生活習慣病とは?生活習慣病とがんとの関係を解説

生活習慣病とは?生活習慣病とがんとの関係を解説

食事や運動、睡眠、喫煙、飲酒などの生活習慣が原因で起こる疾患の総称である「生活習慣病」。生活習慣病という言葉は知っていても、具体的にどういった生活習慣に気をつければいいか、わからない方も多いと思います。

生活習慣病は、がんと密接に関係しているといわれています。この記事では、生活習慣病とはなにかを解説し、生活習慣病にならないために注意すべきことを紹介します。さらに、がんと生活習慣病との関係についても詳しくみていきましょう。

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目次

そもそも生活習慣病とはなにか

そもそも、生活習慣病とはどのような疾患なのでしょうか。生活習慣病とは、文字通り、食事や運動、睡眠、喫煙、飲酒などの「生活習慣」が乱れることで引き起こされる疾患の総称です。ここでは、生活習慣病の特徴や主な生活習慣病、生活習慣病が起こる原因をみていきます。

以前は成人病と呼ばれていた

生活習慣病は、以前は「成人病」と呼ばれていたことを覚えている方も多いのではないでしょうか。成人病は、医学用語ではなく、脳卒中やがん、心臓病などの死亡率が40歳前後から高くなることから、主に行政が慣習として使っていた言葉です。

しかし、成人病の研究が進むにつれ、成人病の主な原因は年齢よりもむしろ生活習慣にあるとされています。生活習慣によっては高齢であっても発症 リスクを低下させることができ、反対に若い人であっても発症することがわかってきたのです。

そこで、1996年に当時の厚生労働省が「成人病」から「生活習慣病」に改めることを提唱。以来、生活習慣病と呼ばれることが一般的になりました。

主な生活習慣病

生活習慣病に該当する主な疾患は、以下の通りです。

  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 2型糖尿病
  • 循環器疾患 (心筋梗塞、狭心症など)
  • 高尿酸血症/痛風
  • 肥満症/メタボリックシンドローム
  • 脂肪肝/非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)/非アルコール性肝炎(NASH)
  • アルコール性肝炎
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD、肺気腫や慢性気管支炎)
  • がん
  • 歯周病

これらの疾患は、発病しても初期段階では自覚症状がほとんど現れないこともあります 。そのため、生活習慣病にかからない生活習慣を心がけることが非常に重要です。

生活習慣病になる原因とは

生活習慣病を引き起こす原因は、以下の5つに分けられます。

  • 運動
  • 飲酒
  • 喫煙
  • 休養とストレス

食習慣の悪化が原因となる生活習慣病は、肥満症/メタボリックシンドローム、脂質異常症、2型糖尿病、循環器疾患、大腸がん、乳がん、歯周病などです。

運動習慣の悪化が原因となる生活習慣病には、肥満症/メタボリックシンドローム、脂質異常症、2型糖尿病、循環器疾患などがあります。

飲酒習慣の悪化が原因となる生活習慣病は、アルコール性肝炎や脂肪肝などです。喫煙習慣が原因になる生活習慣病には、慢性閉塞性肺疾患(COPD、肺気腫や慢性気管支炎)、循環器疾患、歯周病、がんなどがあります。

休養不足とストレス過多は、多くの生活習慣病の発生リスクを増大させることがわかっています。

がんと生活習慣病との関係

生活習慣病の予防に関心がある方の多くは、がん予防にも関心があるのではないでしょうか。ここでは、生活習慣病とがんとの関係をみていきましょう。

一部のがんは生活習慣病が関係する

そもそも、がんは、生活習慣病のひとつであるとの考え方もあります。それは、肺がんや喉頭がんは喫煙習慣、大腸がんは食生活の欧米化など、生活習慣との関係が指摘されているがんは数多くあるからです。

たとえば、喫煙者の方が喫煙歴のない人より肺がんの発生リスクが男性は4.8倍、女性は3.9倍に増加します。なお、喫煙者は術後に肺炎などの合併症が起こるリスクが増大するなど、生活習慣の悪化は治療の経過にも影響を与えることがあります。

また、大腸がんになる原因のひとつは、飲酒を含む食生活であると指摘されています。ここ20年で日本における大腸がんの死亡数は1.5倍に拡大している背景には、日本人の食生活の欧米化があると考えられているのです。ただ、食生活をあらためたからといって、すぐに腸内環境が改善するわけではありません。そのため、将来、大腸がんにかかるリスクを少しでも低減するためには、早め早めに食生活を改善していく必要があります。

がん予防と生活習慣病予防は同じ意味

がん予防に効果があるとされているのは、「禁煙」「節酒」「正しい食生活」「身体活動」「適正体重の維持」の5つです。これらのすべてに気をつけている人と、気をつけていない人とでは、がんの発生リスクはどれくらい変わるのでしょうか。

5つすべてを実践した人は、なにもしていない人に比べると、がん発生リスクが男性で43%、女性で37%低下したという研究が発表されています。さらにこの研究では、4つを実践した人のがん発生リスクは、男性で39%、女性で32%と、実践したものが多いほどがん発生リスクは低下させられるとしています。

ここで、「禁煙」「節酒」「正しい食生活」「身体活動」「適正体重の維持」の5つは、生活習慣予防のキーワードとほぼ同じと気づいた方も多いのではないでしょうか。がん予防法と生活習慣病予防法は、ほぼ同じであるといえるのです。

生活習慣病にならないために注意すべき生活習慣とは

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最後に、生活習慣病にならない生活習慣とはどのようなものなのかをみていきましょう。ご自身が生活習慣病にならないための生活習慣づくりの参考にしてください。

喫煙をしない

喫煙は「百害あって一利なし」といわれているように、がん予防や生活習慣病予防のためには禁煙するべきでしょう。

タバコに含まれるニコチンには、血管収縮作用があり、血流が悪化することで免疫に関係する細胞の機能を低下させて免疫力が落ち、がんの発生リスクも上がることがわかっています。また、喫煙は、代表的な生活習慣病のひとつである心疾患(狭心症、心筋梗塞など)、慢性閉塞性肺疾患(COPD、肺気腫や慢性気管支炎)の主な原因でもあります。

適度な運動を取り入れる

生活習慣病予防やがん予防のためには、生活のなかに適度な運動を取り入れることも欠かせません。高血圧症、糖尿病などの生活習慣病の発生リスクは、運動量が多い人ほど低下するといわれています。また、国立がん研究センターの研究では、運動量が多い人のほうが男女ともにがん発生リスクを低下させることが明らかになっています。

「適度な運動とはどれくらい」と思う方も多いでしょう。厚生労働省では、「健康づくりのための身体活動基準2013」を策定。このなかで、「息が弾み、汗をかく程度の運動を週2日以上30分以上行う」ことを推奨しています。

厚生労働省 健康づくりのための身体活動基準2013
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple.html

1日7~8時間の睡眠をとる

人間は、睡眠時に心身ともに疲労を回復します。十分な睡眠時間をとれないと、心身の疲れがとれず、免疫力も低下してしまうため、がんや生活習慣病のリスクも増大します。

ただ、睡眠時間は長ければよいというわけではありません。厚生労働省の調査では、睡眠時間が長すぎても死亡リスクが上がることがわかっています。睡眠時間が7時間の場合の発生リスクを1とした場合、10時間以上の睡眠は男女ともに脳卒中で死亡するリスクが約1.7倍に上がっています。 1日7~8時間を目安に、睡眠をとるようにしましょう。

栄養バランスのとれた食事をとる

食生活の乱れは、生活習慣病のリスクもがんのリスクも増大させることがわかっています。栄養バランスのとれた食生活を取り入れましょう。ただ、「栄養バランスがとれた食生活ってなに?」と思う方もいるでしょう。

厚生労働省と農林水産省では、共同で「食事バランスガイド」を策定しています。

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出典:厚生労働省「食事バランスガイド」

これによると、1日に主食はご飯中盛で4杯程度、副菜の野菜料理は5皿程度、肉・魚・卵などを使った主菜は3皿程度が推奨されています。これに加えて、1本程度の牛乳瓶と果物2個(りんごなど大きなものは半分で1個分)ほどが栄養バランスのとれた食事の目安です。

まとめ

生活習慣病は、食事や運動、睡眠、喫煙、飲酒などの生活習慣を起因とした疾患の総称です。また、がんも生活習慣病のひとつと考えられています。生活習慣病の多くは、発病しても自覚症状があまりなく、気づいたときには重篤な状態になっているケースも少なくありません。

それだけに、いかに生活習慣病にかからないように予防していくことが重要になります。生活習慣病は、生活習慣を原因とした疾患だけに、生活習慣を見直すことで予防することができるのです。がんや生活習慣病を予防するためにも、まずはご自身のライフスタイルを見直しし、適切な生活習慣を探ってみてはいかがでしょうか。

1.e-ヘルスネット 生活習慣病
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-040.html
2.e-ヘルスネット 主な生活習慣病
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic-summaries/m-05
3.生活習慣病とその予防 生活習慣病に該当する病気
http://www.seikatsusyukanbyo.com/prevention/about.php
4.厚生労働省 生活習慣病予防
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seikatsu/seikatusyuukan.html
5.日本医師会 肺がんの原因
https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/type/lung/cause/
6.日本医師会 肺がんの原因
https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/type/largeintestine/cause/
7.がん情報サービス 科学的根拠に基づくがん予防
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html
8.公益残団法人長寿科学振興財団 生活習慣病予防と運動
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shippei-undou/gan-yobou.html
9.第二次今治市健康づくり計画推進事業 知ってほしいタバコの害
https://www.city.imabari.ehime.jp/kenkou/barittogenki/siryo6.pdf
10.e-ヘルスネット アクティブガイド
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-01-002.html
11.厚生労働省 食事バランスガイド」について
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html
12.e-ヘルスネット 生活習慣病
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-01-001.html
13.JACC 睡眠時間と循環器疾患死亡
https://publichealth.med.hokudai.ac.jp/jacc/reports/ikehara2/index.html
14.農林水産省 実践食育ナビ
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/balance/division.html
参照日2022年2月

成田 亜希子

内科医

2011年医師免許取得。一般内科医として幅広い疾患の患者様の診療を行っている。行政機関に勤務経験もあり、がん対策にも携わってきた。

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