【ニュース】FDAは、RETという遺伝子に変異を認める転移性非小細胞肺癌に対してpralsetinibが承認されました

【ニュース】FDAは、RETという遺伝子に変異を認める転移性非小細胞肺癌に対してpralsetinibが承認されました

こんにちは。川森です。

FDAからの速報をお伝えします。

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FDA approves pralsetinib for lung cancer with RET gene fusions
Food and Drug Administration granted accelerated approval to pralsetinib (GAVRETOTM, Blueprint Medicines Corporation) for adult patients with metastatic RET fusion-positive non-small cell lung cancer (NSCLC) as detected by an FDA approved test. More information. September 4, 2020.

2020年9月4日付でFDAは、RETという遺伝子に変異を認める転移性非小細胞肺癌に対してpralsetinibが承認されました。

これは、ARROWという多施設のRET変異腫瘍有する患者を集めたコホート研究結果からです。

87人のプラチナ製剤の治療を受けたRET変異のある非小細胞肺癌患者では、57%の患者に効果を認め、効果のあった患者の80%が6ヶ月以上効果が持続している。

また、治療を受けたことがないRET変異のある非小細胞肺癌患者27人では、70%の患者に効果を認め、効果のあった患者の58%が6ヶ月以上効果が持続している。主だった副作用は、GOT, GPTなどの肝機能障害、全身倦怠感、便秘、筋肉痛など。推奨容量は、1日400mg1錠空腹時内服(食後2時間、内服後少なくとも1時間絶食)。

今後日本でもRET遺伝子検査が普及してくれば認可されていく可能性があると思います。

川森 俊人

医師 | 日本病理学会病理専門医/日本臨床細胞学会細胞診指導医|日本癌学会

三重県生まれ。1987年(昭和62年)岐阜大学医学部卒業。医師免許取得後、岐阜大学医学部第一内科入局。

5年間、大学及び関連病院で内科、消化器内科を研修。1992年岐阜大学大学院医学研究科に進学し、病理の勉強をしつつ、癌研究を始める。動物実験を用いて、がんの発生から予防に関して、特に大腸がん、舌がん、肝臓がん、膵癌、膀胱癌、前立腺癌などを研究。

成果をCancer Researchなど一流がん専門誌に多数掲載され、学位取得後米国健康財団へResearch Fellowとして2年間留学。留学中、COX-2阻害剤の大腸発癌に対する抑制効果を世界で初めて動物実験で証明した。1998年帰国し、国立がんセンター研究所がん予防研究部室長として研究を進め、京都大学、小野薬品などと共同研究を行い、COX-2の下流にあるプロスタグランジンの大腸発癌における役割をその細胞膜にあるレセプターのノックアウトマウスを用いて検討した。ピロリ菌の胃発癌における役割なども研究した。国立がんセンター中央病院病理部も併任し、病理専門医、細胞診指導医として臨床病理診断、病理解剖業務に従事した。

2002年に再渡米し、サウス キャロライナ州チャールストンにあるMedical University of South CarolinaにAssistant Professorとして赴任しアメリカでの研究を再開。NIHからR01 grant取得し、共同研究としてP01 grantにも参加し、自身の研究室を主宰し、COX-2の上流と考えられるスフィンゴ脂質代謝の大腸がん、乳がん、舌がんの発生と予防における役割を研究した。2010年には、ハワイ大学がんセンターにAssociate Professorとして移動し、研究を続けた。2014年帰国し、一宮西病院病理部勤務。湘南メディカルクリニックでがん免疫療法部統括部長としてがん免疫療法を推進。2019年よりまれケアクリニック院長として訪問診療、特にがん末期の患者様の緩和ケアを行っている。

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