がんは早期発見・早期治療というくらいですので、がんと診断されたらすぐに手術をしなければならないと思う人は多いでしょう。しかし、患者の気持ちとは裏腹に、病院の都合などですぐ手術をしてもらえないことが多いのも現状です。
今回は手術まで待たされている方のために、待ち期間が長くなる理由、手術予定日まで日が空いてしまっても大丈夫なのかということについてご説明していきたいと思います。
目次
がん治療までどれくらい待つのが普通なのか
がんと診断されて、ステージが判明するとそれに応じた治療方針が決まります。
手術、放射線、抗がん剤のいずれかから、がんの進行状況に適した治療が主治医から伝えられますが、実際の現場では治療方針が決まってから実際に治療を受けるまで待たされるケースが多くあります。
手術に関しては、数週間から数か月かかることもあります。
がん研有明病院がホームページで公表している治療までの待ち期間を参考までにご覧ください。
公益財団法人がん研究会有明病院 治療待ち日数
https://www.jfcr.or.jp/hospital/wait.html
これによると2~3週間、長ければ4週間ほど待ち期間があることがわかります。
待っていても大丈夫なの?
最近ではどこの病院でも入院期間を短くする傾向がありますので、以前は入院で行なっていた手術に必要な術前の検査を、外来で行うようになっています。ですので入院は手術の直前になることがほとんどのようです。
そのように考えると、予定された手術の日まで何もしないでただ待っているわけではなく、手術に必要な検査などをする準備期間ということになります。
しかし、そうはいってもなかなか治療が始まらず、がんだとわかっているのに待たされるのは非常に辛いと思います。待たされている間にがんが進行しないか心配になりますね。だからと言って主治医にもっと早く手術をしてほしいと頼んでみたところで、順番だから待つように言われるのが関の山です。
一部のがんを除くと、がんの成長には数年あるいは十数年といった期間がかかりますので、手術まで数週間から一月ほどかかったとしても急に進行するということはないと考えられています。
ですので手術まで待ち期間が長いのは、それだけその手術は緊急性が低く、待っていても大丈夫だと考えてはいかがでしょうか。そして、そのように考えながら、手術までの期間は患者さん自身が体調を整え心身共に万全な状態で手術に臨めるようにするなど、できることを見つけることができれば精神的に楽になるのではないかと思います。
例えば…
- 入院中、休みの間に仕事がスムーズにゆくよう引き継ぐ、終わらせておく
- 家事を代わりにしてもらうために家を整理したりメモしたりする
- 術後、一時制限される趣味やスポーツを心おきなくしておく
このようにしておくことで、満足感や安心感が生まれるでしょう。多少忙しくなると、その一時だけでもがんのことを忘れリフレッシュできるかもしれません。
待ち期間中も疑問や不安は主治医に相談
入院までの期間、食べてはいけないものはないか、お酒やたばこは可能か、など日常生活においてどのようなことに気を付けなければ良いか、してはいけないことはないかなど確認しておきましょう。
さらに、全ての不安が払しょくできるわけではないと思いますが、手術を受けるまでの、治療・通院がない期間も何かあったらかかっている病院に連絡したり主治医に相談したりしても良いのです。
また、術後の合併症のリスクを回避するためにあえて手術まで一定の期間を設けるケースがあります。例えば、胃がんの手術のあとには肺炎のリスクが上がります。肺炎は術後、痰を出す力が弱まることで誤嚥を起こしやすくなり、それがもとで肺炎を併発し、死亡することもある重大な合併症です。それを回避するために、ヘビースモーカーが禁煙する期間を設けるなどといったことです。このような個人的な理由であれば、通常はあらかじめ本人に説明があるとは思いますが、疑問に思ったら主治医や看護師に聞いてみましょう。
転院すれば待たずに済むか?
個人的なケース以外では、そもそも、手術までの期間が長い理由として、同じように手術を待つ患者さんが多い、病院の規模、進行がんの手術を優先するなどがあります。先に挙げたがん研有明病院は、がん治療においてトップレベルの規模の病院であり受診者も多いですが、その他のがん専門病院や大学病院なども待ち期間が同じくらい、あるいはもっと長くなる傾向があります。
一日でも早く手術を受けないと不安で耐えられないという方は、同じような治療が受けられる他の病院を探して転院するという方法もありますが、新たに診察を受けたり、検査をしたりすることを考えると待ち期間は短くならない、むしろさらに延びてしまうことも考えられますので、病院を変える場合は注意が必要です。
がん研有明病院以外でもホームページで治療までの日数を公表しているところがありますので、まずそちらで確認するか医療機関に直接問い合わせをして慎重に検討するようにしてください。
終わりに
昨日までと何も変わらないのに、がんと言われたその日から、いてもたってもいられず普通の生活ができなくなる、多くの人はそんな状態になるようです。
そんな精神状態で手術まで何週間も待つのはとても辛いことだと思います。手術までの間、今まで通り穏やかな日常を過ごすべきだと考えるとかえって、がんのことが頭から離れないと思います。ですので、この記事に書いたように、手術までの期間を有効に使おうと工夫し、少しの間でも頭の中をがんから切り離すことができる何かを積極的に探すことで少し気が楽になると思います。ぜひ、取り入れてみてください。