高齢者のがんは治療しないで放っておいた方が良いのか

高齢者のがんは治療しないで放っておいた方が良いのか

ここ最近若い世代にもがんは増えていますが、以前からがんといえば高齢者の病気です。

もし、あなた自身が高齢でがんがみつかったら治療をしますか?
高齢のご家族にがんがみつかったら治療をしてほしいと思いますか?

周知のとおり、治療は体に大きな負担がかかりますから、治療をうけることが果たしてベストな選択なのか迷いますよね。
今回は、がん治療にまつわる悩みの1つである、高齢になってがんが見つかったときの治療の是非についてお話ししたいと思います。

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目次

高齢とは何歳から?

高齢者の定義は制度や法令によって異なり、その定義はあいまいです。がん治療においても、何歳から高齢者と区分されるのか明確な線引きはありません。しかし、一般的に65歳以上を高齢者とすることが多いため、今回も65歳以上を高齢者としてご説明します。

高齢者のがん

国立がん研究センターが発表したデータによると、男女ともに50代にさしかかると、がんの罹患率がそれまでと比べ急増します。そしてそれ以降90代までは増加の一途をたどります。
併せてがんによる死亡率も見てみると、60代以降から増加していることがわかります。
歳を重なるとがんになりやすくなり、がんが原因で亡くなる可能性も高くなるといえるでしょう。

参考:国立がんセンター がん情報サービス 日本の最新がん統計

高齢になるとなぜがん患者が増えるのか

高齢者が病気になりやすいというのはがんに限ったことではありませんが「加齢」はがんの大きなリスクの一つです。がんは何らかの要因で遺伝子が傷つくことによって発症することがわかっています。単純に、長く生きれば生きるほど傷の蓄積が多くなってゆくのです。

さらに免疫力の老化も加わります。がんを攻撃してくれるシステムである免疫力は加齢とともに低下してゆきます。
それに加えて、高齢になると自律神経が影響を受けやすかったり、ストレスを感じることが多くなると言われ、それらがより一層免疫機能の低下を招いてしまいます。

高齢になると防御が弱まる一方でリスクが増えるというわけです。

これが、高齢者ががんになりやすい理由です。

高齢者のがん治療について

ここから治療という点で見てみましょう。

まず、治療というのはがんの種類と進行度をもとに決まっています。
手術・放射線・抗がん剤、おおむねこの3種類から選択され、それらを効果的に活用するために、受ける順番や組み合わせが細かく定められています。
治療は画一的でマニュアル化されているわけです。

しかし、高齢者ががんになったとき、この規定にあてはめることができない事があります。いかなる治療も後遺症や副作用による体力低下のリスクが伴いますが、高齢者の場合はそれが顕著に表れる傾向があるため、全ての高齢者が一様に若い世代と同じ治療を受けることはできないのです。

体力の問題

実際、医療の現場では80歳くらい以降の高齢者には抗がん剤治療を勧めません。
抗がん剤の副作用に患者さんの体力が負けてしまい、がんを改善するどころか、寝たきり・既往症の悪化・副作用の急性増悪など、いわゆる生活の質の低下に本人が苦しむことが予想されるからです。がんを良くするための治療は高齢者にとっての命取りになりうるのです。
これについては臓器を切除する手術もまた然り。これでは、がんを叩いているのか体を痛めつけているのかわかりません。

しかし同じ80歳でも健康状態や体力には個人差があります。
そのため何歳以降は治療をしないとはっきり決まっているわけではありません。
患者の年齢という点ではマニュアル化されておらず、現場の担当医のいわゆる「さじ加減」にかかっているのです。

残された時間を考える

さらに高齢者の場合は残された時間も考慮すべきでしょう。
厚生労働省によると、2017年の日本人の平均寿命は男性が81歳、女性が87歳ということです。

参考:厚生労働省ホームページ 平成29年簡易生命表の概況

たとえば、80歳の男性にがんが見つかったとします。
そのがんが現時点で特に体に悪影響を及ぼしておらず、成長も遅いがんだとしましょう。
この場合治療を受けたほうが良いのでしょうか。
辛い治療を受けずに、がんと共存しながらその人本来の寿命をまっとうしたほうが良いのではないかと思いますよね。
このように残された時間から治療の価値を判断する必要もあるのです。

治療の是非

このように高齢者のがん治療は個人差が大きいので、治療の良し悪しは個人によって変わるということがお分かりいただけると思います。他人が決められることではないのです。
もし、治療をすべきか悩んだときは体力と余命と本人の意思、この3点が大きなポイントだということを覚えておいてください。

本人の持病に関することや、治療の結果どのようなことが予想されるかといった、医学的な見地は担当医が最もよく把握しているでしょう。
ですので、患者さんやそのご家族は、治療に対する思いや人生観を担当医に率直に伝え、両者の意見をすり合わせ決めてゆくことが必要です。

高齢者のがん治療はどう過ごして行くかが大切

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医療現場では高齢者にがんがみつかったとき、本人やご家族に治療の決断を委ねることも多いようです。
結局のところ治療するべきかどうかは、メリットとデメリットを天秤にかけてメリットが大きいと思う方を選ぶしかありません。

本人も家族にとっても難しい決断ですが、きちんと悩んで出した答えであれば今後もそれを受け入れて生きてゆけるのではないでしょうか。高齢でがんを患っても前向きに過ごせるように納得のゆく判断をしていただきたいと思います。

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