がん検診を受けてがんが発見される確率はどれくらい?がん検診はビジネスなのか。

がん検診を受けてがんが発見される確率はどれくらい?がん検診はビジネスなのか。

がん検診の申込書が定期的にお住まいの自治体から届くという方は多いでしょう。

皆さまはがん検診を受けていますか?

勧められるからには受けたほうが良いのだろうと思う反面「どれくらい信用できるのだろう?」あるいは「お金儲けにされているのでは?」と疑心暗鬼の気持ちもありませんか?

がん検診について詳しく知る機会はなかなかありませんから、それも当然だと思います。
ということで、今回は「がん検診」をテーマにご説明したいと思います。

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目次

がん検診ってどんなもの?

今や、がんは国民病です。がん予防に関心がある人も多いでしょう。
死亡率の低下を目標に、国が推奨しているがん検診は以下の通りです。

  • 胃がん(胃X線)
  • 大腸がん(便潜血検査)
  • 肺がん(胸部X線、喀痰細胞診)
  • 乳がん(乳房X線)
  • 子宮頸がん(視診、細胞診、内診、必要に応じてコルポスコープ)

主に市区町村がメインとなり、日本人に多い五大がん検診を実施しています。

がん検診は、症状がない人を対象にしています。無症状の段階でがんを発見し早期に治療を開始することができれば、がんの死亡率低下につながるとされています。これらはその有効性が確立された検診です

これとは別に、自治体や医療機関が個々に行っている検診もあります。
前立腺がん検診(PSA検査)、胃がんリスク検診(ピロリ菌検査、ペプシノゲン検査)、乳がん検診(エコー検査)、子宮頸がん検診(ヒトパピローマウイルス検査)、その他婦人科系がん検診などが多く、受けたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

がん検診でがんがみつかった人はどれくらい?

では、がん検診を受けたことによってがんが発見された人はどれくらいいるのでしょうか。

5大がんを例に、要精密検査になった人と最終的にがんと診断を受けた人の割合は以下の通りです。

【胃がん】 要精密検査 15人に1人  診断 1000人に1人
【大腸がん】要精密検査 16 人に1人  診断 588人に1人
【肺がん】 要精密検査 50人に1人 診断 2500人に1人
【乳がん】 要精密検査 15人に1人   診断 357人に1人
【子宮頸がん】要精密検査 47人に1人  診断 2500人に1人

がん検診を受けたことによってがんがみつかった人の割合は、乳がんが1位、次いで大腸、胃と続きます。

これを見てどのように感じますか。意外と多いと思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

がん検診のデメリット

こんなにがんが見つかるならがん検診は受けたほうが良いのではないか、と思うでしょう。しかし、良いことだけではありあません。がん検診にはデメリットもあります。

偽陽性

がん検診は1次検査で「がんの疑いあり。要精密検査」の人を広くピックアップし、その後の精密検査で確定診断を出します。疑いありと言われ、精密検査を受けたけれども、最終的にがんではなかった場合を「偽陽性」と言います。

問題は、がん検診がこの「偽陽性」を非常に多く生み出してしまうこと。偽陽性の人からすれば、不要な精密検査を受けるというデメリットがあります。出血や感染症のリスクにさらされること、またがんかもしれないという心理的な負担も大きいはずです。

過剰診断

特に治療をしなくても悪影響がないがんを診断してしまうことです。乳がんや前立腺がん、甲状せんがんなど成長がゆっくりで命を脅かすまでに長い時間がかかるがんで多く見られます。

非常に小さいがんかわからない病変を見つけて長年経過観察するといった弊害があります。進行しないがんであっても多くの場合、がんと診断されれば通院や治療もします。過剰診断は不要な治療行為にもつながります。

腫瘍マーカーの不確実さ

血液だけで測定できるということで、腫瘍マーカーが検診に利用される機会があります。しかし一般的に腫瘍マーカーはがんが進行していないと反応せず早期発見には不向きです。

がん治療中の人が行う腫瘍マーカーは他の検査との併用で活用されています。腫瘍マーカー単体でがんを検出するには非常に心もとなく、受ける価値があるか疑問です。

診断しづらい臓器の検診

卵巣がん検診や子宮体がん検診は一部の医療機関が行っている検診です。卵巣がんや子宮体がんは、その体内の位置的に確定診断を出すのに手術が必要になるがんです。

偽陽性の場合、害がとても大きいため検診は勧められません。検診によって死亡率が減ったという効果も確立されていません。

がん検診との付き合い方

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これらのことを踏まえて、私たちはどのようにがん検診と付き合ってゆけば良いのでしょうか。

検診はがんではない人がきちんと「がんではない」と判定されなければ信憑性に欠け、がん予防の有用なツールとは言えません。しかし、どのような医療行為にも100%正確ということはありません。

がん検診を受けたほうが良いのかと迷ったときはその点を理解しつつ受診することが大事です。

先に述べた、がんが発見される確率と考えられるデメリットを鑑みて、がん検診が自分にとってメリットがあるか考える必要もあります。これに関しては価値観です。たとえ偽陽性が出たとしても検査をすることで安心を得たいと思う人もいて当然です。

また、国が推奨していない検診を行うことでより多くの「がん疑い」を出した結果、それによって儲かる医師や病院が出てきます。そのためがん検診の一部がお金儲けのために行われているという側面も否定できません。

私たち個人がきちんと判断し自分のメリットになるものだけを受ける必要があるでしょう。

がん検診のメリットとデメリットを知って判断することが大切

がん検診はすべてダメなものではありません。国が推奨している検診に関しては死亡率の減少効果が評価され私たちにとってメリットが大きい可能性が高いでしょう。

大切なのは、やみくもにがん検診を受けるのではなく、メリットとデメリットがあるということを知って判断することなのです。

日本医師会ホームページ 知っておきたいがん検診
https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/data/detection

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