大腸がんから肝臓に転移したらどうなる?余命や治療法をわかりやすく解説
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大腸がんから肝臓に転移したらどうなる?余命や治療法をわかりやすく解説

大腸がんは進行すると肝臓へ転移することがあります。転移が見つかった際、「余命はどのくらいなのか」「治療法はあるのだろうか」と、不安を抱く患者さんやご家族も少なくありません。

しかし近年、肝臓に転移したがんに手術が適応となるケースや、抗がん剤や分子標的薬などの薬物療法によって改善が期待できるケースも増えてきています。

本記事では、大腸がんが肝臓に転移する仕組み、余命や生存率の考え方、手術ができるケースとできないケースについて解説します。

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目次

大腸がんが肝臓に転移するとはどのような状態?

大腸がんの肝臓への転移が認められた場合、まずは身体の状態を理解することが大切です。ここでは、大腸がんの転移の種類や特徴、ステージ(進行度)と転移との関係について解説します。

転移の種類と特徴

大腸がんは、他の臓器に転移しやすいといわれています。主な転移の種類として、「血行性転移」「リンパ行性(こうせい)転移」「腹膜播種(ふくまくはしゅ)」があります。

特に大腸がんでは、血行性転移が起こりやすいとされており、肝臓や肺で多く見られるのが特徴です。

大腸がん
の転移の種類
特徴
血行性転移・がん細胞が血液の流れに乗って他の部位に移ることで起こる。
・血行性転移は肝臓の他に肺や脳、骨などで起こりやすい。
リンパ行性転移・がん細胞が周囲のリンパ管に入り、リンパの流れに乗って遠く離れたリンパ節まで広がる。
腹膜播種・人間の腹部には、肝臓・胃・大腸・小腸などの臓器を覆う「腹膜」と呼ばれる部位が存在する。がん細胞が種をまくように腹膜へ散らばることで起こる転移。

大腸がんのステージと転移の関係

大腸がんのステージは、がんの深さやリンパ節への転移、他の臓器への転移があるかを評価し、ステージ0からⅣまで分類されます(※1)。診断時に肝臓への転移が認められた場合は、「ステージⅣ」と診断されます(※2)。大腸がんのステージの詳細は、以下の通りです。

ステージがんの状態
0期粘膜内にとどまっている
Ⅰ期固有筋層(粘膜の外側にある厚い筋肉の層)にとどまっている
Ⅱ期固有筋層の外まで広がっている
Ⅲ期周辺のリンパ節に転移している
Ⅳ期血行性転移や腹膜播種、遠くのリンパ節への転移がある

大腸がんが転移した場合の生存率と余命

がんの治療を検討するうえで、今後の見通しとなる「生存率」や「余命」などのデータを目にするときもあるでしょう。前向きに治療に取り組むには、数値の意味を正しく理解することが大切です。

生存率と余命の考え方

がんの統計において、治療成績を示す指標としてよく用いられるのが「5年相対生存率」です。5年生存率とは、がんと診断された人が5年後に生存している割合を、同じ年齢・性別の一般の方の生存率と比較した数値です。5年生存率が高ければ高いほど、治療効果が得やすいと考えられます。

一方「余命」とは、罹患した方が「あとどのくらい生きられるか」を医師が予測した期間です。医師からの説明では「生存期間中央値」が用いられるときがあります。生存期間中央値は、同じ病気・同じ状態の方が100人いた場合、半数の50人目の方が亡くなった時期のことです。

これらの数値は、あくまでも過去の統計学的なデータを基にしたものです。患者さんの年齢や体力、がんの性質によって異なるため、すべての方に当てはまるわけではないことを理解しておきましょう。

大腸がんが肝臓に転移した場合の5年生存率

大腸がん全体の5年相対生存率(2009年から2011年)は、71.4%(男性72.4%、女性70.1%)です(※3)

ステージ別に見ると、ステージⅠ・Ⅱでは97.3%、ステージⅢでは75.3%と比較的高い数値です(※3)。一方、肝臓や肺などへの遠隔転移があるステージⅣになると17.3%まで低下します(※3)

数値はあくまで統計的な数値に過ぎません。近年の医療技術は日々進歩し、新しい薬剤も登場しています。大腸がんの肝臓転移においても、部位や状態によって手術で改善が目指せるケースもあるため、医師と相談しながら適切な治療の選択肢を検討していきましょう。

大腸がんの転移で手術できる・できないと判断されるケースの違い

大腸がんが肝臓転移した際の治療は、転移したがんの数・大きさ・部位、肝臓の予備機能を評価し、「がんを切除できるかどうか」で判断されます。手術ができるケース、手術ができないケースを詳しく見ていきましょう。

手術ができるケース

大腸がんの肝臓転移では、転移したがんが手術のうち切除可能なケースでは手術が推奨されます。また、手術ができないケースでも、薬物療法の効果により手術が可能になることもあります。

手術の対象と判断される状態は、主に以下の通りです。

  • 転移したがんを残さずに切除できる
  • 手術に耐えられる体力がある
  • 肝臓以外の臓器に転移がない
  • 手術後も、残った肝臓で十分な機能が保たれる見込みがある

手術ができないと判断されるケース

一方で、手術の対象とならないケースでは、薬物療法や放射線療法といった他の治療が選択されます。

手術ができないと判断される状態は、主に以下の通りです。

  • 切除後に肝臓の機能が維持できない
  • がんの数や場所の問題で、切除できない部分が残る可能性がある
  • 手術に耐えられる体力がない

手術ができない場合の治療法

大腸がんの手術が適用外と判断された場合でも、治療が終わるわけではありません。代替えの治療法が検討されます。ここでは、手術以外の主な方法3つについて、詳しく解説します。

薬物療法(抗がん剤・分子標的薬)

手術ができないと判断された場合に、治療のメインとなるのが薬物療法です。抗がん剤や分子標的薬などを点滴や内服で体内に取り入れ、がんの進行を遅らせたり、つらい症状を和らげたりする効果が期待できます。

薬物療法の適用基準は、自力で歩いて身の回りのことができる、肝臓や腎臓の機能が保たれている、がん以外の重篤な病気がないといった点が基準となります。治療を始める前には、がんの遺伝子検査を行うのが一般的です。

また、薬物療法においては、吐き気や嘔吐、食欲不振、便秘などの副作用を伴うことがあります。使用される薬剤ごとにさまざまな副作用が起こるため、治療前に主治医に十分に確認することが大切です。

放射線療法

大腸がんの放射線療法として、「補助放射線治療」と「緩和的放射線治療」があります。肝臓への転移では、症状を和らげる目的で行う「緩和的放射線治療」が選択肢となります。

がんが5cm以内・転移の個数が3個以内の場合には、がんを小さくすることを目的とした「定位放射線治療」が行われることもあります(※4)。定位放射線治療とは、がんに対して多方向から放射線を集中して照射する方法です。ただし、治療中には、だるさや吐き気、食欲不振、皮膚炎などの副作用が起こる場合もあります。

免疫療法

免疫療法は、体内に備わっている免疫の働きを活性化させ、がん細胞を攻撃する治療法です。近年、大腸がんの治療において新たな選択肢として注目されています。

一方、現時点では治療で効果が認められているケースは限られています。具体的な対象は、遺伝子に生じた傷を修復する機能が働きにくい場合や、がん細胞の遺伝子変異の量が多い場合です。

緩和ケア・支持療法

緩和ケア・支持療法は、がんによる心身や社会面でのつらさを和らげたり、副作用を軽くしたりするために行われます。終末期の方だけが行うものと誤解されやすいですが、がんと診断された初期の段階から必要なケアです。

医師や看護師、臨床心理士などの専門職がチームとなり患者さんをサポートします。通院や入院、あるいは自宅でもケアを受けられます。

また、がんや薬物療法の影響で起こる外見の変化に対する悩みにも対応可能です。悩みや心配ごとは一人で抱え込まず、医療従事者やがんの相談センターに相談してください。

まとめ

医師から大腸がんから肝臓への転移が告げられると、計り知れない不安を抱くでしょう。しかし、近年の医療技術は着実に進化を遂げており、選択肢の広がりを見せています。

何よりも重要なのは、ご自身の身体の状態や治療方針について主治医と十分にコミュニケーションを交わし、疑問点や不安はそのままにしないことです。必要に応じてセカンドオピニオンも活用し、納得できる治療法を選択していきましょう。

(※1)国立がん研究センター|大腸がん(結腸がん・直腸がん)
(※2)国立がん研究センター|ステージ4大腸がんの新たな標準治療を検証
(※3)国立がん研究センター|大腸
(※4)大腸癌研究会|大腸癌ガイドライン 医師用2024年版 各論

井林 雄太

医師|日本内科学会認定内科医・日本内分泌内科専門医

福岡ハートネット病院勤務。国立大学医学部卒。日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。
「一般社団法人 正しい医療知識を広める会」所属。総合内科/内分泌代謝/糖尿病の臨床に加え栄養学/アンチエイジング学が専門。
臨床業務をこなしつつ、大手医学出版社の専門書執筆の傍ら、企業コンサルもこなす。「正しい医療知識を広める」医師ライターとして多数の記事作成・監修を行っている。 

プロフィール詳細

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