がん患者が感じる家族への思い。子どもや親への伝え方、本人の負い目など

がん患者が感じる家族への思い。子どもや親への伝え方、本人の負い目など

あなたは自分ががんになったとき、自分の気持ちを素直に家族に打ち明けられるでしょうか。
医師や友達になら自分の気持ちを素直に伝えられるのに、一番身近な家族にはそれができない、という人は多いものです。
よく知っている相手だからこそ「こう思うのではないか」「こう思われたくないな」などと、自分の気持ちを伝えるより相手の気持ちを先読みし悶々と悩んでしまうようです。
今回は、多くのがん患者さんが感じている家族への思いについていくつか例を挙げてお話ししてゆこうと思います。参考にしてみてください。

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目次

家族に迷惑をかけているのではと心配

がんになれば、精神的、また体力の面でも家族にお世話になることは当然のことです。闘病が長く症状が重ければなおさらです。
そんなとき患者さん自身がこれ以上家族に負担をかけたくないと感じるのも、多くの患者さんが持つ感情の一つです。
周囲の人が自分のために我慢したり時間を奪われたりしているように感じて申し訳ない気持ちになってしまうのでしょう。

しかし、もし逆の立場だったらどうでしょうか。家族の誰かががんになり、あなたが看病する側だとしたら、負担をかけられて迷惑だと感じるでしょうか。
家族のために何かしたいし、それが当然だと思うのであれば、ご自身が迷惑をかけているのだと考える必要はないのではないでしょうか。
そんなふうに考えてみて、申し訳ないというマイナスの気持ちから感謝の気持ちに変えられると良いと思います。

具体的には、家族にお願いすることを決めておくという方法はどうでしょうか。「これは家族の〇〇にお願いするしかない」ということを整理し、お願いを持ちかけてみる、それで受け入れてもらえるのであれば気兼ねなくお願いすればよいですし、これは別の人に頼むようにしよう、とシフトする事柄もあるでしょう。

いずれも迷惑かもしれない、と悩むのではなくやってくれることを素直に受け入れ感謝を伝え、「家族にして欲しいこと」「家族以外の人に頼れること」を明白にすることで負い目の気持ちが軽減されると思います。

入院中の家族の生活について

家庭を持つ女性ががんで入院する場合、入院に対する心配や不安とともに、掃除や食事など家事一般について自分が不在の間の心配が絶えない人もいるでしょう。
これには気持ちの持ち方を変える必要があると思います。
まずは家事など、家族の生活の責任を一人で負うという気持ちを捨てて、どのように助けてもらうか、あなたがこれまで担ってきたことをどのように家族に分担してもらうかということに気持ちをシフトしましょう。

助けてもらうことに積極的になって良いのです。

そもそも、どんなにあれこれ家のことを心配してみても、入院中は家族に任せるよりないのです。

また、家族の生活を気にするのと同時に、家族の中での自分の存在感がなくなってしまったような寂しさを感じ、それが入院中の家族のことが心配という気持ちにつながっていることもあります。

あなたが今までしてきたことを誰かが肩代わりすることで居場所を失ってしまうような疎外感があるのでしょう。
家族があなたの代わりを一生懸命こなしていることは、何よりもあなたに対する応援の気持ちの表れであり、治療に専念してほしいという気持ちの表れなのです。あなたがかけがえのない家族であることの証明ととらえてみてはいかがでしょうか。

親に対して自分のがんを伝える

親であれば何歳であっても、子どものがんを知ったらショックを受けるものです。
子どもの立場として、親にショックを受けさせたくないという思いから、親に自分自身のがんのことを隠し通そうとする人がいるのですが、やはりがんというとても大きなことは正直に親に話すということが原則だと思います。
今後何かの拍子にあなたのがんのことをご両親が知ってしまった場合、がんであること以上に大きな悲しみを感じると思います。

そうでなくても、親に自分のことを話せないという事実があなたの心の負担となってどんどん大きくなってゆくのではないでしょうか。ご両親と同居していたり、近くに住んでいて会う機会が多い場合にはなおさらです。
話さないとう選択をしても結局つらいということになってしまいます。それならばご両親には真実を話した方が良いと思います。

ただし話すときには「自分のがんには〇〇という治療法があるみたいだ」などと前向きな捉え方をしてもらえる伝え方をすると良いでしょう。
さらに伝えるのはあなた本人でなくても構いません。あなた自身がショックを受けているときに前向きに話すことは大変かもしれません。ご両親に伝えるのは他のご家族やご兄弟でも良いでしょう。誰がどのように話すか、その後の対応についても段取りを整えておけばスムーズで安心です。

子どもを残して逝くということ

特にお子さんがまだ幼く成人していない場合は、残される子どものことを考えると不安で仕方ないと思います。
ですがその分、お子さんと接することができる今を大切にすることが、お父さんやお母さんだけではなくお子さんのためにもなるでしょう。

もし入院中であるなら毎日電話やメールをしてお子さんとコミュニケーションをとることから始めると良いと思います。
子どものショックを考えるとがんのことを話せないと考え、子どもに本当のことを話すのを避ける人は多いものですが、お子さんは小さくても必ずお父さんやお母さんに何か良くないことが起こっていると察しています。
毎日のコミュニケーションの中で、ゆっくり子どもが分かるような言葉で病気のことを話してあげて、家族の一員としてケアにも参加してもらうようにしてみてください。
そうすることがお子さんの将来的にもいい影響を与えることになるはずです。

残される子どもが幼い子だとすると、その子の成長を見届けることができない、親としてするべきことをしてあげることができないという心残りと不安が募るでしょう。
その気持ちを他の家族や友人、あるいは病院の相談窓口、患者会などどこでもよいので打ち明けることも大事です。
そして、あなたがいなくなったあと誰がお子さんの世話をするのか、具体的に手を打つ必要があれば動けるうちに道筋をつけておくのが良いと思います。

家族と最期をどう過ごすか

がんが末期になると、だれでも「最期」のことを考えるものです。
例えばご主人が仕事人間で家庭のことなど何もしなかったら、奥さんは最期をみてくれるのかと心配にもなります。
自宅で最期を迎えるのがご希望であれば、それも併せて家族に率直に伝えて、万が一のときどうするか話し合う必要があります。
状況によっては延命治療を受けるかということまで伝えておくと良いでしょう。
最期の話をするのは辛いことですが、家族の気持ちと自分の希望をお互い知っておくことは後悔しないためにも必要不可欠です。

自宅での療養という点においては、病状や苦痛のコントロールという側面から医師の許可が必要となるほか、家族を含めヘルパーなどの人手を確保することが必要です。
現在では40歳以上の末期がん患者の在宅療養に対して介護保険を利用することができます。
そのようなことも踏まえ、今かかっている病院に希望を伝え行動しましょう。

残された人のためにさまざまな対策を立てたり、意思を伝えておくことは多くの人がしていることです。
お互いの気持ちを家族や夫婦で話し合っておきましょう。

おわりに

がん患者さんが抱える悩みは患者さんの数ほどあります。
その悩みを一番身近な存在である家族だからこそ伝えられずにいる人がたくさんいます。
ですがもしかしたら、ご家族もあなたと同じように悩み困っているかもしれません。
少しの勇気をもって自分の気持ちを伝えてみてください。
家族との大切な時間を良いものにしていただければと思います。

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がんメディカルサービス株式会社はがん治療の総合コンサルタントです。
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