前立腺がんの余命とは?進行度とホルモン療法についても解説
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前立腺がんの余命とは?進行度とホルモン療法についても解説

前立腺がんと診断された方の中には、治療法の選択に迷う方も少なくありません。「ホルモン療法のみで十分な効果が得られるのか」「他の治療法と比較して予後に違いが出るのか」といった、治療効果や余命に関する不安や疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

実際に高齢の方や持病をお持ちの方など、手術や放射線治療が難しいケースでは、比較的侵襲性(しんしゅうせい)が低いとされている「ホルモン療法」を選択されることもあります。

この記事では、前立腺がんのホルモン治療や進行度と余命の目安について、わかりやすく解説します。

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目次

前立腺がんとは?

出典:前立腺がんについて|国⽴がん研究センターがん情報サービス

前立腺は、男性特有の臓器で、膀胱の真下に位置し、尿道を囲むように位置しています。この前立腺に発症するがんは、特に60歳以上の男性に多く見られるのが特徴です(※1)。初期段階では自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行するケースも少なくありません。

一方で、進行することで「尿が出にくい」「排尿の回数が増加した」といった症状が現れることもあります。近年では、健康診断などのPSA(Prostate Specific Antigen:前立腺特異抗原)検査をきっかけに発見されることも珍しくありません。

前立腺がんの多くは、緩やかに進行しますが、放置すると精のうや膀胱、直腸など周囲の臓器に浸潤する可能性があります(※2)。また、リンパや骨などへ転移することもある点も、見過ごせないポイントです。

前立腺がんでホルモン治療が選択される理由

前立腺がんの治療の一つに、内分泌療法(ホルモン療法)があります。これは、前立腺がんが男性ホルモン(アンドロゲン)の影響を受けて進行する特性を利用し、その働きや分泌を抑える薬物療法が行われます。

では、前立腺がんにホルモン療法が選択される主な理由について、見ていきましょう。

高齢で手術や放射線治療が難しい

転移が見られない前立腺がんは、「手術」や「放射線治療」による根治を目指すことが可能です。しかし、60代以降から発症が顕著となり、さらに年齢を重ねた高齢者層では、心臓病や糖尿病などの持病や体力面の配慮から、これらの治療が身体への負担を考慮して適用できないケースがあります(※1)。そうしたケースでは、ホルモン治療が選択肢となることも珍しくありません。

前立腺がんは進行が比較的緩やかであるため、必ずしも根治のみを目指すのではなく、がんと共存しながら日常生活を維持するという治療方針が選択される場合もあります。
こうした背景から、入院や手術による身体への負担を避け、住み慣れた環境で通院治療を継続できる点も、高齢の患者さんにとって選ばれる理由の一つです。

がんが進行・転移している

前立腺がんが進行していたり、骨やリンパ節などへの転移が見られたりした場合も、ホルモン療法が治療の選択肢となります。前立腺がんは男性ホルモンの影響を受けて増殖する性質があるため、そのホルモンの働きを抑え、がんの進行をコントロールすることが可能です。

骨への転移は前立腺がんでよく見られる特徴の一つで、これが直接的な痛みなどの原因となることがあります。病状の進行を抑制し、骨関連の症状を管理する目的で、ホルモン治療が選択されることも少なくありません。

さらに、全身に広がったがんに対しては局所的な治療が難しくなるため、全身に作用する治療としてホルモン治療が用いられます。

がんの進行を抑える目的で行われる

前立腺がんは、精巣や副腎から分泌される男性ホルモン(アンドロゲン)の影響を受けて増殖します。ホルモン治療では、このアンドロゲンの働きや分泌を抑え、がん細胞自体の増殖を抑制します。

そのため、がんを完全には取り除けないものの、病気の進行を抑えつつ、長期的にコントロールする治療として効果的です。がんの進行を抑えることで、骨転移による痛みや排尿トラブルなどの症状緩和につながる場合もあります。

また、生活の質(QOL)を保つための治療として選択されるケースもあります。定期的な検査でPSAを確認しながら治療を行うと、より安定した病状の維持が可能です。

前立腺がんのホルモン治療と余命の関係

前立腺がんの余命に関しては進行度や治療状況によって大きく異なります。そのため、個々の状態に応じて、適切な治療方針を考えていく必要があります。

前立腺がんの進行度と余命の目安

前立腺がんの予後は、がんの進行度によって大きく異なります。前立腺内にとどまる限局的な早期がんでは、生存率が高いことが知られています。

国立がん研究センターの統計によると、前立腺がん全体の5年生存率は約94%と報告されています(※3)。一方で、がんが周囲の臓器へ広がったり、ほかの臓器へ転移したりした場合、生存率は低下します。

例えば、遠隔転移があるステージⅣの場合の5年生存率は60.1%とされています(※4)。ただし、前立腺がんは治療の選択肢がいくつかあるため、たとえ進行がんの状態であっても、病勢をコントロールしながら自分らしい生活を維持することも可能です。

ホルモン治療によって期待できる効果

ホルモン療法では、男性ホルモンの働きを抑える薬剤(注射や飲み薬)を投与することで、がんの進行を抑える効果が期待できます。特に、進行した前立腺がんでもがんの増殖スピードを緩やかにし、長期的にコントロールできるケースもあります。

ただし、治療の効果が続く期間には個人差があり、治療を継続していく中で徐々に薬が効きにくくなるケースがあります。これは、男性ホルモンが抑えられているにもかかわらず前立腺がんが進行してしまう場合(再燃)です。このような状態の前立腺がんは、「去勢抵抗性前立腺がん(CRPC;Castration resistant prostate cancer)」と呼ばれています。

こうした背景から治療薬の変更や抗がん剤などの新しい治療の検討をするなど、適切な対応が求められています。そのため、定期的な検査で治療効果を確認しながら、ホルモン治療を進めることが大切です。

前立腺がんのホルモン治療の副作用

ホルモン治療を行うと、注射などで男性ホルモンの働きを抑えるため、さまざまな副作用が現れることがあります。代表的な副作用は、ほてりや急な発汗が起こるホットフラッシュ、性機能の低下、乳房の膨らみ、疲労感などです。

また、筋肉量の減少や体重増加、血糖値やコレステロール値の上昇(メタボリックシンドローム)が起こりやすくなります。さらに骨密度の低下による骨粗しょう症の骨折リスクも長期的な副作用の一つです。

症状は一時的なものがほとんどで、身体が慣れてくることもありますが、つらい場合には薬の変更や服用の中止、症状を和らげる対症療法の選択が検討されます。近年では、副作用を軽減するための治療やサポート体制が整ってきているため、過度に不安になる必要はありません。

日常生活では、適度な食事や運動で肥満を避け、骨粗しょう症の予防のためにカルシウムやビタミンDの摂取を意識しましょう。

前立腺がんのホルモン治療を受けるときの注意点

ホルモン療法は、基本的に食事や運動などに制限がないケースがほとんどですが、だるさや食欲低下などの副作用が現れることがあります。こうした変化に備え、身体に負担をかけすぎない生活リズムを意識しておくと安心です。

近年では痛みや吐き気を和らげる薬や栄養管理など、がん治療を支える「支持療法」も普及しています。こうしたサポートにより、副作用を軽減しながら治療を継続しやすくなっています。そのため、日常生活を維持しながら、無理のない範囲で通院による治療を続けていくことが可能です。

また、体調の変化に早めに気づくために、日々の体調や症状の変化を記録しておくことも対策の一つです。今後の見通しへの不安や気になる症状があるときは、無理に我慢せず、早めに医師へ相談をしておくと安心して治療を続けられます。

前立腺がんのホルモン治療で迷ったときは専門家に相談を

前立腺がんのホルモン治療は、合併症のある高齢者や転移が見られる場合に選択されることが多い治療法です。ただし、治療の目的(例:根治を目指すのか、進行を抑えて共存するのか)は年齢や病状によって異なります。まずは医師からしっかりと説明を受けて、自分に合った治療の方向性を考えていくことが大切です。

今後の見通しについて不安がある場合は、無理に一人で抱え込まず、専門家へ相談しながら納得できる形で治療を進めていきましょう。

(※1)国立がん研究センター|前立腺
(※2)独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター|前立腺がん
(※3)国立がん研究センター|2012-2015年の4年間に診断された がんの5年生存率を公表 がん対策の立案・評価に有用な指標を作成
(※4)国立研究開発法人国立がん研究センター |院内がん登録生存率集計結果閲覧システム(前立腺がん(前立腺癌) )

井林 雄太

医師|日本内科学会認定内科医・日本内分泌内科専門医

福岡ハートネット病院勤務。国立大学医学部卒。日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。
「一般社団法人 正しい医療知識を広める会」所属。総合内科/内分泌代謝/糖尿病の臨床に加え栄養学/アンチエイジング学が専門。
臨床業務をこなしつつ、大手医学出版社の専門書執筆の傍ら、企業コンサルもこなす。「正しい医療知識を広める」医師ライターとして多数の記事作成・監修を行っている。 

プロフィール詳細

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