健康診断は何歳から受けた方が良い?大切ながん検診のお話

健康診断は何歳から受けた方が良い?大切ながん検診のお話

皆様は年に1回健康診断を受けていますか?

もし、あなたが健康診断を受けたことがなかったり、あるいはサボり気味であれば、その理由はなんでしょう。結果が怖いから?自分だけは大丈夫だと思っているから?病院が嫌いだから?

国立がんセンターによると健康診断を受けない理由ナンバー1は「必要なときはいつでも医療機関を受診できるから」だそうです。

確かにいつでも病院に行って原因を探すことはできます。しかし、原因がわかっても手遅れ状態だったらどうでしょう。もっと早くみつけられたのではないか、しばらくがん検診を受けていなかったから…などと後悔しませんか。

健康診断は健康な人が受ける検査です。不調がなくても、ないからこそ定期的に健康診断を受けることによって万が一のときに早期発見が叶います。今回はがんの健康診断であるがん検診と、総合的ながんの検査を含む人間ドックについて、また婦人科系のがんについてご説明したいと思います。

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目次

がん検診と人間ドック

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がんは食事や運動、睡眠などの生活習慣が原因である生活習慣病の側面があります。しかし、これらの生活習慣を万全にしていても残念ながらがんの発生を100%抑えられるということはありません。そこで大切なのが、万が一がんになってしまってもすぐに対処=治療できるということです。いわゆる早期発見・早期治療です。そしてそれを目指したものが健康診断です。

強調がんは、痛み、出血、急激な体重減少など体に何か異変を感じ医療機関を受診した結果発見されるケースが一番多いものです。しかし、健康診断は何も症状がない状態で受ける検査です。仮にがんが発症していても症状が現れていない段階ということは、基本的には早期発見ということになります。これが健康診断を受ける最大のメリットです。

がんの早期発見を目的に受ける健康診断といえば「がん検診」や「人間ドック」などです。

以下その2つに絞ってご説明します。

がん検診

がん検診の目的は先ほども述べた通り、がんを早く発見し進行を食い止めることです。自治体で行われるがん検診などをイメージされる方も多いでしょう。

現在、広く普及しているがん検診は胃、大腸、肺、乳、子宮、前立腺です。定められた年齢になると無料、あるいは数百円から数千円で検査を受けることができます。皆様のお宅にもお住まいの市区町村から受診券などが送られてくるのではないでしょうか。また、お勤めの会社で年に1回行う検診もあります。

まれに「かかりつけの病院があって、そこに定期的に通っているからがん検診は必要ではない」と思っている方がいらっしゃいますが、がんの検査は特殊であり、幅広いため、かかりつけ病院の検査でがんを早期発見できるわけではありません。きちんとがん検診を受けましょう。

さらに、何か気になる症状があるということでがん検診を受ける方がいらっしゃいますが、これも誤りです。先にも申しあげたように、がん検診は症状が何もない状態で行う検査ですから、症状の原因を探す検査とはまったく別物です。症状がある方は、がん検診を受けるよりまず先に病院で適切な科を選び医師の診察を受けてください。

日本は外国に比べがん検診を受ける人の割合が少ないと言われています。

厚生労働省が発表したがん検診の受診率を見てみると、「胃がん」8.4 %、「肺がん」7.4 %、「大腸がん」8.4 %、「子宮頸がん」16.3 %、「乳がん」17.4 %となっています。

5人に一人、場合によっては10人に一人も受診していないのが現状です。

がん検診を受診した結果、がんが発見された方の割合は「胃がん」0.1%、「肺がん」0.03%、「大腸がん」0.17%、「子宮頸がん」0.04%、「乳がん」0.28%となっています。

参考:厚生労働省ホームページ 平成29年度がん検診の受診者数及び受診率 表6/表8

一番多い乳がんでは、およそ2,800人に一人の確率でがんが見つかっています。これを多いとみるか少ないとみるかは個人の判断によりますが、検診を受けたことでがんが見つかった早期がんの患者さんは、当然のことながら驚き、動揺されますが、手術で切除すればまだ完治を目指せる段階ということが不幸中の幸いということが多いものです。検診を受けることでこのような恩恵があるのです。

人間ドック

ドックというのは、船が次の航海で事故が起きないように点検や修理をするために入る施設である「dock」という言葉から名づけられたとされています。つまり健康診断の中である程度以上の検査を受け、その結果に基づき医師や保健師から指導が行われるタイプのものを通常、人間ドックと呼んでいます。

がん検診とは異なり、ご自身で人間ドックを行っている医療機関などに申し込んで受診するのが一般的です。検査の内容に関しては病院によって異なりますので、ホームページや電話などで調べてから申し込むと良いでしょう。

虎の門病院・健康管理センターがホームページで人間ドック受診者のがん発見率を公表しています。一か所に限るデータですが、人間ドックではどれくらいがんが発見されるのかの目安としてご覧ください。

人間ドックではがんの早期発見のための幅広い精密検査に加え、生活習慣病に関した検査を組み合わせて行っています。そのため、半日から2日にかけて行うコースが一般的です。

個人で行う場合は数万から十数万ほどで、さまざまな検査を行うため高額になります。まずは年に1回自費での人間ドックを受け、次に治療が必要なところや気になる個所を保険で検査するという方法が良いでしょう。

女性が気になるがん

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国立がんセンターの統計によると、2014年の部位別、女性が罹患するがんの1位は乳がんとなっています。これは2位の大腸がんを大きく引き離す結果です。

さらに、乳がんは年々患者数が増加傾向にあります。自治体が行うがん検診でも必ず乳がん検診がありますし、医療機関などが行っている人間ドックでもレディースコースなどを設定して、乳がんの早期発見を推奨していることからも、乳がんは女性にとって無関心ではいられないがんの一つといえます。

今回はそんな乳がんと、20代、30代くらいの若い世代の罹患率が高い子宮がんの2つの婦人科系健康診断についてご説明します。なお、自費の検査は、各病院で検査代を設定できますので検査代に開きがあります。

乳がん

視触診・エコー・マンモグラフィーの3つの検査を組み合わせると、より精度の高い検診になります。乳がんの早期発見のためには30歳を過ぎたら年に1回検査を行うと良いとされています。

地域によっては乳がん検診として30代以上の女性を対象に無料で行っている場合がありますが、視触診のみのところもあります。乳房にしこりがある、乳頭から分泌物が出るなどの症状があるときは保険が使える場合もあります。

主な検査内容と自費でのおよその費用

  • 乳房触診
  • 超音波検査(3千円~6千円)
  • マンモグラフィー(7千円~1万円)

子宮頸がん

子宮頸がんの罹患率は、20歳代後半から40歳前後まで上昇傾向を示し、その後は横ばいになります。罹患率・死亡率とも最近は若年層で増加傾向にありますので、若い世代から注意が必要ながんです。

子宮頸がんは性交渉でうつるウィルスにより発症しますので、性経験がある人は年齢を問わず年に1回の検診が必要です。地域によっては30歳以上を対象として無料で検診を行っている場合があります。おりものがある、不正出血があるなどの症状がある場合は保険が使える場合もあります。

主な検査内容と自費でのおよその費用

・子宮頸部細胞診(3千円~6千円)

子宮体がん(=子宮内膜がん)

子宮体がんの罹患数は40歳代から多くなり、50歳から60歳代の閉経前後で最多となっていますが30代でもまれではありません。近年は乳がん同様に、食生活の欧米化などによって増加しています。

一般的に子宮がん検査というと子宮頸がんを指しますので子宮体がんの検査は含まれていません。また、卵巣に起こる卵巣がんの検査もしませんので、生理不順、高血圧、糖尿病、肥満、閉経が遅かった人などリスクの高い人はもちろん、そうでない人も20代以降は年に1回は受けましょう。

検査は生理直後のホルモンの影響が少ない時期に受けるのが良いとされています。不正出血などの症状がある場合は保険が使える場合があります。40代以上の女性に子宮体がん検診を無料で行っている地域もあります。

主な検査内容と自費でのおよその費用

・子宮内膜細胞診(3千円~6千円)

人間ドックの追加メニューについて

人間ドックでは、がんの検査以外にも甲状腺の病気や膠原病など女性に圧倒的に多い病気を血液検査で調べることができます。実施機関によりそれらが基本のコースにセットで設定されていたり、追加メニューであったりそれぞれです。

さらに、人間ドックでは異常のあり・なしだけではなくメンタル面での問診が含まれていたり、検査の結果は医師や保健師などが解説してくれるなどの特徴がありますので今後の日常生活の送り方や病気の予防法などを聞くことができるというメリットがあります。

一度インターネットなどで、お住まいの近くの医療機関や健診センターなどでどのような人間ドックが受けられるか見てみると良いでしょう。

終わりに

皆様の中には、今元気なのだから検査を受けるのは面倒臭いと思っている方もいらっしゃるでしょう。何も症状がなければ時間とお金をかけて検査をすることが無駄なようにも感じてしまいますよね。

人間ドックに関しては敷居が高いイメージもあるかもしれません。しかし、この記事をご覧になったということは「検査したほうが良いんだろうな…」と心の中にひっかかるお気持ちがあるのだと思います。

がんに関してはたまたま去年一度だけ検診に行かなかったら、今年になってがんが進行して発見されたなどということが往々にしてあるのです。そうならないように、また皆様の健康維持のためにも本記事が健康診断に足を運ぶきっかけとなれば良いと願っています。

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がん治療専門コンサルタント|がんメディ編集部

がんメディカルサービス株式会社はがん治療の総合コンサルタントです。
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