薬の飲み忘れをなくすには?ついつい忘れてしまう対処法をご紹介!

薬の飲み忘れをなくすには?ついつい忘れてしまう対処法をご紹介!

「うっかり薬を飲み忘れてしまった」。

誰もが一度や二度、こういった経験をしたことがあるのではないでしょうか。

病気をきちんと治していくためには、決められた量の薬を決められた時間に飲むことはとても大切です。とはいえ、人間ですから、ついつい忘れてしまうこともあります。

なぜ、決められた量の薬を決められた時間に飲むことが重要なのでしょうか。そして、もし薬を飲み忘れてしまったらどのように対処すればよいのでしょうか。

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目次

服薬管理の重要性

決められた量の薬を決められた時間に飲むように管理することを服薬管理といいます。

病気を治療する上で、服薬管理が非常に重要といわれています。なぜ、服薬管理が重要なのでしょうか。きちんと服薬管理をしないと、どのようなことが起こってしまうのでしょうか。

薬の効果を最大限に発揮させるために重要

まず、前提として、飲む薬を間違ってしまうと、時には命に関わることがあることは押さえておきましょう。さらに、医師が処方した薬を正しい量、正しいタイミングで飲むことは、薬が正常な効果を発揮する上で非常に重要です。

例えば、胃の調子を整え、食欲を増すように働きかける薬は食前に飲むべき薬ですが、この薬を食後に飲んだらどうなるでしょうか。

適切なタイミングで服用しないと、薬の十分な効果を期待できなくなります。

耐性菌を作り出す原因になることも

薬を飲み忘れたり、自己判断によって減薬したりすると、耐性菌 を作り出してしまうリスクも生じます。耐性菌とは、薬が効かない菌のことで、不適切に抗菌薬(細菌を壊したり、増えるのを抑えたりする薬) を使うことで生まれやすくなるものです。

医師が抗菌薬を処方する際には、患者さん一人一人の年齢や体重、腎臓や肝臓の機能を計算して処方しています。医師は、感染症を起こしている菌を推定、または検査によって同定し、最も適切な抗菌薬を選んで処方しています。

患者さんが薬を飲み忘れたり、勝手に減薬したりすると、症状がよくならないだけでなく、耐性菌を作り出してしまいます。

耐性菌は、「このまま何も対策を講じない場合、2050年にはがんによる死亡者を超えて1,000万人に達する」と2014年に エコノミストのジム・オニール氏 によって報告されている ほど、怖いものです。

薬を飲み忘れることによって、薬の効果が出ないばかりか、新たな病気の原因を作り出してしまうのです。

服薬のタイミングは8種類

「食前とは食前何分前?」「食中とは?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。服薬のタイミングを頭に入れておきましょう。

服薬時間薬を飲む時間
食直前食事の直前
食前食事をする前の約30分以内
食直後食事の直後
食後食事を食べ終えてから30分以内
食間食事と食事の間(前の食事から約2時間程度過ぎてから)
起床時朝、起きてすぐ
就寝前就寝の約30分前
頓服症状を和らげたいとき

飲み忘れたらどうすればいい?

ここまで見てきたように、決められた時間に決められた量の薬を飲むことが病気を治す上でとても大切ですが、どうしても忘れてしまうことはあります。

万が一、薬を飲み忘れてしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

気付いたらすぐに飲む

薬を飲み忘れたことにすぐに気が付いたとしたら、気付いた時点で飲みましょう。

胃に負担のかかる薬の場合、何か軽いものを食べた上で薬を飲んでください。

飲み忘れたのが、次回の服薬タイミングに近い場合は、今回分を飲むのをやめて次回のタイミングで飲んでください。なお、週1回や月に1回の薬を飲み忘れた場合、次の日の決められた時間に飲むようにしましょう 。

2回分を一気に飲むのはNG

薬を飲み忘れたから といって、2回分の薬を一度のタイミングで飲むことは避けてください。

2回分を服用しても、2倍の効果を得られるわけではありません。それどころか、副作用が出たり、体調を崩したりしてしまうといったことも考えられます。

「食前」の薬を「食後」に飲むとどうなる?

前述したように、胃の調子を整え食欲を増すように働きかける薬は、食後に飲んでも薬の効果が十分に発揮されません。

注意が必要なのは、何らかの理由で服薬のタイミングが厳格に決められている薬です。

例えば、糖尿病の薬で食直前に飲む薬がありますが、飲み忘れたからといって、食後に飲んでしまったら、低血糖症状を 起こしてしまうかもしれません。低血糖症状は、意識消失の恐れがある怖い症状です。

ほかにも、食前の薬を食後に飲んでしまうと、症状が悪化したり、副作用が出たりする場合もあります。飲み忘れた場合、どう対処すればよいかは、医師や薬剤師に相談してください。

薬の飲み忘れを防ぐ対処法

十分気を付けていても、薬の飲み忘れを完全になくすことは難しいものです。

人間ですから、ついうっかり忘れてしまうということは起こります。とはいえ、薬を頻繁に飲み忘れてしまうと、症状がなかなか改善しないばかりか、体調を悪化させてしまう可能性もあります。薬の飲み忘れを防止するには、どうすればよいのでしょうか。

アプリを活用する

薬を飲む時間になるとアラームで知らせてくれるスマートフォンアプリが多数 リリースされています。

例えば、大手調剤薬局チェーン・日本調剤のアプリ「お薬手帳プラス」では、処方された薬のほか、購入した市販薬をまとめて 管理することが可能です。さらに、薬の服用時間になると、アラームで知らせてくれる機能も搭載しています 。

お薬カレンダーを活用する

お薬カレンダーとは、患者さんが薬を飲み忘れないために作られたカレンダーで、カレンダーの日付に薬を入れるポケットが付いています。

薬を飲むタイミングごとに、ポケットに薬を入れていき、順番に飲んでいくことで薬の飲み忘れや飲み間違いを防止できます。自分だけではなく、家族も薬の飲み忘れがないかを一目で把握できる点が利点です。

調剤時に一包化してもらう

複数の薬を 処方されている方におすすめなのが、調剤時に複数の薬を一つの袋にまとめてもらうことです。

飲むタイミングごとに一つの袋にまとめることで、薬の飲み忘れや誤って間違った薬を飲んでしまうことを防止できます。

高齢の患者さんには家族の協力が不可欠

高齢の患者さんの中には、自分自身で服薬管理をすることが難しい方も少なくありません。そういった患者さんにとって、家族の存在が非常に大きなものになります。

患者さんがきちんと決められた時間に決められた量の薬を飲んでいるか、常日頃から見守り、フォローしてあげてください。

【まとめ】服薬管理について

薬の飲み忘れはダメだとわかっていても、どうしても忘れてしまうこともあります。

特に、慢性疾患で長期間薬を服用している方の中には、ついつい薬を飲み忘れてしまった経験がある方も多いでしょう。とはいえ、薬を飲み忘れてしまったり、間違った薬を飲んでしまったりすると、病気や症状が改善しないばかりか、新たな病気の原因になってしまいかねません。

病気や症状をきちんと改善させるためにも、体調を管理していくためにも、決められた時間に決められた量の薬を飲むことが重要です。飲み忘れが心配という方は、スマートフォンアプリやグッズなどを活用してみてはいかがでしょうか。

1.健達ねっと|上手な服薬管理のコツ!服薬管理の重要性・飲み忘れ時の対応は?
2.全国健康保険協会|お薬を飲み忘れてしまったら
3.E PARK くすりの窓口|薬を飲み忘れたらどうしたらいい?意外と知らない|飲み忘れ対処法
4.中外製薬|耐性菌とは
5.亀田メディカルセンター 医療法人鉄蕉会 医療ポータルサイト|薬剤耐性菌について
6.奈良県|薬剤耐性菌による感染症
7.再発転移がん治療情報|【QOL(生活の質)】薬の飲み忘れを防ぐコツ
8.日本調剤|飲み忘れを防ぐには?
9.すまいるナビゲーター|薬の飲み忘れ対策みんなのアイディア大公開!
10.SHINRYO|在宅時に使える!!便利な|おくすり飲み忘れ防止グッズをご紹介
参照日:2022年11月

大塚 真紀

医師|総合内科専門医・腎臓内科専門医・透析専門医

東京大学大学院医学系研究科卒。医師、医学博士。博士号は、マウスを用いた急性腎障害に関する研究で取得。専門は、腎臓内科、透析。都内の大学病院勤務を経て、現在は夫の仕事の都合でアメリカ在住。医療関連の記事の執筆や監修、医療系動画監修、企業戦略のための医療系情報収集、医療系コンテンツ制作など幅広く行なう。保有資格:医学博士、総合内科専門医、腎臓内科専門医、透析専門医

プロフィール詳細

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