口腔がん手術後に顔は変わる?変わらない?治療内容で違う理由
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口腔がん手術後に顔は変わる?変わらない?治療内容で違う理由

口腔がんとは口の中にできるがんの総称です。治療の中心は手術であり、切除の範囲によっては顔や首などの外見に影響が出る可能性があります。そのため、「手術をすると、顔つきが変わるかもしれない」と不安を抱く方は少なくありません。

本記事では、口腔がん手術後に顔の変化が起こる可能性や回復までの経過について詳しく解説します。

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目次

口腔がんとは?手術後に顔は必ず変わるのか

口腔がんとは、舌(ぜつ)がん・歯肉がん・口底がん・頬粘膜がんなどの総称を指します。組織分類としては、口腔がんの約90%が粘膜組織から発生する扁平上皮がんです(※1)。罹患率は、男性が女性の約2.3倍で、男女とも60代から70代に多い傾向があります(※2)

がんができると粘膜の色が赤や白に変色したり、形が変わったりする症状が現れます。また、進行すると粘膜のただれや、痛みや出血を伴う可能性も少なくありません。

口腔がんの基本的な治療は手術(外科手術)です。病巣の切除と、必要な範囲の首のリンパ節の切除(頸部郭清術:けいぶかくせいじゅつ)を行います。ただし、「手術をする=顔が変わる」というわけではありません。顔に目に見える変化が起こるかどうかは、がんの部位や大きさ・深さ、切除範囲によって大きく異なります。ステージの進行度によっては、初期がん・小範囲切除で収まる場合、外見上ほとんど変化が現れないケースもあります。

口腔がんは早期発見が非常に重要です。手術を前提とするため、身体の異変に早めに気づくことが不可欠です。気になる症状がある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

口腔がんの手術内容によって顔の変化には差が出る

口腔がんは、がんのできる部位やステージの進行度によって、手術の適応範囲が変わります。手術によって切除する範囲によっても、顔の変化に差が出てきます。

口腔がんは、全がんの中で罹患数が少ない希少がんの一つです(※2)。手術による治療法が確立されているため、術後の変化も予測しやすいとされています。ここでは、顔の変化が出にくいケースと出やすい2つのケースについて、以下で解説します。

顔の変化が出にくいケース

顔の変化が出にくいケースとしては、がんが早期に発見され、切除範囲が小さい場合が挙げられます。ステージが進行しないうちに治療が行えるため、切除範囲も小さく済み、顔の変化を最小限にとどめることが可能です。ステージ0からステージⅡはリンパ節への転移がなく、がんの最大径が4cm以下で深さが1cm以下とされており、早期がんに分類されます(※3)

このように、がんが口腔内のみに留まり、顎骨や皮膚に影響が及ばない場合であれば、顔の骨格が大きく変わることはないとされています。舌や歯肉の部分切除で手術が済むケースや、頸部リンパ節郭清を行わない場合が該当します。手術で切除した部分を補うために行う、再建手術を必要としない場合も、外見の変化が抑えられます。

顔を中心とした外見への変化が目立たない場合でも、問題になりやすいのは発音や食事などの機能面への影響です。口は生活するうえで重要な「食べる(嚥下・そしゃく)」「話す(構音)」機能を担っています。切除範囲の大きさなどにより程度は異なりますが、リハビリテーションが必要になる場合があります。外見の変化が少なくても、術後に別の問題が起こりやすいことも理解しておきましょう。

顔の変化が出やすいケース

顔の変化が出やすいケースは、がんが進行し、切除範囲が広くなった場合です。がんの進行が進むほど、組織の切除やリンパ節切除などの範囲が広がります。ステージⅢからステージⅣは、局所進行がんや遠隔転移を伴う進行がんに相当します。

例えば、ステージⅢの場合、がんの最大径が4cm超で深さが1cm超、または首のリンパ節に1箇所(3cm以下)に転移がある場合などが含まれます。(※3)。ステージⅣでは、顎の骨や皮膚、深部の筋肉までがんが及んでいるほか、複数のリンパ節転移や遠隔転移が見られるケースも含まれます。

また、上顎や下顎などの顎の骨を含めて切除する必要がある場合は、顔の輪郭に影響が生じることが考えられます。頸部リンパ節郭清を行う場合、首や顎下に傷やむくみやこわばりなどの後遺症が起こることも少なくありません。

大きく切除する必要がある場合には、失われた機能や見た目を取り戻すために、再建手術を実施します。

例えば、舌を再建する場合、自分の身体の一部から移植する「自家組織移植」である皮弁(ひべん)移植などを選択します。一時的に左右差やむくみ、輪郭変化が生じる場合はありますが、顔貌(がんぼう)の変化を最小限に抑えるような再建が行われるのが現代医学の基本的な考え方です。

見た目の変化が現れやすいケースでも、QOL(生活の質)を基準とした機能や外見の回復を前提に治療計画を進められます。

口腔がんの手術後の顔や生活に起こる変化

ここでは、口腔がんの手術後の外見や機能回復までの経過、日常生活への影響について詳しく説明します。手術の内容によって、腫れやむくみ、発音や食事のしにくさが一時的に現れる可能性がありますが、その多くは時間の経過とともに少しずつ改善していきます。

治療方法と手術の進め方

口腔がんの基本的な治療方法は手術で、根治を目指す目的で行われます。リンパ節への転移があった場合は頸部郭清術、切除範囲が大きい場合は、再建手術を行う場合もあります。また、ステージの進行度に応じて手術後に放射線治療や化学療法を行ったり、つらい症状を和らげる目的で緩和治療などを行ったりします。

口腔がんの治療期間は、入院であれば1週間から1カ月程度が一般的です。再手術が必要な場合は入院期間が1カ月から2カ月というケースも珍しくありません。また、再建手術を伴う場合や術後の放射線・化学療法を含めると、通院を含めた加療期間が全体で3カ月程度に及ぶこともあります。(※4)

「食べる」または「話す」機能が損なわれる不安感から、手術に躊躇してしまう患者さんも少なくありません。しかし、近年の口腔がんの治療体系が整備されており、確立された治療を着実に行えば生存率を高められます。担当医に術後の経過や後遺症などを確認して、治療を進めていきましょう。

治療を受けるにあたり、口の中にある細菌が原因で感染症になる場合もあるため、合併症予防で口腔ケアを積極的に行いましょう。粘膜を傷つけないようなケアや、口腔内を湿潤させるための水分補給などが口腔衛生を保つために有効です。

回復までの経過と日常生活への影響

口腔がんの手術後は、さまざまな後遺症に悩まされる可能性があります。特に、生活するうえで必要な「食べる」または「話す」といった日常生活に欠かせない機能に影響が及ぶ場合があるため、術後早期からリハビリテーションを実施するケースも少なくありません。

食べ物をうまく飲み込めない嚥下障害や、正しい発音が難しくなる構音障害が発生すると、リハビリテーションによる訓練が必要です。口腔がんのリハビリでは、担当医師や看護師をはじめ、言語聴覚士や管理栄養士、歯科口腔外科医、歯科衛生士などが連携し、回復を支援します。

手術による動かしにくさやしびれなどがある場合でも、安静期間を過ぎたら喉や舌などを積極的に動かしましょう。日常的なリハビリテーションにつながります。

口腔がんは、回復スピードの個人差が大きく、機能や外観は術後数カ月から長期にかけて段階的に改善されていきます。治療やリハビリの継続で、時間をかけて日常生活に戻っていくと考えておきましょう。

口腔がんの手術に不安な場合は無料相談の活用も

口腔がんの治療法は確立しており、手術内容や再建の必要性、回復の見通しについては、事前に確認できます。また、具体的な治療方法は、口腔がんの種類や進行度によって異なるため、経過や後遺症など確認しておくと安心です。

ただ、手術後の顔の変化や生活といった悩みについては、主治医には直接聞きづらいと感じる方も少なくありません。そうした悩みこそ、事前に聞きたい内容を整理して専門の相談窓口を活用するのも有効です。

口腔がんの手術後の変化は人それぞれですが、疑問点を一つひとつクリアにし、納得したうえで治療に臨めるよう心がけましょう。

(※1)国立がん研究センター|口腔がん
(※2)国立がん研究センター|口腔・咽頭
(※3)国立がん研究センター|口腔がんの検査・診断について
(※4)国立がん研究センター|口腔がんの療養について

井林 雄太

医師|日本内科学会認定内科医・日本内分泌内科専門医

福岡ハートネット病院勤務。国立大学医学部卒。日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。
「一般社団法人 正しい医療知識を広める会」所属。総合内科/内分泌代謝/糖尿病の臨床に加え栄養学/アンチエイジング学が専門。
臨床業務をこなしつつ、大手医学出版社の専門書執筆の傍ら、企業コンサルもこなす。「正しい医療知識を広める」医師ライターとして多数の記事作成・監修を行っている。 

プロフィール詳細

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