子宮頸がんの再発率はどれくらい?再発の起きやすい場所はどこ?

子宮頸がんの再発率はどれくらい?再発の起きやすい場所はどこ?

子宮頸(けい)がんとは、子宮頸部という子宮の入り口部分にできるがんのことです。

がんは喫煙・飲酒・食生活など、さまざまな要因によって発症していると考えられていますが 、子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV) というウイルスが主な原因ということが分かっています。

国内では、毎年約1万人もの人が罹患(りかん)している子宮頸がん ですが、克服したけれど、再発が心配」という方も多いのではないでしょうか。

子宮頸がんが再発する確率はどのくらいなのか、そ して、再発してしまったらどのような治療が行われるのでしょうか。再発リスクを低減させる方法とともに詳しく見ていきましょう。

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目次

子宮頸がんの再発率

子宮頸がんはどのくらいの確率で再発するものなのか、気になる方は多いことでしょう。

一般社団法人日本癌治療学会 による子宮頸がんのがん診療ガイドラインによると、子宮頸がんの再発率は治療方法によって異なり、円錐切除術の再発率は2~18%、広汎子宮頸部摘出術(腹式手術)で3.8%。手術をした部分だけに再発する「局所再発」については手術療法が27%、放射線治療が6%と報告されて います。

参照:子宮頸がんのがん診療ガイドライン(日本がん治療学会)

再発の時期は2~3年後が多い

それでは、治療後、再発する可能性が高い時期はどれくらいなのでしょうか。

子宮頸がんの再発で特徴的なのは、治療からおよそ2~3年後に集中している点です。

子宮頸がんの再発時期で多いのが、治療後2~3年で全体の約75%に 上ります。ただし、治療から3年以上や5年以上経過してからの再発例もあるため、長期的な経過観察は必要不可欠です。

進行しているほど5年生存率は下がる

子宮頸がんに限ったことではありませんが、がんから命を守るために何より大切なのは、早期に発見し、すぐに治療にあたることです。子宮頸がんにおいても、がんが進行しているほど、5年生存率は下がることが分かっています。

全国がんセンター協議会の 統計では、I期の5年相対生存率は93.6%です(2011-2013年診断症例) 。Ⅱ期では82.2%、Ⅲ期で67.9%、Ⅳ期で26.5%とステージが進むごとに5年生存率は大きく下がることがわかっています。再発したがんは初発のがんと同様、発見や治療が早ければそれだけ予後も良くなります。そのため、再発がんも早期発見・早期治療がとても大切です。

再発しやすい部位や臓器

子宮頸がんの再発で多いのは子宮です。

全摘したとしても、子宮があった場所に再発することが多く、再発がんの約4分の1 が子宮で見つかります。また、肺、脳、傍大動脈リンパ節、骨への転移も多くなっています。

再発した子宮頸がんの治療法

子宮頸がんが再発した場合、どのような治療方法が取られるのでしょうか。

万が一、再発した場合に備えて、治療方法をあらかじめ知っておきたいという方も多いでしょう。再発した子宮頸がんの治療は、初発時の治療で放射線治療を行った場所か、そうでない場所かによって変わります。

放射線をあてていない部位の再発治療

放射線をあてていない部位に再発したがんの治療方法の選択肢は、放射線治療です。

放射線治療中に、抗がん剤や分子標的による治療も検討されます。最初にがんができた場所から離れた部位や臓器に再発した場合や、再発したがんの数が多い場合には、症状を和らげる目的として放射線治療が行われることも少なくありません。

また、骨盤内に再発した場合には、骨盤除臓術 という手術方法によって膀胱、尿管、直腸、腟なども合わせて摘出するケースもあります。その際には、人工肛門や人工膀胱を作る必要があります。

放射線をあてた部位の再発治療

初発時のがんの治療で放射線をあてた部位に再発した場合、合併症の頻度が高くなるため、薬物治療を選択されることが多いでしょう。

しかし、この状態での薬物療法は高い効果が期待できない場合もありますので、患者さんのQOL(生活の質)を保つために症状を和らげることを目的とした治療も検討されます。

なお、肺や脳など、ほかの臓器へ再発することも少なくありません。その場合は、患者さんの状態や再発した病巣の状態、治療歴などを考慮した上で、放射線治療や手術療法、化学療法などの中から適切な方法が検討されます。

子宮頸がんの再発予防法

子宮頸がんを経験したことのある方は、少しでも再発リスクを低減させたいと思っていることでしょう。最後に、どのように生活していけば、子宮頸がんの再発リスクを抑えられるのかを説明します。

経過観察の期間は長期にわたる

子宮頸がんの再発から命を守るために一番大切なことは、再発したがんをできるだけ早く発見することです。再発したがんを早く発見して早期に治療を開始できれば、命を落とすリスクを下げられます。

がんはステージが進んでいなければ、命を守ることが可能な病気です。

子宮頸がんも、I期の5年生存率は93.6%ですが、Ⅳ期になると26.5%にまで下がってしまうのです。

再発がんも同様で、早期に治療すればするほど予後は良くなります。再発したがんを早期に発見するために、定期的な検査をしておきましょう。

子宮頸がんは、治療後2~3年以内の再発が多いため、特に治療後2~3年は3~6カ月などの短いスパンで検査を行っていく必要があります。その後、5年目までは6~12カ月、6年目以降は1年ごとの検査が推奨されています。

子宮頸がんの再発の主な兆候は、骨盤内の痛み、腰から背中にかけての痛み、不正出血、おりものの増加などです。そういった症状が現れたら、次の検査のタイミングを待つのではなく、できるだけ早期に受診しましょう。

再発予防に効果のある食事

がんは生活習慣と関連の深い病気です。生活習慣病と聞くと、多くの方が高血圧や糖尿病を思い浮かべるかもしれませんが、生活習慣を改善することである程度のがんを予防することができます。

公益財団法人日本対がん協会では、「がんを防ぐための新12か条」として、「バランスのとれた食生活を」「野菜や果物は不足にならないように」「塩辛い食品は控えめに」 といった食生活を推奨しています 。ほかにも公益財団法人がん研究振興財団 などといったさまざまな団体から再発予防のためのレシピ集 などが刊行されています。中には無料で閲覧できるものもありますので、気になる方はチェックして、この機会に食生活を見直してみてはいかがでしょうか。

子宮頸がんの再発について【まとめ】

子宮がんの再発を心配しながらの生活はとても苦しいものでしょう。

再発したがんから命を守るために一番重要なのは、再発したがんをできるだけ早く発見することです。早期に治療につなげられれば命を失うリスクを軽減できます。

また、がんは生活習慣病という側面もある病気のため、再発防止のために生活習慣を改善することも有効です。生活習慣を改善しながら、医師の指導を守って定期的に検査をしていきましょう。

1.PubMed|Increasing disparities in the age-related incidences of colon and rectal cancers in the United States 1975-2010
2.国立がん研究センター がん情報サービス|大腸がん検診について
3.にしやま消化器内科|大腸がんになりやすい年齢や生活習慣
4.イムス総合サービスセンター|大腸がんセルフチェック
5.飲むだけカプセル内視鏡|あなたは大丈夫?大腸がんチェック
6.国立がん研究センター 東病院|大腸がんについて
7.日本医師会|大腸がんとは?
8.国立がん研究センター がん統計|最新がん統計
9.地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター|院内がん登録研修会(大阪府内医療機関対象) ―わが国に多いがん・比較的少ないがんの要点―
10.がん再発予防.com|子宮がんにおける再発予防
11.メディカルノート|子宮頸がんの再発する確率と生存率~子宮を全摘した場合の再発のリスクとは~
12.九州労災病院|がん治療 子宮頸がん

吉村 友希

神戸大学大学院医学研究科バイオメディカルサイエンス専攻 薬物動態学分野。分子標的薬の副作用に関係する研究について、研究・ディスカッションに参加。大手グローバルCROにて医薬品開発職に従事。

プロフィール詳細

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