家族や友人、お世話になっている人が病気やケガで入院したと聞くと、多くの人が「一刻も早くお見舞いに行きたい」と思うのではないでしょうか。しかし、元気な人を訪ねる場合と違い、お見舞いには基本的なマナーがあります。どのような点に配慮したらいいかわからないという方も多いでしょう。
本記事ではお見舞いの基本的なマナーを解説します。お見舞い品の選び方についても具体的に紹介しますので、お見舞いに行く際の参考にしてください。
目次
お見舞いで気をつけたいポイント
入院中の方をお見舞いする際には、気をつけなければならないポイントがいくつかあります。病気やケガで入院中は普段の生活とは違い、精神的にナーバスになる方も少なくありません。基本的なマナーを理解し、相手の迷惑にならないようにしましょう。
入院直後や手術の前後はNG
親しい人が「入院した」と聞くと、すぐにでも様子を見に行きたくなるものですが、お見舞いのタイミングには配慮が必要です。特に、入院直後や手術前後は、ご本人もご家族も落ち着かない状況になっているため、身内やごく親しい間柄でない限りお見舞いを避けた方が無難です。
お見舞いの適切な目安は、入院後4~5日、手術後の2~3日程度です。体調によりお見舞いが難しい可能性もあるため、ご家族に確認しましょう。無理に訪問せず、手紙を送るなどの配慮も大切です。
基本は少人数かつ短時間
お見舞いに行く際は、少人数で短時間の訪問が基本です。入院中の方は健康状態が安定しないことも多く、普段と異なる環境で精神的に不安定になることも少なくありません。そうした状況の中、大勢で押しかけると、ご本人に大きな負担をかけてしまう恐れがあります。また、相部屋の場合、他の患者さんの迷惑になってしまう可能性もあるため、十分に配慮が必要です。
お見舞いに行く際には多くても2~3人で、時間は20分程度で切り上げるのがマナーです。
病院によっては、面会時間が15分以内などルールも決まっている場合があります。また、マスクをつける、手指消毒を行う、病室ではできるだけ静かにするなどの病院のルールもきちんと遵守しましょう。
会話の内容にも配慮を
お見舞いの際には、会話の内容にも気をつけましょう。「早く元気になってね」「状況はどうなの?」といった回復を焦らせるような言葉や、病状を詳しく聞くようなことは控えましょう。入院しているご本人に余計なプレッシャーを与えることになりかねません。
詳しい病名や現在の状況などはデリケートな話題のため、よほど近しい間柄でない限り控えましょう。
「早く良くなってね」「頑張って」といった焦らせるような言葉ではなく、勇気づけるような励ましの言葉を贈るのが望ましいでしょう。また、入院で仕事を休んでいる方には余計な不安やプレッシャーを与えることになりかねないため、仕事の話は避けるべきでしょう。
お見舞いに行かない方が良いケース
いくら相手のことが心配でも、お見舞いに行かない方がいいケースもあります。例えば、面会が制限されているケースです。ご本人がICU(集中治療室)に入っている場合や面会謝絶の場合は、お見舞いを控えましょう。
また、入院が短期である場合も、お見舞いは避けた方が無難です。数日間の検査入院などではスケジュールが詰まっていることが多く、お見舞いがかえって負担になる可能性があります。
お見舞いの品の選び方
お見舞いに伺う際の悩みのひとつが、どのようなものを持っていけば喜ばれるかということ。また、「お見舞金を渡したいけれど、正しいマナーがわからない」という方もいるでしょう。そこで、お見舞い品の選び方とお見舞金の渡し方を詳しく解説します。
金額の目安は3,000円から5,000円
お見舞金を渡したいと考えている方もいることでしょう。その場合に悩みの種となるのが、「いくら渡せばいいか」ということ。お見舞金の相場は、お相手との関係で異なります。
両親や兄弟、親戚を見舞う際のお見舞金の目安は5,000円から1万円ほどです。ただし、相手との関係性や地域によっても相場は異なります。また、複数人でお見舞いに行くケースは事前に相談しておきましょう。
入院しているのが友人や知人の場合、3,000円から5,000円ほどが目安です。「病気が良くなってほしい」という気持ちから高額になってしまいがちですが、あまりに高額になってしまうと、相手に気を遣わせたり、お返しの負担が増してしまったりするため気をつけましょう。
職場の方を見舞う際の金額の相場は相手との関係性によって異なります。入院しているのが同僚の場合の相場は3,000円から5,000円ほど、部下の場合は、5,000円から1万円ほどが相場です。上司の場合は、現金ではなく品物を送るのが一般的なマナーとなります。品物の金額の相場は3,000円から1万円が目安です。
現金の包み方
お見舞金を包む際には、紙幣の肖像画を中袋の表面に入れ、外袋で中袋を包みます。そして、「御見舞」と表書きをして渡します。お札の上下には特に決まりはありませんが、複数枚のお札を入れる場合には向きをそろえるのが丁寧です。
お見舞金に使うお札は、新札ではなく旧札がマナーです。新札だと「あらかじめ用意していた=病気やケガを待っていた」と取られかねないためです。2024年7月3日に新札が発行されたため、旧札が手に入りにくいこともあります(※1)。その場合は、無理に旧札を用意せず、新札を軽く折って使用するとよいでしょう。汚れや破れ、シワのあるお札は避け、清潔感のあるものを選ぶのがポイントです。
お見舞金の渡し方のマナー
お見舞金を渡すタイミングは、対面してすぐです。このとき、ただ渡すのではなく「お見舞いの品の代わりなので何かのお役に立ててください」「気持ちばかりですが」など、相手を気遣う一言を添えるのがポイントです。
もらってうれしいもの&困るもの
お見舞い品として喜ばれるものとしてまず挙げられるのが、入院中の気晴らしになるようなものです。入院中の暇つぶしになるような、お相手の好みの本やDVD、CDなどがおすすめです。
また、入院生活を快適に過ごせるようなパジャマやルームウエアなども喜ばれるでしょう。殺風景な病室を飾る花もおすすめです。
食事制限がない場合は、好物を送るのもおすすめです。好物がわからない場合は、アイスクリームやクッキーなど手軽に食べられるものを送りましょう。
お見舞い品としてNGなのは、鉢植えや香りが強い花、手入れが必要な切り花です。特に「鉢植えは根付く=寝付く」とされるため、避けましょう。また、置物のようにかさばるものも避けるのが無難です。
相手が喜ぶ品と気遣いの心を持ってお見舞いに行こう
親しい友人やご家族が入院したと聞くと、少しでも早く顔を見たいと多くの方が思うでしょう。しかし、健康な人を尋ねるのとは違い、入院中のお見舞いには最低限のマナーやルールがあります。マナーやルールを踏まえたうえで、相手が喜ぶものと気遣いの心を持ってお見舞いに行きましょう。
(※1)政府広報オンライン|2024年7月3日、新しいお札が発行!