抗がん剤を使わないと余命は短くなる?抗がん剤の延命効果について

抗がん剤を使わないと余命は短くなる?抗がん剤の延命効果について

がんの三大治療の一つである抗がん剤は、早期がんから進行がんまでさまざまながんの進行の局面で使用されますが、がん治療の現状では、がんの進行に伴い治療法が徐々に限られてきて残りは抗がん剤だけ…という場合はとても多いものです。

その際に使用する抗がん剤は、がんの種類や個人の遺伝子異常の違いにより異なりますが、同じ抗がん剤を同じ期間使ってもその効果が同じとは限りません。そのため、使ってみないと効果はわからないということが前提としてあります。初めて抗がん剤を使う場合、多くの方が悩まれるのはそのためでもあるでしょう。

抗がん剤は良い効果だけを期待して使うものではなく、副作用も含めて把握し、より良く生活できるために使用していくものです。抗がん剤を提案されたとき、どのように考え取り入れていくか、あるいは使わないか判断材料としてこの記事をお役立てください。

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目次

抗がん剤を使うとき

がんの化学療法というと、主に抗がん剤を指します。さらに、乳がんや子宮体がん、前立せんがんにはホルモン剤も用いられ、それらも大きく分けると抗がん剤に含まれます。

手術や放射線は、基本的にがんに対して局所的に働きかけますが、一方で抗がん剤はより広い範囲に効果をおよぼすことを期待された治療です。そのため広がったがん、あるいはがんが再生し広がることを予防する目的で使用します。主にステージ3や4の進んだ状態のがんや再発がんの場合、抗がん剤で治療していくことになります。

分子標的薬の登場

効果を及ぼす範囲が広いがゆえに、がん以外の体内の正常な部分にも影響を与えることから副作用の問題がついてまわる抗がん剤ですが、副作用の軽減とがんを小さくする効果どちらにも優れた抗がん剤が徐々に使用できるようになってきています。

例えば分子標的薬は、がんだけをターゲットにすることができる分、副作用を抑えることが期待できる薬です。大腸がんは通常の抗がん剤に分子標的薬を追加して使うことで延命効果が期待できるとされています。次々に開発される新薬により、抗がん剤による治療には新たな希望が生まれています。

抗がん剤と血液がんは相性が良い

がんを大きく分けると固形がんと血液がんに分けることができます。血液がんは体中を巡る血液に関係するがんのため、血流にのって全身に運ばれることで効果を及ぼす抗がん剤が大きな効果を発揮することが見込まれます。

分子標的薬の一つであるイマチニブという薬は「慢性骨髄性白血病」に効果を発揮します。

白血病は血液がんの一種であり、「急性骨髄性白血病」「慢性骨髄性白血病」「急性リンパ性白血病」「慢性リンパ性白血病」の4つに分けられます。日本では急性骨髄性白血病に次いで慢性骨髄性白血病が多く見られますが、イマチニブは慢性骨髄性白血病の多くの患者さんに見られる異常な染色体が作るタンパク質を標的にして白血病に大きな効果を発揮します。抗がん剤で治るがんとも言われるほど抗がん剤の効果が期待できるがんなのです。

抗がん剤を使うか使わないか

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上記のように、抗がん剤による効果を比較的期待できるがんもある一方で、残念ながらそうではないがんもあります。また、がんの種類とは別に、がんの進行や個人差でも抗がん剤の効果に違いが出てきます。

それゆえ抗がん剤によって、延命できることもできないこともあります。延命がどれくらいの期間かも差がでます。

医師は手術ができないときやがんの腫瘍を取り除くとき、患者さんの体が耐えられる限りの抗がん剤を投与し患者さんを救おうとしますが、抗がん剤を投与すると効果が期待できる反面、副作用も出やすくなります。抗がん剤を使うときはこれらをきちんと知っておくことが大事です。

抗がん剤を使わないという選択肢もある

例えばご高齢の患者さんが、がんが縮小する効果が高く、抗がん剤を使えば2か月の延命が期待できると提案された場合、その副作用によって好きなものが食べることができなくなり、痛みや吐き気などの苦痛、寝たきりとなることも考えられるとしたら抗がん剤を使ったほうが良いと言えるでしょうか。

穏やかに最期を迎えたいと思っているとしたらそれが叶わないかもしれません。2か月長く生きることができたとしても辛い時期が増えるだけかもしれません。

抗がん剤の効果はケースバイケース

その一方、古い知識や聞きかじった情報だけで絶対に抗がん剤を使わないと決めている方がいるとします。効果が副作用を上回り、延命などの大きな恩恵を受けられる可能性が高い場合もあるのであれば抗がん剤を試す価値があるのではないでしょうか。

抗がん剤の効果はケースバイケースであり、使えば延命できる、使わなければ延命できないと一概に言えませんし、仮に延命できたとしても使ったときの生活の質も考えることが必要です。

終わりに

外科手術ですべてのがんを取り除いたり、抗がん剤でがんをきれいに消し去ることができれば、それは素晴らしいことです。しかし、現状では患者さんを全員完治させることは非常に難しいことです。ですので、完治を目指すことが叶わない場合、抗がん剤を使っても使わなくても、「がんとどのように付き合っていくか」ということを考えることがとても大切だと思います。

抗がん剤を使わないと延命できない、抗がん剤は絶対に使わない、どちらも正解でも不正解でもありません。がんと診断されたときから持っている悩みや苦しみを和らげ、穏やかに暮らせることが治療を含め、がんと共存していく際の目標になるでしょう。

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