MRI検査で何がわかる?どんなときに検査が行われるのかを解説

MRI検査で何がわかる?どんなときに検査が行われるのかを解説

人間ドックなどで行われる検査の一つにMRI検査があります。

MRI検査という言葉は多くの方が知っているのではないでしょうか。しかし、これまでMRI検査を受けたことのない方は、どのような検査が行われて、どんな病気が発見できるのかといった詳しい知識を知らない方が多いと思います。

そこで本記事では、MRI検査の基礎知識を詳しく解説します。MRI検査を受けたい方や、医師に検査をすすめられた方はぜひ参考にしてください。

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目次

MRI検査とは?

「そもそもMRI検査とは何?」と疑問を持つ方も多いと思います。まずは、MRI検査の目的や検査の仕組みについて詳しく見ていきましょう。

MRI検査の仕組みについて

MRI検査の「MRI」とは、「Magnetic Resonance Imaging」の略称で、日本語では「磁気共鳴画像診断装置」などと訳されます 。日本語表記の通り、磁気の力を利用して臓器や血管を画像化する検査です。

CT検査やX線検査と異なり、放射線を使わないため、放射線被ばく のリスクはありません。

強い力を持つ磁石と電磁波で体内の状態を断面図化できるため、全身のどのような箇所でも撮影および診断することが可能です。

トンネル状のMRI装置という装置に中に横たわった状態で入り、体内の画像を撮影していきます。検査時間は20分から1時間ほどで、体を動かすと画像が乱れてしまうため、検査中は体を動かさないようにする必要があります(※1)

MRI検査の目的

MRI検査は、体のどのような箇所でも画像化できますが、特に脳、脊椎、四肢、子宮・卵巣や前立腺などといった骨盤内の病変と、乳腺や肝臓、骨軟部といったCT検査では正常な組織とがん細胞との区別がつきにくい臓器のがんの診断に有効です。

がんの広がりや他の臓器への転移の有無を調べたり、治療の効果を確認したり、治療後には再発がないかを確認するなど幅広い目的でMRI検査が行われています。

MRI検査を受けるのはどんなとき?

医師からMRI検査をすすめられるのはどのようなときなのでしょうか。

一概に「この病気が疑われるときは必ずMRI検査をする」とは言えませんが、特に脳や脊椎、四肢、腹部の病気が疑われるときに行われることが多い検査です。ここではMRI検査が行われる主なケースを解説します。

脳の病気が疑われるとき

MRI検査が有効な脳の疾患には脳梗塞や脳腫瘍 があります。脳梗塞とは、脳の血管が詰まり、その先まで血液が届かなくなり、脳細胞が壊死(えし)してしまう病気です。

脳梗塞はCT検査でも発見できますが、MRI検査ではより鮮明な画像が得られます。

脳腫瘍は脳内にできる腫瘍のことで、良性と悪性に2つに分かれます。悪性の場合はもちろん、良性の場合でも腫瘍ができた場所によっては早急に取り除かなければなりません。他の臓器と比べても特に様子がわかりにくい臓器である脳の鮮明な画像をMRI検査で得られることは、脳腫瘍の早期発見にとってとても重要です。

脊椎の病気が疑われるとき

ヘルニアや脊椎腫瘍など、脊椎の病気が疑われる場合にもMRI検査が行われます。

MRI検査では、椎体、椎間板、脊髄、脳脊髄液 などが非常によく観察でき、脊椎部分の病変の有無がはっきりとわかります。

炎症部位を特定したり、より鮮明な画像を撮影したりするために、造影剤を使用することも少なくありません。

手足や関節、骨の病気が疑われるとき

靱帯(じんたい)損傷や骨折、炎症など手足や関節、骨の病気が疑われる場合にもMRI検査が検討されます。MRI検査では、X線検査では診断することが難しい靱帯や骨、半月板などの状態を鮮明に描出することが可能です。

腹部の病気が疑われるとき

腹部にある臓器のうち、肝臓、膵臓(すいぞう)、胆嚢(たんのう)、脾臓(ひぞう)、腎臓といった心臓や腸管以外の実質臓器の病気が疑われる際にもMRI検査が行われます。

MRI検査は、検査の最中に動いてしまうと画像が乱れてしまうため、心臓のように動く臓器の検査には向いていません。

MRI検査を受けられない場合

体のあらゆる箇所を鮮明に画像化できるMRI検査は、がんをはじめとするさまざまな病気の早期発見に非常に有用ですが、全ての方がMRI検査を受けられるわけではありません。中には、MRI検査を受けられない方もいます。

どのような方がMRI検査を受けられないのでしょうか。以下から詳しく見ていきましょう。

そもそも検査を受けることができない方

心臓ペースメーカーを装着している方は、基本的にMRI検査を受けられません。

MRI装置や検査室の中には、強力な磁場が発生するので、心臓ペースメーカーが故障してしまう恐れがあるからです。心臓ペースメーカーの故障は命にかかわるため、MRI検査は行えません。

同様に、除細動器や脳深部刺激装置、人工内耳、人工中耳といった磁場に影響されるような装置を身につけている方も装置の故障の恐れがあるため、基本的にMRI検査は受けられません。

さらに、入れ墨やアートメイクをしている方も基本的にはMRI検査を受けられません。 なぜなら、入れ墨やアートメイクの着色顔料とインクに金属を含む場合 があるからです。いずれも不安な場合は問診票を書く際に確認をしておきましょう。

また、閉所恐怖症の方がMRI検査を受けることも難しいでしょう。MRI検査で使用する装置は、全身をすっぽりと覆う閉鎖的な空間であり、検査の内容や部位にもよりますが、検査には20分から1時間ほどかかります(※1)

その間に、もし閉所恐怖症によるパニックを起こしてしまえば、医療事故につながりかねません。とはいえ、最近では視界が開けているMRI装置も普及しつつあります。 「閉所恐怖症だけどMRI検査を受けたい」という方は、事前にMRI装置を確認させてもらいましょう。

検査を受けられない可能性がある方

血管内のステントや骨折治療時のボルト、金属クリップなどの金属が体内に埋め込まれている方は、MRI検査を受けられない可能性があります。金属がMRI装置の磁場に影響される恐れがあるからです。

同様の理由で、脳動脈瘤(りゅう)の手術や内視鏡手術でクリッピング術 を行った方もMRI検査を受けられない可能性があります。妊娠中あるいは妊娠の可能性がある方もMRI検査を受けられない可能性があります。MRIが胎児に悪影響を及ぼすという報告はありませんが、出生後の影響に関しては十分に解明されているわけではありません 。特に体調や精神状態が不安定な妊娠初期のMRI検査は避けた方が良いでしょう。

MRI検査を積極的に受けて病気を早期発見しよう

MRI検査は、体のあらゆる箇所を鮮明に画像化できる検査です。他の画像検査より鮮明な画像が得られるため、CT検査では発見できなかったごく初期のがんを発見できたというケースも少なくありません。ただし、強力な磁力を用いて検査をするというMRI検査の特性上、全ての方が検査を受けられるわけではありません。

例えば、心臓ペースメーカーを装着している方や除細動器、脳深部刺激装置などの機械を装着している方は基本的にMRI検査を受けることはできません。MRI検査を受けることができる方は、ぜひ積極的に受けて病気の早期発見につなげてください。

(※1)北海道大学病院 放射線部|MRIとは
参照日:2024年01月

井林 雄太

医師|日本内科学会認定内科医

福岡ハートネット病院勤務。国立大学医学部卒。日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。
「一般社団法人 正しい医療知識を広める会」所属。総合内科/内分泌代謝/糖尿病の臨床に加え栄養学/アンチエイジング学が専門。
臨床業務をこなしつつ、大手医学出版社の専門書執筆の傍ら、企業コンサルもこなす。「正しい医療知識を広める」医師ライターとして多数の記事作成・監修を行っている。 

プロフィール詳細

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