査となります。腫瘍の大きさが変わらなければがんの可能性が低いのでさらに経過観察となります。ただ病理検査でがんという診断は下せてもがんではないという診断は下せないので、がんという診断をされなかったとしてもがんの疑いは晴れないのでずっと経過観察です。

経過観察は期間を開けないと意味がない

がんかもしれないのに3~6か月も経過観察をすることを心配で電話下さる方がいます。経過観察を選んだ場合、腫瘍が大きくなったかどうかを調べたいので、どうしても期間が必要となります。1~2か月くらいだと大きさの変化が分かりません。むしろ期間を開けないとダメだということになります。
がんかどうかを確定するには病理検査以外にはありません。なので、経過観察がどうしても心配であれば合併症などのリスクを承知で病理検査を無理やりしてもらうという話になります。

経過観察にリスクはないのか

小林麻央さんの場合、ニュースで聞いた限りでは、がんの可能性が低くて経過観察をしたけど3か月後か半年後の経過観察の検査を忙しくて行かなかったところ実はがんだったというパターンです。

彼女は非常に残念なことに亡くなられることになりましたが、通常はあの速さでがんが進むことは考えにくいので経過観察することで治療が手遅れになるということはほとんどありません。

小林麻央さんのように3か月待つことで手遅れになるほど悪性度が高いがんの場合、今すぐ治療をしても手遅れな場合がほとんどだと思います。彼女のパターンはあれだけ進行の早いがんだったので、仮に経過観察をしないで初めの段階で病理検査をしてがんを確定してから、すぐに手術をしていたとしても結果としたら同じことだったと思います。

結果からみればですが、初めの検査の段階で見えない転移がすでにあったと考えるのが自然で、初めの段階で手術をしていたらもっと寿命が縮まっていたことすら考えられます。

話はそれましたが、がんを確定するには病理検査が必要で、それを避けて他の方法で確定は出来ません。病理検査をするか経過観察をするかの二択になります。

がんの症状が出ている場合

後者の「何かしらの自覚症状が出ているのだけれどもまだがんが確定していない人」の場合は、自覚症状が出ているとなると3センチ近い腫瘍があるということが考えられます(場所次第でもう少し小さい場合もあります)。そうすると小さい場合に比べて画像だけでがんかどうか判断しやすいので、高い確率で病理検査に進むことになります。病理検査の結果を待つことなく、転移があるかどうかの画像検査も行っていくということになります。

(腎臓がんや卵巣がんのように手術前に病理検査が出来ないがんも存在しています)

まとめ

まとめますとCTなどの画像で腫瘍を確認して、大きければがんの可能性が高いかどうか判断しやすいので病理検査に進むかどうか決めやすいですが、腫瘍が小さければ可能性が高いかどうか見極めが難しいので経過観察となります。
主治医の先生と話をしてどちらがよいか決めていくということになります。

竹内 規夫

がんメディカルサービス株式会社 代表取締役|がん治療専門コンサルタント

がん相談実績20,000件以上の実績を誇る、がん治療コンサルタント。
メディアにも多く取り上げられ、「産経ニュース」、「賢者グローバル」、「医療最前線」(千葉テレビ)、「AERA」(朝日新聞出版)、「FLASH」(光文社)、「現代ビジネス」(講談社)など出演多数。

プロフィール詳細

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