甲状腺がんとは

甲状腺がん

甲状腺は、喉ぼとけのすぐ下にある蝶のような形状をした小さい器官です。年齢別疾患率は30歳頃から高くなり若年女性に比較的多いがんです。

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このサイトでは甲状腺がんについて詳細に説明してきました。本記事はそのまとめとして各記事で扱った内容のまとめを行い、皆さんの甲状腺がんに対する知識をより深めていただければと思っています。

まず初めにそもそも甲状腺がんとはなにか、ということについて説明します。甲状腺がんは甲状腺にできた悪性の腫瘍のことで、この甲状腺がんはその構造(組織)によって乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がん、悪性リンパ腫などに分類されています。このように甲状腺がんの種類は多岐にわたり、その種類によって悪性度や進行の速さなどは異なってきます。

目次

甲状腺とは

甲状腺がんの細かい内容に入る前に、そもそも甲状腺とはどこにあり、どのような機能をしているのかについて説明します。甲状腺は俗に言う「のどぼとけ」のすぐ下にある、重さ約10〜20g程度の小さな臓器です。甲状腺からは甲状腺ホルモンが分泌されますが、その甲状腺ホルモンは身体の発育を促進し、新陳代謝を盛んにする働きがあります。その他にも脳の活性化や体温の調節、心臓や胃腸の活性化などの機能を担っています

初期症状と診断

甲状腺にできるがんが甲状腺がんですが、甲状腺がんはほとんど症状が出ないがんとして知られ、検診で行われる超音波検査やPET検査で偶然見つかることがしばしばです。通常は甲状腺部にしこり(結節と呼ばれます)以外の症状はほとんどなく、まれに、違和感、呼吸困難感、嗄声(声のかすれ)といった症状が出てくることがあります。

このような症状や超音波検査など簡便な検査で甲状腺がんが疑われば、次に甲状腺がんの種類やその広がりを確認するため様々な検査が行われます。具体的な内容は下記の記事を読んでいただきたいのですが、穿刺吸引細胞診や病理検査で甲状腺がんの種類を判断します。合わせてCTやMRI等画像検査を行い、甲状腺がんが甲状腺内に留まっているのか、あるいは他の臓器に転移しているのかなどを調べます。

甲状腺がんは症状からその存在を認識するのは非常に困難を極めますが、早期に発見することができれば進行を抑制し予後良好となることが多いがんです。下記の記事では甲状腺がんについての症状や検査、検診にかかる費用などを細かく説明しています。一度目を通し、甲状腺がんの早期発見に役立ていただければ幸いです。

原因と特徴

甲状腺がんの原因として確実とされているのが放射線の被爆です。特に、小児期に放射線の被爆にあうと甲状腺がんになるリスクは上がります。実際に、放射線影響研究所の発表によれば放射線被爆量が多ければ多いほど、甲状腺がんの発症リスクは増加しているという報告があります。

その他にも、乳頭がんは海藻類などをよく食べる国々(ヨード摂取充足地域といいます)で割合がさらに多くなります。また、髄様がんは血縁のある家族内に甲状腺がんになった人がいれば、髄様がんが発生しやすくなるとされています。このように放射線、海藻類、遺伝が甲状腺がんの主な原因とリスクとして挙げることができます。下記記載の記事で甲状腺がんの主な原因と特徴についてより詳細にまとめていますので一度読んでいただければ幸いです。

ステージ別生存率

甲状腺がんだけでなく、がんのステージ別の生存率はそのがんの悪性度を示す指標として用いられます。甲状腺がんにはその大きさや浸潤度合、そしてリンパ節転移や遠隔転移の有無によって病期と呼ばれるステージ分類が決められています。そして、その病期によって5年生存率が異なります。

甲状腺がんはステージ別の生存率を比較してみると、他のがんに比べて悪性度はあまり高くないと言えます。とはいえ、甲状腺がんが進行すれば他のがんと同様、死をもたらしてしまう可能性は十分にあります。

そこで、下記記事では、甲状腺がんのステージ別生存率と平均余命を比較検討しています。ぜひ一読していただき、がんによってどれほど悪性度が異なるのかとういうことを知っていただければ幸いです。

治療と副作用

甲状腺がんには病期やその種類によって治療方法が異なります。標準的な治療は手術であり、補助的に放射線療法や化学療法などが行われます。これらの治療は有効性が示されているため選択されることが多い治療ですが、どんな治療にも必ず副作用を伴うことは当然です。

しかし、そういった副作用をどうとらえるか、治療しないでいることと治療することとを天秤をかけて判断することが非常に重要になっていきます。また、施設によって治療方法の選択肢も異なります。どのような治療方法があり、そのメリットとデメリットはどのようなものがあるか下記の記事でまとめていますので、ぜひ一読して知っていただければと思います。

植村 元秀

医師 | 日本臨床腫瘍学会専門医/臨床遺伝専門医

大阪府生まれ。1997年(平成9年)大阪大学医学部卒業。医師免許取得後、大阪大学や大阪労災病院の泌尿器科で務める。

2006年東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターで、研究を始める。ホルモン不応性の前立腺がんにおいて高発現する新規遺伝子の同定などを行い日本泌尿器科学会総会の総会賞を受賞する。

成果を一流がん専門誌に掲載、それが認められ、アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学に3年間、研究員として留学。
帰国後、大阪大学大学院医学部医学科で、教鞭をとりつつ研究に励む。

その後、大阪大学では、講師、准教授となり、手術などの診療のみならず、後進の指導を行うなども続ける。大阪大学での活動では大阪大学総長賞やヨーロッパなどでの学会で複数回受賞、科研を中心とした公的研究費も多くを獲得するなど、研究活動も熱心に継続。その後、さらに活動を広げるべく、名古屋大学商科大学経営大学院でMBA(経営学修士)を取得。福島県立医科大学医学部の特任教授に招致され、後進の育成や研究の幅を広げている。

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