がん遺伝子検査ではどんなことが分かるの?

がん遺伝子検査ではどんなことが分かるの?

近年、がんと遺伝子の関係性が明らかになるにつれ、両者は切っても切り離せない関係だということがわかってきました。

それに伴い、がん治療のあらゆる場面で「遺伝子検査」が広く利用され始めています。

遺伝子検査では何がわかり、私たちにどんなメリットがあるかご説明してゆきたいと思います。

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目次

遺伝子検査でわかること

がんを確定できる

主に血液のがんにおいては遺伝子検査をがんの確定診断に利用します。

例えば慢性骨髄性白血病の場合「BCR-ABL」という遺伝子の異常を確認することが確定診断の条件となります。

さらに白血病には急性・慢性、リンパ性・骨髄性別に4つの病態に分かれますが、その判定や治療効果の判定、予後の予測も遺伝子検査によって判明します。

効果的な治療を知る

一部のがんでは、がんと診断された後、遺伝子検査を行います。これは遺伝子変異のタイプを知り、それに合った薬を使うためです。

例えば、肺がんの場合「EGFR遺伝子」という遺伝子を調べますが、この遺伝子に変異があるとがん増殖のスイッチがONになると言われています。

遺伝子検査によってこの遺伝子変異が認められると、予めイレッサやタルセバといった分子標的薬が有効的であることが確認でき、効果的に治療を始めることができます。

現在肺がんの他にも胃がん、大腸がん、乳がんなどで検査が行われています。

これまで抗がん剤といえばがんの種類別に使用されていましたが、今後さまざまながんの遺伝子変異が発見され、遺伝子変異別に抗がん剤を使用してゆくことができれば、効果の見込めない抗がん剤を闇雲に使う必要がなくなり理にかなった治療を受けることができるようになるでしょう。

副作用を回避する

抗がん剤においては、個人の体質に起因する副作用も遺伝子検査によって知ることができます。

抗がん剤を使う前に遺伝子検査を行うことで、重篤な副作用の発生率を把握し、副作用が出づらい薬に限定して使用したり、量を控えたりすることが可能になります。

これまで抗がん剤の副作用に関しては「やってみないとわからない」というのが一般的でしたが、今後は重篤な副作用のリスクを回避し、以前よりも安全に使用することができるのです。

遺伝性がんのリスクを知る

遺伝子検査で遺伝性のがんを調べることもできます。

2013年アメリカ人女優のアンジェリーナジョリーさんが遺伝子検査によって、将来的に乳がんと卵巣がんを発症する可能性が高いとされ乳房を切除したことは有名です。

がんには遺伝的な要因がはっきりしていて親から子へ遺伝する遺伝性のがんというものがあり、そのうち有名なのが乳がんと卵巣がんです。

血縁者に2人以上のがんがいる場合や乳がんと卵巣がんの併発などいくつかの条件をクリアし、遺伝子検査を受けた結果「遺伝性乳がん・卵巣がん症候群」と診断されると、将来的にがんの発症率が高いか、子どもへの遺伝の可能性などを把握することが可能になります。

また遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の人はそれに合った手段や間隔で継続的な検診が推奨されますので、先天的にがん発症のリスクが高い分、予防的に手段を講じることができるようになります。

遺伝子検査の活用範囲は今後さらに広がる

遺伝子検査ができる条件・医療機関などはまだ限られていますが、今後はより一層活用範囲が広がると思われます。現時点では検査の対象とならない方も今後の動向に注視し、ご自身のがん治療にご活用ください。

 

国立がんセンターがん情報サービス がん医療における遺伝子検査https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/genomic_medicine/gentest02.html
株式会社ファルコバイオシステムズ 遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の情報サイト http://hboc.info/company/

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