がんの痛みの対処方法について。医療用麻薬とはどのようなものなのか

がんの痛みの対処方法について。医療用麻薬とはどのようなものなのか

株式会社がんメディカルサービス

がん治療専門コンサルタント

がんの痛みは末期のときだけに起こるものではありません。
早期の段階から、さまざまな原因が複雑にからみあって起こることもしばしばです。
そんな痛みに対して「薬」という有効な対処法があります。
薬がどのようにがんの痛みを改善してくれるのか、そして医療用麻薬とは何かご説明します。

目次

がんの痛み

私たちはなぜ痛みを感じるのでしょうか。
それは、「痛い」と感じることによって危険から身を守るためと言われています。自分にとって危険なものから身を遠ざけるために、痛みという感覚を通して警告を与えています。痛みは一種の防衛反応なのです。

がんになると様々な要因によって痛みを感じます。
がんが直接の原因となって起こる体の痛みというのは、がんが広がることで神経や臓器に浸潤したことが原因です。あるいは手術や放射線など治療が引き起こす痛みもあります。

痛みをうったえる

このように「痛み」と一言で言ってもさまざまな要因で起こることから、その痛みの種類や程度も人それぞれです。

末期がんの患者が強い痛みに苦しむイメージがあるかもしれません。

たしかにがんが進行することによって起こる痛みは耐えがたいと言われ、その痛みによって生きることを諦めてしまう人もいるほどです。
しかし、早期であっても痛みが発症し、そしてその感じ方は人それぞれであり、苦痛を伴うことも当然あるのです。

大事なことは、痛みを我慢するのではなくしっかりと周囲に伝え、対処をするということです。

ホスピスや緩和ケアというと、以前は末期がんの患者が最後に行くところと考えられていました。ここでは患者の疼痛コントロールをすることが一つの目標ですが、決して末期がんの患者だけのものではありません。

がんのどの段階でも、早めに痛みを改善し、より良い日常生活を営むための場所です。
痛みは早期から介入することで、辛い症状や精神的な苦痛を改善すると考えられるようになってきました。

痛み治療の目標

痛みはどのように改善するのが良いのでしょうか。
第一に、痛みをやわらげることを目標にしたとき、痛みが慢性的に続く患者には段階的に効果を確認していくことが求められます。
まずは「ぐっすり眠れる」ことを目標に、次に「安静にしていれば痛みがない」こと、最終的には「動いてもどこも痛まない」という普通の生活が送れる状態にすることです。

鎮痛剤と痛みの伝え方

では、具体的に痛みに対してどのように対処するのでしょうか。

まず始めは鎮痛剤や鎮痛補助剤が使われますが、がんの進行などで痛みのコントロールが難しくなると、より鎮痛効果の高い方法へと変更します。
放射線や抗がん剤など、また医療用麻薬や神経ブロックなどが選択されます。

一般的に痛みへの対処は効き目の弱いものから強いものへ段階的に変更します。痛みは自覚症状に関するものなので、患者からのうったえがとても大事です。
仮に今、鎮痛剤を使用しているなら使用した前後で痛みがどう変わったのか伝えるようにしてください。
それらをきちんと伝えることで今後の治療方針の決定につながります。

鎮痛剤はどんな薬?

薬物による痛みの治療では数種類の薬が使用されます。
大きく分けると

  1. 強オピオイド鎮痛薬(モルヒネなど)
  2. 弱オピオイド鎮痛薬(コデインなど)
  3. 非オピオイド鎮痛薬(アスピリン、アセトアミノフェンなど)

の3種で、これらを単独、あるいは組み合わせて使用することで相乗効果があるといわれています。

参考:日本緩和医療学会 がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2010
ガイドライン|日本緩和医療学会 – Japanese Society for Palliative Medicine (jspm.ne.jp)

鎮痛剤の原則

患者が痛みを正確にうったえることで医師は適切な薬を判断することができます。そして鎮痛剤の処方に際してはルールもあります。

1.まずは、経口薬で

ただし、消化管の閉塞や狭窄がある、またさまざまな理由で吐き気や嘔吐、下痢などが続く患者には経口にこだわる必要はありません。

2.規則正しい時間に

投与された薬は主に小腸や大腸で吸収されたあと、血液にのって全身をめぐり作用する場所に到達します。
そして大部分は肝臓で処理され、尿や便とともに排出されます。
薬は血液中の濃度があるレベルに達したときに効果を発揮します。持続的な痛みのある患者が痛みを感じることなく生活するには薬の血中濃度が一定以下にならないように保つ必要があります。「12時間おき」「毎日7時」など時間を守って投与することが大事です。

3.段階的に

個々の患者の痛みに合わせて効き目の弱いものから強いものへ順番に用います。このためにも正確に痛みをうったえることが大事になってくるのです。

4.適切な量

医療用麻薬には一部を除いて使用の上限はありません。
標準的な使用量もありません。それゆえ「痛みが取れる量」がその人にとっての適正となります。薬の効き方は人それぞれなので、多く処方される=少ない人より状況が悪いということではありません。

医療用麻薬は恐いもの?

ここまで鎮痛剤についてご説明しました。
そんな鎮痛剤の一種に医療用麻薬というものがあります。
医療用麻薬とは、中から強度のがんの痛みを取るための薬です。モルヒネが最も有名でしょう。

痛みの伝わり方というのは、傷ついた場所から中枢神経や末梢神経を伝って脳に伝わりますが、医療用麻薬はこの神経の働きを抑制することで鎮痛効果を発揮します。

モルヒネと聞けば、「がんの末期に使用される薬」、また「使うと廃人のようになる」といった怖いイメージがあるかもしれません。

このイメージは、以前、早期から痛みを取るということが軽視され、がんが末期になり、対処が難しくなってからはじめて大量にモルヒネなどの医療用麻薬を使用していたことに起因するといわれています。

また医療用麻薬を適切に使用できる医師が今より少なかったこともあります。

しかし、先にも述べたように、痛みは早期から介入し改善することが望ましいという認識に変化してきたことでこのイメージも払拭されるでしょう。

実際、モルヒネなどの医療用麻薬は優れた薬であり、がんの痛みを抑えることに関してはそれ以上でもそれ以下でもありません。

適切な量なら思考力や意識レベルが低下するといったこともありません。
海外では抜歯や怪我のときに小児から高齢者まで当たり前に処方されている薬なのです。

医療用麻薬の適正量

一般的に、薬は一定以上投与してもそれ以上は効き目が変わらないという限度がありますが、モルヒネなどにはそれがありません。新たな痛みが出たら量を追加すれば痛みを上回る鎮痛効果が得られるとされています。
増量することで中毒になる心配もありません。

抗がん剤は身長と体重から必要な量を決めますが、医療用麻薬はそれらとは異なります。その人にとって「痛みが取れる量」が適正量なのです。

医療用麻薬の副作用

安全な薬といえども副作用がないわけではありません。
医療用麻薬の副作用は大きく3つに分けることができます。

眠気

使い始めや使用量が増えたときに眠気を感じることがあります。多くは数日で軽減しますが、眠気が出ているときに車の運転や危険な作業は控える必要があります。

吐き気

吐き気も使い始めに感じる人が多いものですが、2週間ほどで良くなります。吐き気止めの薬を医療用麻薬と同じタイミングで使用することで対処することができます。

便秘

薬を使っている間は便秘が続きますので、必要な場合は便秘薬を併用します。
食事に気をつけたり運動など自身で対処することで改善が見込めます。

おわりに

医療用麻薬をはじめ、薬を使用することで、がんになったら痛みを我慢し普通の生活を制御しなければならないということがなくなりました。
「なんだか体に悪そう」と恐れるのではなく、毎日の生活を豊かで快適にするために必要なものを取り入れるきっかけとしていただければ幸いです。

日本緩和医療学会 患者さんと家族のための痛み治療ガイド ガイドライン|日本緩和医療学会 – Japanese Society for Palliative Medicine (jspm.ne.jp)

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