【ニュース】アメリカFDAで認可された新しい治療薬の最新の情報

【ニュース】アメリカFDAで認可された新しい治療薬の最新の情報

こんにちは。川森です。こちらのサイトでは、アメリカFDAで認可された新しい治療薬の最新の情報をお伝えしていきたいと思います。

私は、長くアメリカの大学で癌の研究をしていました。自身の研究室をアメリカNIH(National Institutes of Health、日本の厚生労働省をもっと大きくした機関)から研究費(R01 grantやP01 grant)を頂いて、運営していました。アメリカでは、FDA (Food and Drug Administration)という機関がお薬の認可をしています。もちろん、FDAもNIHの下部機関になります。私のところに今もFDAで癌関連のお薬の認可があると、メールが送られてきます。

昨日(7月27日)も以下のようにメールが送られてきました。

Food and Drug Administration granted accelerated approval to brexucabtagene autoleucel (TECARTUS, Kite, a Gilead Company), a CD19-directed genetically modified autologous T cell immunotherapy, for the treatment of adult patients with relapsed or refractory mantle cell lymphoma (MCL). More Information. July 24, 2020
https://www.fda.gov/drugs/fda-approves-brexucabtagene-autoleucel-relapsed-or-refractory-mantle-cell-lymphoma
Hematology/Oncology (Cancer) Approvals & Safety Notifications

https://www.fda.gov/drugs/resources-information-approved-drugs/hematologyoncology-cancer-approvals-safety-notifications]

U.S. Food and Drug Administration
10903 New Hampshire Avenue, Silver Spring, MD 20993
1-888-INFO-FDA (1-888-463-6332)
Privacy Policy | www.fda.gov
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ということで、今回は、このメールに関して紹介します。

対象の病気は、マントル細胞リンパ腫です。このリンパ腫は、B細胞由来でまれな(リンパ腫全体の約3%程度)リンパ腫で、比較的高齢者に多く、見つかったときには、すでに転移していたり、白血病化していたりする病気です。

この病気に対する新しい治療として、TecartusというCAR-Tが認可されました。Tecartusは、遺伝子導入技術を用いて、CD-19に対する抗体を自分のリンパ球、T細胞に発現させて、この免疫細胞がCD-19を発現している癌細胞をやっつけてくれるというのがシナリオです。

日本でも、現時点で、キムリアがB細胞性急性リンパ芽球性白血病及びびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に適応が通っているので、ご存知の方もいらっしゃると思います。今回は、別のリンパ腫にも適応が広がったということですね。

それと同時に、このような遺伝子改変治療が広がっていくことも非常に意味のあることだと思います。今後、癌の違い、遺伝子変異の違いによって、customizedされた治療が進んでいくことと思います。

川森 俊人

医師 | 日本病理学会病理専門医/日本臨床細胞学会細胞診指導医

三重県生まれ。1987年(昭和62年)岐阜大学医学部卒業。医師免許取得後、岐阜大学医学部第一内科入局。

5年間、大学及び関連病院で内科、消化器内科を研修。1992年岐阜大学大学院医学研究科に進学し、病理の勉強をしつつ、癌研究を始める。動物実験を用いて、がんの発生から予防に関して、特に大腸がん、舌がん、肝臓がん、膵癌、膀胱癌、前立腺癌などを研究。

成果をCancer Researchなど一流がん専門誌に多数掲載され、学位取得後米国健康財団へResearch Fellowとして2年間留学。留学中、COX-2阻害剤の大腸発癌に対する抑制効果を世界で初めて動物実験で証明した。1998年帰国し、国立がんセンター研究所がん予防研究部室長として研究を進め、京都大学、小野薬品などと共同研究を行い、COX-2の下流にあるプロスタグランジンの大腸発癌における役割をその細胞膜にあるレセプターのノックアウトマウスを用いて検討した。ピロリ菌の胃発癌における役割なども研究した。国立がんセンター中央病院病理部も併任し、病理専門医、細胞診指導医として臨床病理診断、病理解剖業務に従事した。

2002年に再渡米し、サウス キャロライナ州チャールストンにあるMedical University of South CarolinaにAssistant Professorとして赴任しアメリカでの研究を再開。NIHからR01 grant取得し、共同研究としてP01 grantにも参加し、自身の研究室を主宰し、COX-2の上流と考えられるスフィンゴ脂質代謝の大腸がん、乳がん、舌がんの発生と予防における役割を研究した。2010年には、ハワイ大学がんセンターにAssociate Professorとして移動し、研究を続けた。2014年帰国し、一宮西病院病理部勤務。湘南メディカルクリニックでがん免疫療法部統括部長としてがん免疫療法を推進。2019年よりまれケアクリニック院長として訪問診療、特にがん末期の患者様の緩和ケアを行っている。

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