がん治療が始まる前の準備とは?入院時に必要な持ち物一覧付き

がん治療が始まる前の準備とは?入院時に必要な持ち物一覧付き

がんと診断されてから、実際に治療が始まるまでには数週間から1カ月ほどの間が空くことが一般的です。がんの治療中は、これまで通りの生活が難しくなることもあるでしょう。

この数週間から1カ月ほどの「準備期間」を使って、がん治療の準備をしておくことをおすすめします。とはいえ、多くの人にとって初めてのがん治療だと思います。

何をどのように準備すればいいかわからないという方もいるのではないでしょうか。
この記事では、治療前に準備しておきたいことや、入院時に必要な持ち物をお伝えします。

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目次

治療前に準備しておきたいこと

がんの告知後すぐに入院し手術というケースも少なからずありますが、がんの治療が始まる前には、数週間から1カ月ほどの準備期間があることが一般的です。

この準備期間には何をするべきなのでしょうか。

できるだけ普段通りの生活を

準備期間といっても、入院に向けて取り立てて何かをしなければならないというものではありません。普段通りの生活で問題ないでしょう。ただ、風邪などを引かないように体調を整えておくことは重要です。

また、喫煙習慣のある人は、この期間に禁煙しましょう。たばこが多くの健康被害をもたらすことはよく知られていることです。また、喫煙者はたばこを吸わない人と比べて、手術の傷が化膿する可能性は6倍になるといわれています。

反対に、30日間の禁煙で、傷が化膿する頻度は2%にまで低下します。傷が化膿し、吻合部分がうまくくっつかなければ、命に関わることもありますので、禁煙しましょう。中には、禁煙を約束できない患者さんには手術をしないという病院すらあるほどです。

また、がんの種類や他に持病がある場合には、準備期間に食事制限などが必要になるケースもあります。事前に、担当医に準備期間の過ごし方について聞いておくと安心して過ごせるでしょう。

高額療養費制度やがん保険を確認しておく

担当医や病院の相談窓口に相談すると、事前におおよその治療費がわかります。治療費が高額になりそうな場合は、「高額療養費制度」など活用できる制度がないか、相談窓口に聞いておくと安心して治療に臨めるでしょう。

また、自分が加入しているがん保険も必ず確認しましょう。どのくらいの金額が給付されるのか、必要な手続きはどういったものなのかを確認した上で、必要な手続きを準備期間中に取ってください。

入院時に必要な持ち物一覧

中には、今回の治療で初めて病院に入院するという方もいるのではないでしょうか。そのような方は、入院に際してどのようなものを持っていけばいいのかわからないと思います。

ここでは、がん治療の入院時に必要となる主な持ち物をお伝えします。入院時に必要な持ち物は、それぞれの病院で異なることがあるので入院前に確認するようにしましょう。

必ず必要なもの

まずは、入院にあたって必ず必要なものを改めて確認しましょう。主なものは以下の通りです。

  • 入院する病院の診察券
  • 保険証
  • 入院申込書
  • 印鑑
  • 服用している薬
  • お薬手帳
  • 医療費の減額に関する認定証(限度額適用認定証)
  • (持っている方は)他院からの紹介状、看護サマリー、検査データ
  • (対象の方は)入院時食事療養費の標準負担額減額認定証

あると便利なもの

次に、入院にあたって必須ではないものの、あると入院生活で便利なものをお伝えします。

メガネやコンタクトレンズを使用している方は、メガネやメガネケース、コンタクトレンズやケア用品を持っていくようにしましょう。

空気の乾燥に弱い方は、リップクリームや乳液などを持っていくことをおすすめします。ただし、他の患者さんの迷惑にならないように無香料のものを選んでください。

また、入院中に退屈しないように本や雑誌、ラジオ、CD・DVDプレーヤー、パソコンなどを持っていくとよいでしょう。ただし、ラジオやCD・DVDプレーヤーといった音の出るものについては、病院の許可が必要ですし、周りの人の迷惑にならないようにイヤホンやヘッドホンを持っていくようにしてください。

生活用品は病院に確認を

パジャマやタオル類、下着や靴下、洗面用具や入浴用品、食事用具といった生活用品も入院生活には必要です。

ただ、病院によっては売店で購入できたり、レンタルできたりする場合もあります。

どのような生活用品を持っていけばいいかは、事前に担当医や看護師に確認しておくとよいでしょう。

【治療法別】あると便利なもの

がんの標準治療は、手術、抗がん剤治療、放射線治療の3つです。3つの治療方法の特徴は大きく異なり、身体に与える影響も全く違ったものになります。

そのため、手術を受ける人と、抗がん剤治療を受ける人、あるいは放射線治療を受ける人とでは、入院生活において、あると便利なものが異なります。

ここでは、治療法別にあると便利なものを見ていきましょう。

手術を受ける人

手術後は、頻繁に傷口のチェックが行われます。そのため、脱ぎ着の楽な服を用意しておくとよいでしょう。前開きの服だとより楽に診療を受けられます。身体を締め付けるタイプの服は避け、できるだけゆったりとした服を選ぶことをおすすめします。

抗がん剤治療を受ける人

抗がん剤は副作用があることがほとんどです。中でも、女性の方が特に心配なのは、脱毛ではないでしょうか。どのような副作用が出るのかは人によって異なりますが、脱毛の副作用は少なくありません。

帽子や医療用ウィッグなどを用意しておくと安心して治療を受けられるでしょう。また、気分が悪くなる副作用が現れる場合もあるため、身体を締め付けない、ゆったりとした服をおすすめします。

放射線治療を受ける人

放射線治療では、正しい位置に正しい線量が照射されることが重要です。そのために対象の箇所にマジックなどで印を付けることになります。

この時、白の服だとインクが移って目立つ可能性があります。黒字の服の方が、色移りが目立ちにくいです。お気に入りの服は避けることをおすすめします。

また、放射線を照射している箇所を圧迫しないように、服はゆったりしたサイズのものを選びましょう。治療箇所が陰部のあたりの場合は、下着による圧迫やこすれを避けるため、下着も大きめのサイズのものを選んでください。

【まとめ】入院時に必要な持ち物について

がんと宣告されてからすぐに入院し、手術というケースもありますが、一般的にはがんの宣告から治療開始までは数週間から1カ月ほどかかります。

がんの治療中はこれまで通りの生活が難しくなり、入院中は自宅と同じように過ごすこともなかなか難しいです。少しでも快適に治療生活を送るためには、数週間から1カ月ほどの期間で適切な準備をすることが重要です。

とはいえ、何も特別なことをする必要はありません。できるだけ普段通りの生活を心がけ、喫煙習慣のある人であればすぐに禁煙をしましょう。また、自分のがん保険を確認し、必要な手続きを取ることも重要です。治療費が高額になりそうな方は、事前に病院の相談窓口に高額療養費制度の詳細を確認しておきましょう。

1.がん情報サービス「治療までに準備しておきたいこと」
2.がんを学ぶ
3.兵庫県立がんセンター「患者さん・ご家族の方へ」
4.石川県立中央病院「手術前に禁煙をして下さい」
5.埼玉西協同病院「入院の手続きに必要なもの」
6.がん情報サービス「がんになったら手にとるガイド」
7.国立がん研究センター「放射線治療中の服装」
参照日:2022年10月

大塚 真紀

総合内科専門医

東京大学大学院医学系研究科卒。医師、医学博士。博士号は、マウスを用いた急性腎障害に関する研究で取得。専門は、腎臓内科、透析。都内の大学病院勤務を経て、現在は夫の仕事の都合でアメリカ在住。医療関連の記事の執筆や監修、医療系動画監修、企業戦略のための医療系情報収集、医療系コンテンツ制作など幅広く行なう。保有資格:医学博士、総合内科専門医、腎臓内科専門医、透析専門医

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