インターネットや書籍などで調べると民間療法や代替療法を紹介する記事などがたくさん出てきます。それだけ手術や抗がん剤などの一般的な治療ではがんに勝つことができず、困っている方が多いのでしょう。
民間療法や代替療法に頼りたいと思う方には気休め程度に使ってみようという方から、もうこれしか残されていないという藁にも縋る気持ちの方までいらっしゃると思います。どちらの場合でも取り入れるさいは、これらの治療をきちんと知って悪影響を及ぼさないよう注意をしなければいけないことがあります。
現在、民間療法や代替療法を検討されている方はもちろん、どういうものかいまいちわからないという方も今後のためにこの記事をお役立てください。
目次
民間療法とは?
家族や友人ががんになったら、健康食品や食事療法、アロマテラピーなどに目が行くという方は多いと思います。「○○でがんが治った」などと宣伝し販売されているサプリメントなどもたくさんあります。
これらの民間療法や代替療法などの定義づけは明確には決まっておらず、さまざまな意味合いで使われているためわかりにくいのですが、基本的には「医療保険でカバーされていない治療全般」というとイメージしやすいと思います。
つまり、手術、放射線、抗がん剤以外は全て民間療法や代替療法と言われることになります。漢方薬や鍼などの東洋医学を民間療法や代替療法と呼ぶ人もいますが、これらの中には保険が適応しているものがありますので、一般的には含まれません。まだ医学的に証明されていない点が多いがんの場合は民間療法や代替療法の種類が多く、それらの情報も私たちの周りに溢れています。
健康食品やサプリメントの効果は?
民間療法や代替療法というと、健康食品やサプリメントなどが特に有名です。
巷ではがんに効くサプリメントなどがたくさん販売されています。フコイダンやブロリコ、プロポリスなど聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
植物や動物がもつ成分で、抗がん作用が認められたものは確かに存在していて、多くの抗がん剤が植物の中に存在する抗がん作用の成分を研究、改良し作られています。ただし、これらのサプリメントについては、できてしまったがんを消すほどの効果はないとされています。
つまり、がんに効果があるとされる成分が含まれていたとしても、サプリメントの成分含有量ではがんを消滅させるまでには至らず、効果がまったくないとはいえないにしてもサプリメント単体でがんを治療するというのは非常に難しいのです。
また、効果の判定について、体験談などがベースになっているものが多く、科学的エビデンスと呼ばれる、納得できるデータで証明されているものはほとんどないのが現状です。
サプリメントを試してみたいとき
しかし、がんを改善するという点で、いわゆる保険診療の治療だけでは補い切れない部分が大きいのは確かです。ですので、抗がん剤など現在行っている治療に効果が出ないとき、サプリメントなどは本人や家族の心の支えとなるでしょう。あるいはそれらの治療が終わってしまい、他に手だてがなく治療をあきらめざるを得ないとき、サプリメントなどがどれだけ希望になるかわかりません。
患者さんが悩んでいる症状がたまたまサプリメントのおかげで改善したり、使用することで「がんと闘っている」という前向きな気持を持つことができて、患者さん自身の免疫力が高まりがんの進行がゆっくりになることがあるかもしれません。それゆえ、絶対に効果がないから使用する必要はない、とは言い切れません。
不安が軽減して落ち着いた気持ちになると、痛みも緩和されるなどということは実際に私たちも経験していることです。本人や家族が気に入ったり、心の拠り所となるもので体に悪影響がないものであれば飲んでも良いと思います。
服用の際に注意すること
ただし、注意しなければいけないことがあります。現在治療中であったり、がんに限らず薬を飲んでいる場合はまず医師に相談してから使用してください。薬との飲み合わせが悪いと思わぬ影響が出てしまうことがあります。漢方などを独自に購入し服用している方もいらっしゃいますが、漢方にも薬効がありますので同様です。
もう一点、サプリメントだけで治療をするということでかかりつけの病院との関係を断ってしまわないようにしましょう。万が一、病状が悪化した場合などかかりつけや主治医があるのとないのでは大違いです。病院とはこれまで通りの関係を維持しておきましょう。
終わりに
各種のがんにおいて用意された治療はいくつかありますが、その限界は思う以上に早いものです。また、がんと診断されるのが遅く、治療の手段がはじめから限定される場合や既往症、年齢の問題から治療が受けられない場合もあります。
主たる治療というところまでは至りませんが、さまざまな状況においてサプリメントを始めとした民間療法や代替療法が患者さんや家族の心と体の助けになることがあると思います。大切なのは、これらを使用したいと思った場合には前向きにがんと闘う手段として、取り入れられる範囲で取り入れ、かつ依存しないということだと思います。患者さんが納得したがん治療を行う一助となれば幸いです。