がんのセカンドオピニオンは必要?タイミングと聞くべきこととは

がんのセカンドオピニオンは必要?タイミングと聞くべきこととは

一昔前までは、「がん=死」というイメージを持っている方も多かったのではないでしょうか。医療の進歩により、がんは高血圧や糖尿病のように長く付き合っていく病気になりつつあります。そうした中、がん患者さんのQOL(生活の質)を上げるのに大切なのが、さまざまな治療方法の中から自分の生活や考え方に合ったものを選択することです。

そのためには、患者さん一人ひとりがんという病気や治療方法についてより多くの情報を得て、理解を深める必要があります。

そして、より多くの情報を得て、患者さん自身が納得できる最善の治療方法を見つけるための手段の一つがセカンドオピニオンです。この記事では、セカンドオピニオンについて詳しく解説します。

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目次

セカンドオピニオンとは

がんは、患者さん自身が正しい情報に基づいて担当医と話し合い、納得したうえで治療を受けることが重要です。そのため、診断結果や治療方法について、担当医とは別の病院の医師に求める「第二の意見」をセカンドオピニオンが必要になります。

ただし、セカンドオピニオンを聞くということは、転院という意味合いではありません。

セカンドオピニオンとは現在の担当医のもとで治療を続けることを前提に利用するものであり、診断に間違いはないのかを確認したり、他の治療法を考えたりするといったニュアンスとなります。

セカンドオピニオンを申し出るタイミング

セカンドオピニオンは、診断や病状の評価が定まっていない状態でセカンドオピニオンを受けても、情報不足で的確なアドバイスを受けることができません。

現在かかっている病院でがんの診断や病状の評価が出ていることが、セカンドオピニオンを受けられる条件となります。

反対に、すでに治療が進んでいる状況の中でセカンドオピニオンを受け、別の治療方法を提案されたとしても、途中から治療方法を変更することは容易ではありません。

そのため、セカンドオピニオンを受ける最適なタイミングは、主治医からファーストオピニオンを受けた段階となります。

ファースト・オピニオンとは、検査や治療を受けるに当たって、患者が主治医から聞く意見のこと。第1の意見。主治医から見た場合には、検査や治療を開始するとき患者に行う説明のこと。セカンド・オピニオンと対比される言葉。医療分野以外でも使われることがある。

ファースト・オピニオン|Wikipedia

セカンドオピニオンを受ける流れ

セカンドオピニオンを受ける一般的な流れは以下の通りです。

  1. ファーストオピニオンを理解する
  2. 病院を探す
  3. 担当医にセカンドオピニオンを受けることを伝え
  4. セカンドオピニオンを受け
  5. セカンドオピニオン後、現在の担当医に報告する

それぞれのプロセスについて、以下から詳しく見ていきましょう。

1.ファーストオピニオンを理解する

セカンドオピニオンは、患者さん自身がより良い治療方法を得るために行うものです。そのためには、最初に担当医から行われるファーストオピニオンの内容を十分に理解することが重要です。

ファーストオピニオンをよく理解しないままセカンドオピニオンを受けても、患者さん自身にとってどの治療方法が最善なのかの判断ができません。

診断名、病状、進行度、推奨される治療法とその理由などをよく聞き、自分で病気に対する理解を深めましょう。

そして、「なぜセカンドオピニオンを受けたいのか」「どういった点に疑問や不安があるのか」を整理したうえで、担当医とよく話し合うことも重要です。話し合いの過程の中で疑問や不安が解消され、セカンドオピニオンを聞かないという選択に至ることもあります。

2.病院を探す

セカンドオピニオンは、基本的にはセカンドオピニオン外来を用意している医療機関でないと受けられません。

そのため、セカンドオピニオン外来のある医療機関の中で、患者さん自身が受けたい病院や医師を決める必要があります。

どこでセカンドオピニオンを受けたらいいかわからない場合、がん診療の連携拠点病院や地域がん診療病院などに設置されている「がん相談支援センター」に相談してみましょう。

ガンの悩み相談についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

3.担当医にセカンドオピニオンを受けることを伝える

セカンドオピニオンを受ける病院が決まったら、担当医に紹介状を書いてもらったり、検査結果などのデータを用意してもらったりする必要があります。担当医にセカンドオピニオンを受ける旨を伝えましょう。

とはいえ、セカンドオピニオンを受けることを担当医に言い出しづらいと思う方がいることでしょう。

患者さんから「セカンドオピニオンを受けたい」と言われて不機嫌になるような医師は基本的にはいませんが、どうしても抵抗がある場合は、がん相談支援センターや看護師など担当医以外の医療スタッフに相談してみてください。セカンドオピニオンを受けることの適切な伝え方などをアドバイスしてくれるでしょう。

セカンドオピニオンについてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

4.セカンドオピニオンを受ける

セカンドオピニオンを受ける際には、まずは受ける病院に連絡をし、必要な手続きを確認しましょう。例えば、受診方法、予約、費用、相談時間、必要書類などを確認しておく必要があります。

セカンドオピニオンの当日を迎える前には、セカンドオピニオンで聞きたいこと、伝えたいことを整理しておきましょう。事前に聞きたいことや伝えたいこと、これまでの検査結果、担当医から言われたことなどを整理しておくことで限られた時間をより有効活用できます。

何を質問したらいいかわからない場合には、がん相談支援センターに相談することをおすすめします。

5.セカンドオピニオン後、現在の担当医に報告する

セカンドオピニオンを受けた後は、セカンドオピニオンで聞いた内容を担当医に報告しましょう。そして、セカンドオピニオンの結果を踏まえたうえで、今後の治療方針について担当医と再度話し合います。

なお、セカンドオピニオンを受けた病院で今後の治療を受けたいという方もいると思いますが、セカンドオピニオン先の病院に受け入れてもらえる場合に限られるという点を知っておきましょう。

セカンドオピニオンで聞くべきこと

最後に、セカンドオピニオンで聞くべきことを整理しましょう。セカンドオピニオンで聞くべき主な内容は以下の通りです。

  • ファーストオピニオンでのがんという診断が正しいのか
  • 治療を受ける際、どのような選択肢があるのか(手術・抗がん剤治療・放射線治療など)
  • どのような治療方法が自分に合っているのか、その理由
  • 再発や転移をしたときに、治療法や使用できる薬剤にはどのような種類があるのか

セカンドオピニオンは事前にきちんと準備をしたうえで受けよう

セカンドオピニオンを受けるメリットは、患者さん自身が納得して治療を受けられる点や治療方法の選択肢が広がる点にあります。その一方で、セカンドオピニオンに必要な費用は、公的医療保険制度が不適用という自由診療扱いのため、医療費負担が増えるというデメリットがあることもあらかじめ把握しておきましょう。

なお、セカンドオピニオンを受けるには、セカンドオピニオン外来を設置している病院を受診する必要がありますが、受診の仕方は医療機関によって異なります。そのため、受診の仕方については希望する医療機関に事前に確かめておきましょう。

井林 雄太

医師|日本内科学会認定内科医・日本内分泌内科専門医

福岡ハートネット病院勤務。国立大学医学部卒。日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。
「一般社団法人 正しい医療知識を広める会」所属。総合内科/内分泌代謝/糖尿病の臨床に加え栄養学/アンチエイジング学が専門。
臨床業務をこなしつつ、大手医学出版社の専門書執筆の傍ら、企業コンサルもこなす。「正しい医療知識を広める」医師ライターとして多数の記事作成・監修を行っている。 

プロフィール詳細

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