一番良い治療方法~これを読まないと良い治療が分からない~

一番良い治療方法~これを読まないと良い治療が分からない~

竹内 規夫

竹内 規夫

がんメディカルサービス株式会社代表取締役

弊社には毎日がん相談が沢山来ます。
その中でも「手術がどうしても嫌だからもっと良い他の治療はないですか?」、「抗がん剤がどうしても嫌でもっと他に良い治療はないですか?」という相談が一番多いです。

この「もっと良い治療」と言うのが何を指すのかが、その患者様によってさまざまになるのですが、患者様の中で自分にとって「もっと良い治療」というのがどういうものか分かっていないことが多いです。

一般的に「一番良い治療」というと「治る確率が一番高い治療」ということになりますが、「治る」というのが正常な人に戻すことを指すのであればがんは治らない病気ということになります。しかし、「がんを無くすことを治る」と定義するならば色々方法があるということになります。

例えば、右腕の皮膚にがんが出来たとします。この見えているがんを無くすことを治ると定義するのであれば、極端な話「ガスバーナーで腕を焼けば治る」ということになります。でも、もしかしたら燃やし残しが出るかもしれないと心配だったら「腕を切り落とせば治る確率がもっと高い」ということになります。

これを読んでそんな極端な話と思ったかもしれませんが、手術で行っていることはそういう極端なことになります。
よく「胃がんが手術で治った」と言いますが、別にがんが治ったというよりも「胃が無くなった」だけの話になります。先ほどの腕をガスバーナーで焼く話や腕を切り落とす話と全く変わりません。

がんを無くすというのを治ると定義するのであれば、見えているがんを無くすのに「腕を切り落とす」ということよりも優れている方法が他にあるとは思えません。薬で治す場合も、腕に濃硫酸か何かをかけて腕を溶かしてしまうのが一番可能性の高い治療ということになります。

しかし、そうではなくて「腕の機能をなるべく残した状態でなるべくがんを取り除きたい」となると「腕を切り落とすという治療方法よりも治る可能性は低い治療」ということになります。
となるとその人にとって一番良い治療とは「治る確率が一番高い治療ではない」ということになります。
がんを無くすということにおいて腕を切り落とすということ以上に優れた方法がないからです。

目次

がんが治ったかどうかはすぐに分からない

がんを無くすことを治すと定義した場合、体の中からがんが全く無くなったらがんが治ったということが出来ますが、がん細胞の大きさは1つ10㎛です。1/100㎜です。この大きさを見つけることが出来る検査は存在しません。

PET-CTやMRIの様な画像検査は1㎝近い大きながんしか分かりません。目視でも数ミリの大きさしか分からないので、がん無くなったかどうか分からないので治ったかどうかの確認が出来ません。

現状どうしているのかというと、残っているかもしれないがんを見つけることが出来ないので、「残っているかもしれないがんが大きくなるのを待ちましょう」となります。

大きくなればがんをCTなどの画像検査で発見出来る様になります。

がん種によって異なりますが、大体5年待って大きくなってくるがんが一つもなければ、本当にがんが無くなっていたということで「5年前に治っていたというのが5年後に分かった」ということになります。

逆に言えば手術などでがんを取った後でも5年経つまではがんが治ったかどうか分からないということになります。

なぜがんが治らないか

がん治療で一番難しいのはこの見えていないがんをいかに無くすかということに尽きます。見えているがんを無くす方法は無数にあり、どれを選んでも一応は画像から消えて無くなります。別に手術だろうが、重粒子線だろうが、光免疫治療だろうがなんでも大丈夫です。その外にも無数に治療方法はあります。

がんで亡くなる方があんなに多いのは見えているがんを取り除いたとしても、残っているがんがある可能性が高いからです。残っているがんが取り残しだけなら、もう一度その部分を取れば終わるかもしれません。

しかし、ほとんどの場合、取り残しではなくて、血管やリンパに乘って全身にがんが流れている状態で見つかります。
肝臓や肺、腹膜などに転移が見つかった場合がそれにあたります。

全身にがんが流れている場合、全身を手術で取り除く訳にはいきません。なので、薬で治そうということになります。

一番良い治療

見えているがんを取り除く方法は無数にあると前述しました。そして、見えているがんを取り除くという目的の場合、手術に勝る治療方法は存在しません。
手術よりもがんを取り除くという成績は落ちるかもしれないけど、体には優しい治療として重粒子線や光免疫治療など無数に治療方法が存在しているということになります。

この目に見えているがんを取り除くということにおいては、基本的に局所治療であれば、どの治療を選んでも大体目に見えるがんは消えます。

各治療の効果の差は、後遺症であったり、再発の確率が違うということになります。

がん治療においては目に見えるがんよりも、目に見えないレベルのがんの方が問題となります。手術をして「目に見えるがんはすべて取りました。成功です。」と言われても、その後、抗がん剤をしたり、5年間経過観察するのは目に見えないがんの存在を恐れているからです。

その目に見えないがんは肝臓や肺、腹膜、脳などいたるところにあるかもしれないというのがさらに治療を難しくしています。

基本的に手術や放射線で目に見えるがんを取り切った後、体中どこに残っているか分からない目に見えないがんをあらかじめ治療しておく必要があります。

この目に見えないがんに対する治療は体全体に行う必要があるので、抗がん剤の様な全身治療ということになります。

目に見えるがんを取り除く時は、数ある治療の中から一つ選ぶことになるのですが、全身に治療をするときは効くかもしれない治療方法を全てやるのが正しいという考えになります。
もちろん抗がん剤もその一つです。

ただ、抗がん剤を行っても多くのがんが再発している事実から見て、抗がん剤だけでは足りないと考える患者様は多いです。

その場合は保険以外で全身治療をプラスすることになるのですが、効くと思える保険以外の治療を全て行うのが治療成績を上げるのに正しいという考えになります。ただ、現実問題として、保険以外の治療方法は金銭的な負担が大きい治療ばかりです。
なので、すべての治療を行うというのは金銭的な面から難しい話になります。

現実的には一番効果の高そうな全身治療を1つ選んで、抗がん剤にプラスして行なう方が多いです。

手術などの後、見えないがんが仮に残っていたとしても、全身治療でがんがゼロになれば完治ということになりますが、がんが少しでも残っていれば再発するということになります。

その場合においてもがんが本当になくなったかどうか確認するには5年間待つということになります。

竹内 規夫

竹内 規夫

がんメディカルサービス株式会社代表取締役

がん相談実績20,000件以上の実績を誇る、がん治療コンサルタント。
メディアにも多く取り上げられ、「産経ニュース」、「賢者グローバル」、「医療最前線」(千葉テレビ)、「AERA」(朝日新聞出版)、「FLASH」(光文社)、「現代ビジネス」(講談社)など出演多数。

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