がんの見落としはなぜ起こるのか?患者としてどのような対策ができるのか

がんの見落としはなぜ起こるのか?患者としてどのような対策ができるのか

2017年、全国8つの病院が過去、がんの見落としがあったことを公表しました。

命に関わるミスであるがんの見落としが起こる原因は何なのか、そして患者としてどういう対策をしたら良いのでしょうか。

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目次

千葉大学病院で起きたこと

がんの見落としを公表した病院の内、千葉大学病院では9人の患者に対して診断の遅れなどが判明し、うち2人が亡くなったことがわかりました。亡くなった2名の患者は、共に担当医が自分の専門分野以外の別の部位のがんを見落としたことでがんの発見が遅れたということです。

もし、担当医が気付いていれば治療の選択肢やその後の経過が違っていただろうと千葉大学が認めました。他7名の件でも、ミスが起きた原因として医師同士の情報通達ミスや専門医不足による確認漏れといったことが挙げられました。

私たちは病院や医師を信頼するしかないといったところがあります。病院の内部の事情は分かりませんし、がんへの対処も知識と経験において医師に勝りません。しかし、命に関わることでのミスは容認できるものではありません。

千葉大学病院などで起きたことに対して私たちができることは何でしょうか。今回はがんが見落とされる原因と私たちができることについてご説明したいと思います。

まずはがん検査の流れを知ろう

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がん検診

1.問診・触診
2.画像検査(CT・MRI・X線など)
  内視鏡(カメラ)検査
  血液検査(腫瘍マーカー)

異常がある場合

3.生検(病理診断)
  悪性腫瘍、良性腫瘍か。
  細胞の悪性度

がんが確定したら

4.転移の有無をみる画像検査など
  全身状態をみる検査(治療に耐えられるかを確認)

上記を見ていただくとわかるように、がんの診断や治療法を決めるには複数の検査が必要です。

どのがんが疑われるかによって、多少検査の種類は異なりますが、画像検査や内視鏡検査、血液検査はがんの疑いがあるときにする検査です。最終的にがんであるか(悪性腫瘍か良性腫瘍やほかの病気なのか)は「生検」といわれる細胞レベルの検査をすることでわかります。

生検はがんが疑われる場所の一部を顕微鏡で詳細に見る検査です。表面に露出している細胞をこすり取ったり、腹水や胸水があるときはそこに浮遊している細胞を集め顕微鏡で細かく観察します。

がんだった場合はこの生検によって、おとなしいタイプのがん、あるいは増殖しやすいがんなどといった、がんの性質まで同時に判断することができます。このタイプを「がんの顔つき」などと呼びます。

検査について不安や疑問は主治医や相談窓口へ

がんが疑われる場所にもよりますが、検査の流れは大まかに上記のようになります。病理検査以外でもこれらの検査の段階で誤診や事故が発生してしまうこともあります。

それらを完全に防ぐことは難しいとはいえ、命に関わるかもしれないのですから、自分でできることがあれば積極的にしておきたいと思います。

まずは、検査の目的と危険性を事前に把握しておくことが必要です。当たり前のようですが、実は医師の言われるがままに検査を受けるものの、検査の結果「何がわかるのかわからない」という方は思いの外いらっしゃるものです。検査の意味を知っておくのは大切です。

例えば、上記の検査のそれぞれの目的を大腸がんを例にしてご説明します。

大腸がんの検査の流れ

1.大腸がん検診で陽性が出た、血便などの症状がある。
→大腸がんの可能性があるが他の病気の可能性もある段階。より詳しく調べる必要がある。

2.精密検査である大腸カメラを受ける。大腸内部を詳しく検査し、がんかもしれない病変(ポリープなど)があれば、カメラに付属している道具で切除し生検へ。

3.切除した細胞を病理検査にかける。病理検査の結果、大腸がんなのか、良性のポリープなのかが判明。

4.大腸がんであればがんの広がり(転移の有無など)や深さなどを調べないとステージが確定しない。ステージがわからないと治療方針が決まらないため、CTやMRI、エコーなどを使ってさらに検査をし、ステージを判定する。→ステージに合った治療計画をたてる

これらの大まかな流れは大腸がん以外でも共通しています。大切なのは自分自身が検査の意味を把握しておくことです。事前に知っておけば検査の結果などの説明を受けるさい、疑問に思ったことは医師に確認することができるのです。もし、医師に聞きづらいことがあれば病院の相談窓口などに相談することもできます。

また、持病や過去の病歴によっては生検を避けたほうが良いことや、より精密な検査が必要なことがありますので、過去の分を含めて自分の病気のことは全て医師に申告してください。

生検の大切さ

繰り返しますが生検によってがんかどうかがわかるわけですから、それまでの検査結果による推測が覆ることもあります。

画像検査や内視鏡検査によって、がんの可能性が低いとされ経過観察で良いといわれても、できるだけ生検まで受けたほうが安心でしょう。特に、がんは年齢が上がると罹患率が上がりますので、50代以上の方は医師に相談し、生検まで行うことも一つです。

病理医の誤診による見落とし

がんの診断をつけるのに重要な病理診断という検査において、診断を間違えるケースもあります。

病理検査は「病理医」というそれを専門とする医師がいます。細胞を顕微鏡で確認したうえ、最終的な判断はこの病理医が担っているわけですが、病理医の診断能力の差というものがあります。

それによってがんががんと診断されない可能性もあるのですから、私たちができる範囲でこの誤診を避けるためには、インターネットや書籍などで病理診断医の資格を持つ病理医を探し、複数名在籍している病院で検査や治療を受けたいものです。

また、病理検査はがんの診断だけでなく、例えば治療の効果が得られているかを判断するときにも大切な検査となります。その結果によって治療の方針が変わることがあるためです。このように病理医はがんの診断だけでなく治療においても重要だということです。

おわりに

千葉大学病院の件を見てみると、見落としや医療ミスは私たちの目の届かないところで起きる対処の仕様のないもの、と思えます。ですが、だからといって運任せというのはあまりにも心許ない気がします。

今回、患者としてできることについてご説明しました。ご自身で取り入れやすいことからまずは始めてみてください。

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がんメディカルサービス株式会社はがん治療の総合コンサルタントです。
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