内視鏡手術とは?メリット・注意点・適応条件をわかりやすく解説
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内視鏡手術とは?メリット・注意点・適応条件をわかりやすく解説

内視鏡手術は、早期のがん治療の中で身体への負担が少ないという観点で注目されている治療法です。

代表的なのは、「内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)」「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」の3つです。ただし、すべてのがんに適応となる治療法ではありません。

本記事では、内視鏡手術の仕組みや適応条件、3つの内視鏡手術の特徴、手術を受ける際の注意点について解説します。ご自身にとって最適な方法を選択するための参考にしてください。

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目次

内視鏡手術とは?基本的な仕組みと特徴

内視鏡手術とは、先端にカメラ(スコープ)を搭載した細長い管を体内に挿入し、モニターに映し出される画像を観察しながら専用器具で病変を切除する治療法です。

口や肛門、尿道から内視鏡を挿入することで、早期のがんを切除したり、がんの症状を和らげたりすることを目的として実施されます。

身体への負担が少ないと言われる理由

内視鏡手術が身体への負担が少ないと言われる理由の一つは、腹部を切らずに行える点です。従来の外科手術では、病変部位を切除するためには開腹手術が一般的でした。現在では、胃や食道、大腸などの内側からアプローチする方法も可能となっています。

術後の痛みや出血量が少ないこと、体調の回復が比較的早いことなどが特徴です。また、入院期間は開腹手術と比較すると短い傾向にあります。

施設やがんの種類・進行度によっても異なりますが、日帰りや1泊2日での治療も行われています。早期の社会復帰を目指せるのも利点の一つです。

開腹手術・腹腔鏡手術との違い

内視鏡手術は、胃や食道、大腸などの身体の内側から病変を切除する治療法です。一方、開腹手術・腹腔鏡手術は、病変部位の外側を切開したり、穴を開けたりして治療します。病変部位の臓器の一部または全部をリンパ節とともに切除します。内視鏡手術(内視鏡的治療)とは異なり、全身麻酔が必要です。

開腹手術は、医師が直接患部を見たり触れたりしながら治療を進めます。患部を広範囲に目視でき、出血などがあった際に早めに対処できるのが利点です。ただし、大きな傷になるため、手術後の痛みや身体への負担がかかり、入院期間は長くなる傾向にあります。

腹腔鏡手術では、お腹に小さな穴を開けてカメラと専用の器具を挿入し、画像を確認しながら手術を行います。開腹手術よりは身体へのダメージが穏やかで回復が早いため、経過次第では手術の翌日から歩行を開始できる場合があります。

このように開腹手術と腹腔鏡手術は、それぞれ利点と注意点があるため、担当医とよく相談して決めることが重要です。

がん治療で内視鏡手術が適応となる条件

内視鏡手術の主な対象は、早期がんです。

リンパ節転移の可能性が低いと判断され、一括切除が見込める大きさ・部位など、一定の条件を満たす場合に検討されます。がんが粘膜層にとどまっている段階であれば、この手術だけで完治を目指すことが可能です。

ここでは、胃がんと大腸がんを例に適応条件を確認しましょう。

内視鏡手術が適応となる条件は以下の通りです。

項目条件
遠隔臓器への転移なし
がんの深達度・胃がん:原則として粘膜層までにとどまっている
・大腸がん:粘膜下層への広がりが軽度(1mmまで)にとどまっている(※1)
リンパ節転移なし

これらはあくまで一般的な目安であり、組織型(がんの種類)によって適応は厳密に定められています。

内視鏡手術で行われる治療法と選ばれ方

消化器系がんの内視鏡手術には、以下の3つがあります。

  • 内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)
  • 内視鏡的粘膜切除術(EMR;Endoscopic Mucosal Resection)
  • 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD;Endoscopic Submucosal Dissection)

がんの大きさや深さ、部位などによって適した方法は異なり、すべてのがんに適応となるわけではありません。医師は検査結果を慎重に考慮したうえで、最適な方法を選択します。

内視鏡でがんを切除した後は、切除した組織を顕微鏡で詳しく調べ、進行度や転移の可能性を確認します。結果によっては、追加の治療が必要になることも珍しくありません。

内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)

内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)は、キノコのように盛り上がった病変に対して行われます。内視鏡の先端から「スネア」と呼ばれるワイヤーを出し、がんの根元を締め付け、高周波電流を流して焼き切る手法です。短時間で処置が終わるため、クリニックでの日帰り手術や短期入院でも実施されます。

前がん病変のケースでは、電流を流さずにスネアで病変を切除する「コールドポリペクトミー」で行われる場合もあります。通電しないことで、術後の後出血(手術後に時間が経ってから起こる出血)のリスクを抑えられるというメリットがあります。また、欧州消化器内視鏡学会(ESGE)のガイドラインによると、直径5mm以下の病変の切除法として、コールドポリペクトミーが推奨されています(※2)

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

内視鏡的粘膜切除術(EMR)は、平坦で広がりのある病変を切除する治療法です。病変の下の粘膜下層に生理食塩水やヒアルロン酸ナトリウムなどを注入しふくらみを作り、病変周囲の正常な粘膜も含めて、スネアを用いて切除します。食道や十二指腸の小さな病変、2cm以下の大腸腫瘍などに対して行われます(※3)。手術後は、出血や穿孔(せんこう;胃や腸に穴が開くさま)のリスクもあるため注意が必要です。患者さんの状態で入院日数は異なりますが、目安として3日から6日程度とされています(※3)

一定の大きさまでは内視鏡的粘膜切除術で対応できますが、病変が大きい場合は分割して切除する必要があり、内視鏡的粘膜下層剥離術の適応となるケースもあります。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、内視鏡的粘膜切除術(EMR)では対応困難な大きな病変を一括で切除するために開発された治療法です。スネアではなく、専用の電気メスを用いて、粘膜の下を少しずつ剥ぎ取るのが特徴です。

まず、がんの下にある粘膜下層へ生理食塩水やヒアルロン酸ナトリウムなどを注入し、がんを持ち上げます。その後、病変周囲の粘膜を切開し、粘膜下層から病変をはがし取ります。手術後は、穿孔や出血などの合併症に注意が必要です。高度な技術を要するため、専門の医療機関で実施されるのが一般的です。

入院の目安はおおむね1週間程度とされますが、状態や医療機関の方針によって異なります。また、お腹を切開せず対処するため、早めの社会復帰が可能です。

治療の適応とならなかった病変や、切除した病変の組織検査の結果によっては、がんが深く及んでいることが分かるため、追加で外科手術が必要になる場合があります。ただし、難易度がやや高い治療であるため、導入している病院は限定的です。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を希望する場合、事前の情報収集が不可欠です。

内視鏡手術を受ける場合の注意点

内視鏡手術は比較的身体への負担が少ない治療法ですが、合併症リスクや手術日前後の過ごし方を理解することが大切です。ここでは注意点について詳しく解説します。

合併症リスク

治療後は、出血や穿孔が起こる場合があり注意が必要です。胃・食道・十二指腸の内視鏡治療後であれば、吐き気や嘔吐、腹痛などの症状が現れるケースも見られます。また、大腸の治療後は、数日後に血便や腹痛、発熱などの症状が出ることもあります。

体調の異変を感じたときには、医師や看護師に早めに伝えましょう。状況によっては、手術が必要になるケースもあります。

手術日前後の過ごし方

治療後は数日から1週間程度の入院が必要になります。抗血栓薬(血液を固まりにくくする薬)を服用している方は、治療後に止血しにくい場合もあるため、事前に医師に伝えておきましょう。

治療を受けた日は絶食となり、点滴を受けながら安静に過ごします。食事は、翌日または翌々日から水分や流動食の摂取が始まるのが一般的です。

退院後は、食事内容や仕事の強度などに制限が設けられる場合や、定期的な検査や受診を指示されることもあります。受診の頻度や検査の内容はそれぞれ異なるため、退院前に医師や看護師に確認してください。

内視鏡手術について不安があれば専門医に相談を

内視鏡手術は、皮膚を切開せずにがんを切除できる治療法です。身体への負担が少ないため、QOL(生活の質)を維持して治療できるのが利点です。しかし、「本当に切除できるのか」「術後の痛みや合併症は大丈夫か」といった不安を抱える方もいらっしゃいます。

もし、主治医から提示された治療法や他の治療法との違いについて疑問がある場合は、専門医やがんの相談窓口を活用することをおすすめします。一人で抱え込まず、専門的な視点でアドバイスをもらい、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。

(※1)国立がん研究センター|大腸がん(結腸がん・直腸がん)
(※2)ESGE|Colorectal polypectomy and endoscopic mucosal resection (EMR):
European Society of Gastrointestinal Endoscopy (ESGE) Clinical
Guideline

(※3)国立研究開発法人国立がん研究センター|内視鏡検査・治療

井林 雄太

医師|日本内科学会認定内科医・日本内分泌内科専門医

福岡ハートネット病院勤務。国立大学医学部卒。日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。
「一般社団法人 正しい医療知識を広める会」所属。総合内科/内分泌代謝/糖尿病の臨床に加え栄養学/アンチエイジング学が専門。
臨床業務をこなしつつ、大手医学出版社の専門書執筆の傍ら、企業コンサルもこなす。「正しい医療知識を広める」医師ライターとして多数の記事作成・監修を行っている。 

プロフィール詳細

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