都市伝説!?「焦げを食べるとがんになる」は本当?

都市伝説!?「焦げを食べるとがんになる」は本当?

成田 亜希子

内科医

「焦げた食べ物を食べるとがんになる」。こんな話を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

この話を信じて、食べ物の焦げを気にする方がいる一方で、「多少の焦げなど気にしない」という方や「焦げが美味しい」という方もいると思います。

それでは「焦げた食べ物を食べるとがんになる」というこの話、本当のことなのでしょうか?

がんのリスクを低下させるために、食べ物の焦げは食べないほうがよいのか解説します。

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目次

焦げを食べるとがんになるは本当

結論からいえば、「焦げた食べ物を食べるとがんになる」という話は本当です。

ここでは、焦げた食べ物を食べるとなぜがんになってしまうのか、そのメカニズムを詳しくみていきましょう。

焦げには発がん性物質が含まれている

肉や魚などを高温で調理したことで生じた焦げには、「ヘテロサイクリックアミン」という発がん性物質が含まれます。ヘテロサイクリックアミンは、肉や魚といったアミノ酸を多く含む食品を 150℃以上の温度で調理したときに生成されます。

発がん性物質とは、文字どおり、がんを発生させるリスクがある物質のことです。発がん性物質を摂取することでがんの発生リスクが高まってしまいます。焦げに発がん性物質が含まれるということは、「焦げた食べ物を食べるとがんになる」という話は、本当であるといえます。

焦げを食べさせて胃がんを発生させた実験

実際に、ヘテロサイクリックアミンをラットに投与することによって、ラットに胃がんやすい臓がんを発生させた実験もあります。実験は、発がん性物質を明らかにする目的で行われたもので、ラットに大量のヘテロサイクリックアミンを与えることで、がんを発生させることがわかりました。

とはいえ、「これまで焦げをよく食べてしまっていた。私は大丈夫なの?」と心配し過ぎる必要はありません。ヘテロサイクリックアミンは大量に摂取しなければ、がんが発生することはないことも、明らかにされているからです。

大量に食べなければがんにはならない

魚や肉の焦げには、ヘテロサイクリックアミンという発がん性物質が含まれていますが、大量に摂取しなければ人間ががんになることはないということが、実験からも明らかになっています。

では、具体的にどれくらいの量の焦げをどれくらいの期間、食べ続けると、がんのリスクが増大してしまうのでしょうか。

どれくらいの焦げを食べればがんになるのか

先述したラットにヘテロサイクリックアミンを投与する実験を人間に置き換えると、毎日ご飯茶碗で数杯分の焦げを年単位で食べ続けなければ、がんは発生しません。

そのような食生活をしている人であれば、焦げを食べることによってがんの発生を心配しなければならないでしょう。しかし、そういった食生活の人はまずいません。一般的な食生活で食べる程度の焦げであれば、過度にがんの発生リスクを心配する必要はありません。

発がん性物質が蓄積される可能性も

とはいえ、発がん性物質には蓄積されるという特性もあります。毎日ご飯茶碗数杯分の焦げを年単位で食べるという食生活ではなくとも、幼少期から肉や魚の焦げを好んで食べていると、知らず知らずのうちに発がん性物質である、ヘテロサイクリックアミンが蓄積されてしまう恐れもあるでしょう。

ヘテロサイクリックアミンがどれくらい体内に蓄積されると発がんリスクが高くなってしまうかは、まだ明らかになっていません。そのため、焦げを食べることについては、過度に神経質になる必要はありませんが、積極的に食べるのも避けたほうがよいでしょう。

調理法によってがんのリスクが変わる

ここまで、焦げと発がんリスクの相関についてみてきました。

次に焦げ以外にも目を向けて、食べ物と発がんリスクの関係をみていきましょう。実は、調理方法によって発がんリスクが大きく変わるのです。

穀類を高温で調理すると発がん性物質が出現

イモや米などの穀類を高温で調理すると「アクリルアミド」という発がん性物質が発生します。アクリルアミドは、揚げる、焼く、焙るなど120℃以上の高温で加熱した際に発生する発がん性物質です。

ネズミを使った動物実験では、アクリルアミドを摂取したネズミは摂取していないネズミと比べるとがんの発生率が10%増えたという結果が出ました。この結果を受けて、農林水産省は、アクリルアミドの注意喚起を行っています。

アクリルアミドを減らすために、次の3つの方法が勧奨されています。

・火力は弱め、加熱時間は短く
・ジャガイモは常温で保存する
・イモや野菜は切った後に水にさらす

「煮る」「蒸す」「ゆでる」が最も低リスク

大きく分けて、「揚げる」「焼く」「炒める」「煮る」「蒸す」「ゆでる」の6種類の調理方法がありますが、このなかで発がんのリスクが高いのは、「揚げる」「焼く」「炒める」の3種類です。焦げができる可能性があり、加熱温度もアクリルアミドが発生するとされる120℃を超えることが多いからです。

一方、「煮る」「蒸す」「ゆでる」はいずれも水を使った調理方法で、焦げができる心配はありません。さらに、アクリルアミドが発生する120℃を超えることもありません。「煮る」「蒸す」「ゆでる」を中心とした食生活にすることで、発がんリスクの低減が期待できます。

ステーキはミディアムを心がけよう

ステーキが大好物という方も多いでしょう。ステーキ自体に発がん性はありませんが、調理方法によっては、発がんリスクが高まってしまう可能性があります。アメリカ・南カリフォルニア大学のアミット・ジョシー博士らの研究によると、フライパンや直火など高温でウェルダンに焼き上げたステーキ肉は、前立腺がんのリスクを上昇させるという結果が出ました。ステーキ肉を焼く際にはウェルダンではなく、ミディアムを心がけましょう。

【まとめ】焦げと発がんリスクについて

誰もが一度は耳にしたことがある「焦げた食べ物を食べるとがんになる」という話。都市伝説と思っていた方も多いでしょうが、実は本当の話です。しかし、あまり心配し過ぎる必要はありません。大量の焦げを毎日、それも年単位で長期間食べ続けない限り、発がんリスクは高くなりません。とはいえ、まだまだ解明されていないことも多いため、積極的に焦げを食べることは控えたほうがよいでしょう。

また、調理方法によっても、発がんリスクが増減します。発がんリスクが高くなるのは高温での調理時で、調理方法は「焼く」「炒める」「揚げる」。反対に発がんリスクが低い調理方法は「煮る」「ゆでる」「蒸す」です。「煮る」「ゆでる」「蒸す」といった調理法を上手に活用して、がんにかかりにくい食生活を目指しましょう。

MedicalTribune「焦げを食べるとがんになる?」
https://medical-tribune.co.jp/kenko100/articles/111220526487/
東京都福祉保健局「食品に含まれる発がん物質には、どのようなものがありますか?【食品安全FAQ】」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kenkou/anzen/food_faq/sonota/sonota09.html#:~:text=%E9%A3%9F%E5%93%81%E4%B8%AD%E3%81%AB%E5%90%AB%E3%81%BE%E3%82%8C,%E3%82%8B%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%AB%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%89%E3%81%AA%E3%81%A9%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
日本食品分析センター「食品加工中に生成する有害化学物質」
https://www.jfrl.or.jp/storage/file/news_vol3_no23.pdf
PRESIDENT Online「食事でがんは予防できるのか」医師が示した最終結論
https://president.jp/articles/-/33573?page=3
WEDGE Infinity「放射性物質を排出する食品」はウソ適切ながん予防法とは?
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/1778
ダイヤモンド・オンライン「調理法でリスクが変わる?前立腺がんとフライパン」
https://diamond.jp/articles/-/26347
農林水産省「食品に含まれているアクリルアミド」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_kiso/syokuhin.html
マイナビニュース「前立腺がん 赤身肉をフライパンで焼き食べ危険率上昇と判明」
https://news.mynavi.jp/article/20121207-a151/

成田 亜希子

内科医

2011年医師免許取得。一般内科医として幅広い疾患の患者様の診療を行っている。行政機関に勤務経験もあり、がん対策にも携わってきた。

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