発がん性物質って何?どのような食品に発がん性物質が含まれる?安心な食品は?

発がん性物質って何?どのような食品に発がん性物質が含まれる?安心な食品は?

発がん性物質という言葉は誰もが一度は聞いたことがあると思います。

「がんを発生させる物質」と書くだけに、どのような物質なのか多くの方が気になるでしょう。

中でも特に気になるのが、食品に含まれる発がん性物質です。食品にはどのような発がん性物質は含まれているのでしょうか。

そして、どのような食品であれば安全なのでしょうか。

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目次

発がん性物質とは何か

発がん性物質は、がんを誘発する物質、あるいはがんの発生率を増加させる可能性のある物質のことです。

まずは、がんがどのように発生して、そこに発がん性物質がどのように関係するのかを見ていきましょう。

がんが発症するメカニズム

がんは体のさまざまな部位に発生するものですが、その発生メカニズムはどれも共通しています。

がんは、細胞の遺伝子が傷つくことで発生するものです。遺伝子が傷つくことで異常な細胞が形成されますが、通常は免疫の力で排除されます。

しかし、中には生き残って体内にとどまり、異常増殖を引き起こすものもあります。

この異常増殖した変異細胞ががんの正体です。

こうして発生したがんが検査で見つかるまでに成長するのは、10年から20年 の歳月がかかります。

発がん性物質はがんの発症を促す物質

細胞の遺伝子が傷つくことで発生するがんに発がん性物質がどのように関わっているのでしょうか。

なぜ、発がん性物質を摂取すると、がんが発生しやすくなるのでしょうか。

それは、発がん性物質は細胞の遺伝子を傷つけ、がんを誘発する物質だからです。

発がん性物質を摂取したり、発がん性物質にさらされたりすることで、細胞の遺伝子が傷つけられるリスクが上がるのです。必然的にがんが発生するリスクも増大します。

食品中の発がん性物質

国際がん研究機関(IARC)は、発がん性物質をリスクの高い順から グループ1、グループ2A、グループ2B、グループ3の4種類に分類しています。そのうち、食品中に含まれる発がん性物質で特に注意が必要なものを以下から見ていきましょう。

アフラトキシン

アフラトキシンは、自然界に存在する発がん性物質の中で最も強い発がん性を持つ物質の一つです。

IARCの発がん性分類ではグループ1(ヒトに対して発がん性がある)に分類されており、その発がん性はエタノールの300万 倍といわれています。

また、アフラトキシンは、熱帯から亜熱帯地域にかけて生息するカビにより生成される物質で、日本国内で発生するカビからはほとんど 発生しません。しかし、海外から輸入されるナッツ類、香辛料、トウモロコシなどに付着していた事例があります。

アクリルアミド

日常よく食べられる食品の中に含まれる発がん性物質の中で注意する必要があるのは、アクリルアミドです。

アクリルアミドは炭水化物を高温で加熱したときや長時間加熱したときに発生する発がん性物質で、フライドポテトやポテトチップスなどに多く含まれます 。IARCの発がん性分類では上から2番目に高リスクな グループ2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)に分類されています。

ヘテロサイクリックアミン

肉や魚などを調理する過程で生成される可能性がある発がん性物質がヘテロサイクリックアミンです。

肉や魚を高温で調理することによって、生成されます。1970年代に日本人科学者 によって、魚の焼け焦げの中から発見されました。

ヘテロサイクリックアミンは、20種 類以上に分類されており、このうち10種類が IARCの発がん性分類でグループ2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)もしくはグループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)に分類されています。

食品添加物がなかったら

食品添加物にはいいイメージが持てないという方も多いのではないでしょうか。

中には、「食品添加物=発がん性物質」と認識している方もいるかもしれません。食品添加物の中には、発がん性のあるものもあります。

しかし、自然の食品の中にも発がん性物質を含むものも少なくありません。

例えば、キャベツにはシニグリン 、ネオクロロゲン酸という発がん性物質が含まれますし、モモにはクロロゲン酸、ネオクロロゲン 酸という発がん性物質が含まれます。少量であるため健康には問題ないとされており、食品添加物に含まれる発がん性物質も同様です。

そもそも食品添加物がなかったら、今や私たちの食卓は成り立ちません。

スーパーから食品添加物を使用している食品を除いたら、加工前の肉や魚、野菜、果物 くらいしか商品棚に並ばないことになります。

総菜や揚げ物、弁当、加工食品、パン、ジュース、ハム・ソーセージには、全て食品添加物が含まれています。食品添加物など含まれていないように思える、豆腐やしょうゆ、みそなどにも食品添加物は含まれているのです。

食品添加物との付き合い方

食品添加物を完全に避けて生活を送ることは難しいでしょう。そんな中、私たちは食品添加物とどのように付き合っていけばいいのでしょうか。

有害性は摂取量によって決まる

食品添加物のリスクを考える際に頭に入れておく必要があるのは、食品に使われている全ての食品添加物は国が安全だと証明しているものだということです。

そして、食品添加物は国が定めた使用基準を守って使われています。食品添加物が含まれているからといって、その食品を過剰に恐れる必要はありません。

とはいえ、食品の健康リスクは、「どの食品添加物が使用されているか」ではなく、「食品添加物をどれだけ摂取したか」によります。

そのため、多くの食品添加物が使用されている食品では複合摂取の可能性があり、食品の健康リスクも上がります。重要なのは食品添加物を摂り過ぎないことです。気になる方は、できるだけ食品添加物の種類が少ない食材を選ぶことをおすすめします。

「発がん性物質=リスク」があるとは限らない

先ほどもお伝えしたように、天然の食材にも発がん性物質は含まれています。サラダ菜、ほうれん草や大葉などには、亜硝酸ナトリウムという発がん性物質が含まれていることは有名です 。発がん性については過去の評価において、ヒトの摂取と発がんリスクとの間に関連性があるという証拠はありません。

また、亜硝酸ナトリウムは私たちの唾液の中にも含まれている物質でもあります。食品のリスクを過度に気にしてストレスをためてしまっては、そちらの方が病気になるリスクが高まってしまうでしょう。

スーパー・コンビニエンスストアで買える安心な食品

リスクがゼロの食品はなくても、できるだけ健康な食生活を送りたいという方が大半でしょう。スーパーやコンビニエンスストアで食品を選ぶ際にはどのようなポイントに気をつければいいのでしょうか。

食品添加物の中で特に注意したい物質

まず注意したいのは、ハムやソーセージに含まれている亜硝酸ナトリウムという発がん性物質です。

亜硝酸ナトリウムは、ほうれん草や大葉などにも含まれていますが、ハムやソーセージとは含有量が異なります 。

また、アスパルテーム、アセスルファムK などの合成甘味料にも注意しましょう。これらの合成甘味料は、ノンカロリー食品やノンカロリー飲料に多く含まれています。

さらに、合成着色料も摂り過ぎないように注意が必要です。合成着色料の中には危険性の高さからヨーロッパではすでに使用が規制されていたり、禁止になっていたりするものもあります。

意識をするなら天然由来の食品添加物から

食品添加物と一口にいっても、低リスクなものもあれば高リスクなものもあり、リスク度合いは摂取する量にも左右されるものです。必ずしも安全とは言い切れませんが、食品添加物の中でも天然由来のものを意識すると良いでしょう 。天然由来の食品添加物には、クエン酸、赤キャベツ色素、パプリカ色素、ウコン色素、カロチン色素、ブドウ果皮色素、野菜色素などがあります。

食品に含まれる発がん性物質について【まとめ】

発がん性物質は、「がんを発生させる物質」と書くため、過度に恐れている方も多いと思います。

発がん性物質が含まれている食品や食材を一切摂りたくないという方もいると思いますが、 発がん性物質は天然の食品にも含まれており、完全に排除して生活を送ることは難しいと考えられます。

発がん性物質にしても食品添加物にしても重要なのは、摂り過ぎないことです。どうしても気になる方は、それらを完全に排除して摂取するのではなく、無理のない範囲で注意してみるというところから始めていきましょう。

1. e-ヘルスネット(厚生労働省)|発がん性物質
2.がん治療.com|がんの発症リスクを高める「発がん性物質」に要注意!
3.国立がん研究センター がんゲノム情報管理センター|がん発症の仕組み がんゲノム医療とがん遺伝子パネル検査
4.SGホールディングスグループ健康保険組合|1.がんとは
5.農林水産省|国際がん研究機関(IARC)の概要とIARC発がん性分類について
6.一般社団法人 日本冷凍食品協会|タイトルタグが見つかりません。
7.東京都福祉保健局|食品に含まれる発がん物質には、どのようなものがありますか?
8.大阪健康安全基盤研究所|カビ毒のアフラトキシンB1とアフラトキシンM1について|大阪健康安全基盤研究所
9.内閣府食品安全委員会|調査情報詳細
10.日本食品分析センター|特集/食の真の安全とは 何か?
11.味の素株式会社|食品加工中に生成する有害化学物質 ~ヘテロサイクリックアミンからアクリルアミド~
12.ドリームニュース|『買ってはいけない』 『食べてはいけない』の著者、最新刊! 【危険な添加物!】 がんがイヤなら、これは食べるな
13. Chiisanateの食べStory|食品添加物との上手な付き合い方【リスク管理で危険性を緩和しよう】
14.Charcuterie Koide|亜硝酸Naについて
参照日:2023年3月

吉村 友希

神戸大学大学院医学研究科バイオメディカルサイエンス専攻 薬物動態学分野。分子標的薬の副作用に関係する研究について、研究・ディスカッションに参加。大手グローバルCROにて医薬品開発職に従事。

プロフィール詳細

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