胃がんで全摘したらどうなる?余命・体の変化・術後の生活をわかりやすく解説
  • 本ページはアフィリエイト広告を利用しています。

胃がんで全摘したらどうなる?余命・体の変化・術後の生活をわかりやすく解説

胃がんで「胃を全て切除する」と聞くと、これからの生活や余命、身体への影響について不安を抱く方もいます。「食事はどう変わるのか」「仕事や日常生活は続けられるのか」「再発の可能性はどの程度なのか」など、気になることは多いでしょう。

この記事では、胃がん全摘後に起こりやすい体の変化や生活の実際、余命・生存率の考え方について、専門的な視点からわかりやすく解説します。

受付中がんの臨床試験、研究・治験広告のご案内

製薬企業や医療機関、研究グループから依頼を受け、治験審査委員会の審議で承認された臨床試験、治験を掲載しています。

がんワクチン療法がんワクチン療法

目次

胃全摘が選ばれる主なケースと治療の流れ

胃全摘(いぜんてき)とは、がんの位置・広がり・進行度を総合的に判断したうえで選択される手術です。

主に、次のようなケースで検討されます。

  • がんが胃の上部(噴門部、ふんもんぶ)にあり、
    胃を残すことが難しい場合
  • がんが胃全体に広がっている場合
  • リンパ節の転移が疑われる場合
  • スキルス胃がんなど、見た目以上に広がりやすいタイプのがん

これらのケースでは、部分切除ではがんを完全に取り除くことが難しいため、再発リスクを抑え、根治を目的とした胃全摘が選択されます。

また、治療の基本的な流れは以下の通りです。

  1. 内視鏡検査やCTなどでがんの進行度を詳しく評価
  2. 検査結果をもとに手術方針を決定
  3. 必要に応じてリンパ節郭清(かくせい)を伴う胃全摘手術を実施
  4. 術後、病理検査結果を踏まえて追加治療の有無を検討

このように、胃全摘は慎重な判断を経て行われる治療であり、個々の症状に応じて適切な方法が選ばれます。

胃がん全摘後の余命・生存率・再発率

胃がんで全摘手術を受けた後の余命や生存率、再発率は、多くの方が懸念される点ですが、これらの数値はあくまで統計的な指標です。個々の患者さんの経過をそのまま決定づけるものではありません。

一般的に公表されている生存率は、全国の患者データをもとに算出された平均値です。実際の予後は、年齢や体力、併存疾患の有無、がんの進行度や転移の状況など、患者によって大きく異なります。

そのため、統計の数値のみを見て「自分の余命」を断定するのは適切ではありません。これらの生存率や余命に関するデータは、ご自身の現状や治療効果を理解するための一つの目安(参考情報)として捉えることが重要です。

また、胃全摘後であっても、再発の可能性が完全になくなるわけではありません。術後は定期的にCT検査(造影含む)や血液検査を行い、体調や病状の変化を慎重に確認することが必要です。こうした術後のフォローを継続することで、万が一変化が見られた場合でも早期に対応できる体制を整えることができます。数値に過度に振り回されず、主治医と相談しながら今後の生活や治療方針を考えていくことが重要です。

胃がんの全摘後はどうなる?

胃がんの全摘手術を受けた後、特に手術直後から数カ月間は、体調の変化や不調を感じやすくなります。ここでは、胃を全て切除した後の方に起こりやすい症状や経過を解説します。

術後から数カ月の体調変化

胃がんの全摘手術後は、新しい状態に慣れるまで術後数カ月から1年程度かかるとされています(※1)。ここでは術後数カ月の主な体調変化を以下にまとめています。

項目起こりやすい変化
食事量一度に食べられる量が減る
体重術後1〜3カ月に最も顕著に減少しやすい(※2)
消化・吸収リズムが変わる
体力疲れやすくなる
日常動作動くのがつらく感じることがある

胃がなくなることで消化・吸収の仕組みが変わり、食事量の低下に伴って体重が減少しやすくなります。ただし、これは多くの患者さんに見られる一般的な経過で、食事回数を増やす、食事内容を工夫するといった取り組みをすることで、徐々に体調が安定する傾向があります。

また、体力の低下や疲れやすさは、手術の負担やエネルギー不足が影響している場合があります。無理のない範囲で栄養を意識した食事を心がけ、主治医の指示のもとで散歩などの軽い運動を取り入れることで、体力回復が期待できます。回復のスピードには個人差があるため、焦らず段階的に身体を慣らしていくことが重要です。

胃切除後症候群・貧血・逆流など起こりやすい症状

こうした術後の体調変化の中でも、特に胃を失ったことで生じる特有の症状を総称して「胃切除後症候群」と呼びます。

症状起こりやすい内容
早期ダンピング症候群食後すぐの動悸、めまい、冷や汗、腹痛、下痢など
後期(晩期)ダンピング症候群食後2〜3時間後のめまい、冷や汗、手指の震え、倦怠感、頭痛(※3)
逆流症状胸やけ、喉の違和感
ビタミンB12欠乏貧血、手足のしびれ
鉄欠乏性貧血倦怠感、息切れ
骨粗しょう症骨密度の低下、骨折しやすくなる
胆石症右上腹部の痛み、吐き気

ダンピング症候群は、食べ物が急激に小腸へ流れ込むことで起こります。食後すぐに症状が出る「早期ダンピング」では、動悸や冷や汗、腹痛、下痢などがみられやすく、食後しばらくしてから起こる「後期(晩期)ダンピング」では、血糖値の低下によるめまいや強い眠気を感じることがあります。いずれも、食事内容や食べ方を工夫することで、症状の軽減が期待できます。

また、胃がなくなることで食道と腸のつなぎ目に負担がかかり、胆汁や腸液が逆流して胸やけや喉の違和感が生じる場合があります。こうした逆流症状を防ぐためには、食後すぐに横にならないことや、就寝時に上半身を少し高くするなどの心がけが大切です。

さらに、胃全摘後はビタミンB12の吸収が衰えるため、時間の経過とともに欠乏による貧血(巨赤芽球性貧血)や神経症状が起こりやすくなります。加えて、鉄の吸収低下による貧血も比較的多く見られます。これらは定期的な血液検査によって早期に把握でき、注射や内服による補充が可能です。

このほか、栄養吸収の変化や体重減少の影響で骨粗鬆症(こつそしょうしょう)が起こりやすくなることがあります。また、急激な体重減少や胆汁の流れの変化が関係し、胆石症を発症するケースもあります。いずれも定期的な検査と早期対応が重要です。

胃全摘後の食事はどうなる?生活の工夫は?

胃を全摘出した後は、食事や生活リズムを見直す必要があります。さらに、一度に多くの量を食べられなくなるため、工夫が欠かせません。ここでは、食事の基本と退院後の生活のポイントを解説します。

少量頻回食とダンピングを防ぐ食べ方の基本

胃全摘後の食事では、腸への負担を減らし、ダンピング症候群を防ぐためにも以下の3つを心がけることが重要です。

  • 1回の食事量を少なくする
  • 1日5〜6回に分けて食べる(分割食)(※4)
  • よく噛み、ゆっくり食べる

胃は代わりとなる臓器が存在しないため、一度に多く食べると食べ物が急激に小腸へ流れ込み、ダンピング症候群を起こしやすくなります。食事量と食べ方を意識することが、症状予防の基本となります。

また、以下の点にも注意しましょう。

  • 甘い飲み物や菓子類を控える
  • 脂質の多い料理は避ける
  • 水分は食事と時間を分けて摂取する

糖質や脂質を多く含む食品は、急激な消化・吸収を引き起こしやすいため、注意が必要です。また、食事中に水分を多く摂取すると内容物が一気に小腸へ流れやすくなるため、食前や食後に分けて摂ることが大切です。こうした工夫を意識し続けることで、身体への負担を抑えながら、少しずつ安定した食事が可能になっていきます。

退院後の生活・仕事復帰の目安

退院直後は疲れやすく、食事量が不安定になりがちです。以前と同じ生活リズムに無理に戻そうとせず、家事や外出といった日常生活の動作を少しずつ増やしていくようにしましょう。体調の波がある時期でもあるため、「休むこと」も回復の一部と考えることが重要です。

仕事への復帰は、デスクワークなどであれば体調を見ながら術後1カ月から2カ月程度で戻れる場合もあります。一方で、立ち仕事や肉体労働の場合は、より長い調整期間が必要になるのが一般的です。職場復帰にあたっては、主治医の意見を踏まえつつ、産業医や上司と相談し、時短勤務や業務内容の調整など、負担の少ない働き方を選択することが、無理なく仕事を続けるポイントです。

胃がんの全摘手術が不安な場合は専門家への相談も

胃がんで全摘手術を勧められたとしても、「本当に他の治療法はないのか」「この選択で良いのか」と思うのは当然のことです。治療方針がすでに決まっていても、一度立ち止まり、別の専門家に相談し、選択肢を整理することは決して無駄なことではありません。病院とは異なる立場の話を聞くことで、心が穏やかになることもあります。

がんメディでは、治療や手術に関する不安を無料で相談できる窓口を用意しています。一人で抱え込まず、納得のいく判断につなげるための手段として活用してみてください。

(※1)国立がん研究センター|胃がん 療養
(※2)国立がん研究センター 東病院|胃がんの手術について
(※3)静岡県立 静岡がんセンター|がん体験者の悩みQ&A 悩みと助言
(※4)日本臨床外科学会||胃癌と診断されたら… 一般の方へ 14-1.食事と栄養療法 1 ―胃切除後の食事のとり方―

井林 雄太

医師|日本内科学会認定内科医・日本内分泌内科専門医

福岡ハートネット病院勤務。国立大学医学部卒。日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。
「一般社団法人 正しい医療知識を広める会」所属。総合内科/内分泌代謝/糖尿病の臨床に加え栄養学/アンチエイジング学が専門。
臨床業務をこなしつつ、大手医学出版社の専門書執筆の傍ら、企業コンサルもこなす。「正しい医療知識を広める」医師ライターとして多数の記事作成・監修を行っている。 

プロフィール詳細

受付中がんの臨床試験、研究・治験広告のご案内

製薬企業や医療機関、研究グループから依頼を受け、治験審査委員会の審議で承認された臨床試験、治験を掲載しています。

がんワクチン療法 がんワクチン療法

各がんの解説