子宮全摘出後の生活と注意点|術後の回復過程と治療の選び方
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子宮全摘出後の生活と注意点|術後の回復過程と治療の選び方

子宮の病気に対する治療法の一つに「子宮全摘出」があります。子宮を全摘出すると妊娠できなくなり、身体面だけでなく、精神面にも大きな影響を及ぼします。さらに、手術後には体調の変化や生活上の制限が生じることもあり、回復に向けた適切なケアと周囲のサポートが欠かせません。

本記事では、子宮全摘出後に起こりやすい生活の変化や注意すべき点、回復を促すケアについて詳しく解説します。また、手術以外の治療選択肢やセカンドオピニオンの活用についてもご紹介しているので、治療を考える際の参考にしてください。

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目次

子宮全摘出とは?

子宮全摘出とは、妊娠機能を持つ子宮を全て切除する手術です。この手術の対象疾患には、子宮筋腫や子宮腺筋症のような良性疾患のほか、子宮体がんや子宮頸がんといった悪性疾患も含まれます。

手術方法は大きく分けて「開腹手術」と「腹腔鏡手術」の2種類があり、それぞれに特徴があります。

開腹手術腹腔鏡手術
切開の大きさ約15~25cmの切開(※1)約0.5〜1.2cm程度の小切開を数カ所(※1)
回復までの期間比較的長め比較的短め
視野・対応力広い視野で複雑な病変にも対応可能視野は限定的、病変の大きさにより制限あり
身体への負担大きい小さい
傷跡目立ちやすい目立ちにくい

子宮全摘出後に起こりやすい後遺症・合併症

子宮全摘出の手術後は、ほとんどの場合、順調に回復しますが、身体にさまざまな影響を及ぼすことがあります。代表的な後遺症・合併症を以下にまとめました。

合併症・後遺症主な症状・影響
創部の痛み・出血傷口の痛みや少量の出血、便秘や下痢など腸の不調
感染症・血栓・リンパ浮腫手術部位の感染、下肢静脈血栓、下肢や骨盤部のむくみ
排尿・排便障害尿が出にくい、便秘や下痢など腸の不調
更年期症状(卵巣を摘出した場合)ホットフラッシュ、気分の落ち込み、睡眠障害など

子宮全摘出後の回復を助けるケアと対策

子宮全摘出後のスムーズな回復のためには、適切なケアと生活習慣の工夫が重要です。近年では、開腹手術に加えて負担の少ない腹腔鏡手術も行われるようになり、選択した術式によって身体への負担や回復にかかる時間が異なります。

ここでは、術後に実践できる具体的なケアや生活のポイントを紹介します。

安静期間と日常動作の工夫

腹腔鏡手術では1~2週間、開腹手術では約3~4週間の安静が必要です。無理をすると回復が遅れるため、医師の指示を守ることが大切です。膝を軽く曲げて横になると腹部の負担が減り、咳やくしゃみをする際には傷口を手で押さえると痛みが和らぎます。また、起き上がるときは横向きになり、腕を支えにして身体を起こすとスムーズです。

運動・リハビリ開始のタイミング

術後は、まず医師の許可を得て軽い歩行から始めましょう。無理のない範囲で身体を動かすことが血流の改善につながります。回復の状況を見ながら、徐々にストレッチや軽い体操を取り入れ、段階的に運動量を増やしていくことが理想です。

慌てず、自分のペースを守ることが大切です。体調に変化を感じたときはすぐに休み、必要に応じて医師や理学療法士に相談しながら進めましょう。

食生活と便秘対策

手術後は腸の働きが乱れやすく、便秘になりやすいため、消化に優しい食事を心がけましょう。野菜や果物に含まれる食物繊維や、ヨーグルトなどの乳酸菌食品を取り入れると腸内環境の改善に役立ちます。あわせて十分な水分補給を行うことも、便通を整えるために重要です。

栄養バランスを意識し、消化になるべく負担をかけない食事を継続することが、回復のポイントになります。

仕事復帰や力仕事の再開時期

仕事復帰の時期は手術方法によって異なります。腹腔鏡手術の場合は退院後1週間ほどで再開できることがありますが、開腹手術では3〜4週間が目安です。力仕事や長時間の外出など身体に大きな負担をかける行動は、さらに時間を置いてから行う必要があり、必ず主治医と相談のうえで再開しましょう。

特に身体を大きく使う仕事やスポーツは、体調や回復状況によって個人差が大きく出ます。無理をすると再発や合併症につながることもあるため、焦らず段階的に取り組むことが大切です。

子宮全摘出後の生活の変化と日常サポート

子宮全摘出の手術を受けた後は、身体だけでなく気持ちや生活のリズムにも変化が現れます。少しずつ普段の生活に戻すためには、無理をせず、周りの人にサポートしてもらいながら過ごすことが大切です。

日常生活では、重い荷物を持ったり長時間立ち続けたりすることは身体への負担になります。家事や育児、仕事なども一人で抱え込まず、ご家族やパートナーにサポートをお願いしてみましょう。「助けてもらうこと」も、回復のための大事な一歩となります。

また、心のサポートも忘れてはいけません。子宮を全摘出することは、多くの女性にとって大きな出来事であり、不安や喪失感を抱く方も少なくありません。そのため、心のケアも重要です。そんなときに気持ちを理解してもらえる方に話を聞いてもらうだけでも心が軽くなることがあります。必要に応じてカウンセリングを受けたり、同じ経験をした方が集まる会に参加することで、安心感を得られることもあります。

子宮全摘出以外の治療選択肢

子宮全摘出は有効な治療の一つですが、症状やライフステージによっては子宮を残す方法や他の治療が選ばれる場合もあります。

ここでは代表的な選択肢について紹介します。

子宮温存手術・部分摘出

子宮を全摘出せず、病変のある部分だけを切除する方法です。妊娠や出産を望む方にとっては、将来の可能性を残す選択肢となります。ただし、病気の種類や進行度によって適応が限られるため、主治医とよく相談しながら判断することが大切です。

また、身体への負担を比較的抑えられる一方で、再発のリスクもあるため、定期的な検査や経過観察が欠かせません。

薬物療法・ホルモン療法・放射線療法

子宮体がんなどの場合、薬物療法やホルモン療法が行われることがあります。薬物療法(化学療法)は抗がん剤を用いてがん細胞の増殖を抑える方法で、転移や再発のリスクがある場合に選ばれます。ホルモン療法は、エストロゲンなどの女性ホルモンに関連するがんに対してホルモンの作用を調整し、がんの進行を抑える治療です。

また、放射線療法は高エネルギーの放射線を照射してがん細胞を破壊します。手術と比べて排尿機能や性生活への影響が少ないとされ、身体への負担を軽減できる場合があります。

セカンドオピニオン

治療法を選ぶ際には、別の医師の意見を聞く「セカンドオピニオン」も有効です。異なる視点から診断や治療方針を知ることで選択肢が広がり、自分が納得したうえで治療を受けやすくなります。一人で不安を抱えた状態で決めるのではなく、安心して治療に向き合うためにもセカンドオピニオンを積極的に活用しましょう。信頼できる専門家に意見を求めることが、安心感につながります。

子宮全摘出を選ぶ前に知っておきたいこと

子宮全摘出は「妊娠できなくなる」ことから、不安や喪失感を抱く方もいます。そのため、手術を決める前に自分に合った治療法やサポート体制を理解しておくことが大切です。適応は病気の種類や進行度によって異なりますが、良性疾患であれば薬物療法や子宮温存手術が検討できる場合もあります。

また、セカンドオピニオンや相談窓口、患者会の活用も有効で、複数の意見を聞くことで安心感を得られ、前向きに治療へ向き合うことができます。

(※1)日本医科大学付属病院|腹腔鏡手術

井林 雄太

医師|日本内科学会認定内科医・日本内分泌内科専門医

福岡ハートネット病院勤務。国立大学医学部卒。日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。
「一般社団法人 正しい医療知識を広める会」所属。総合内科/内分泌代謝/糖尿病の臨床に加え栄養学/アンチエイジング学が専門。
臨床業務をこなしつつ、大手医学出版社の専門書執筆の傍ら、企業コンサルもこなす。「正しい医療知識を広める」医師ライターとして多数の記事作成・監修を行っている。 

プロフィール詳細

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