卵巣がんのステージ別生存率と平均余命

早期発見が難しい卵巣がんは、がんかどうか診断がつかないまま手術を行うこともあります。

また、良性と診断されていても、経過を見ていくとがんに変わっていくものもあります。さらに卵巣がんには様々な細胞の種類があり、進行のスピードや抗がん剤の効きやすさも異なるため、卵巣がんと診断されたら細胞の種類やステージなどについてきちんと理解をして治療を選択する必要があります。

卵巣がんと診断されると、その予後は気になるかもしれません。ここでは最近の5年生存率と平均余命を掲載しました。“5年生存率”はその病気の治療効果を比較するためによく使われます。簡単に表現すると5年生存率はその病気になった人が5年後に生きている確率です。生存率が高い場合は治療効果が得られやすいがんと考えられます。

“平均余命”はその病気の状態の人の半分が亡くなる時期を表しています。どちらの数字も今後も医療の進歩によって改善が望める数値です。あくまで目安として参考にしてください。

目次

卵巣がんの種類と進行度について

卵巣腫瘍の種類

卵巣のできものは卵巣腫瘍と言います。その中には良性から悪性までが含まれ、悪性のものが卵巣がんです。卵巣腫瘍の85%が良性で、悪性の割合は15%です。

卵巣腫瘍を形で分類するとのう胞性腫瘍と充実性腫瘍に分けられます。

※のう胞とは?袋状の中に通常は液体が溜まった病変で、のう胞性腫瘤は中に溜まる物質によって4つに分類されます。

漿液性嚢腫

漿液とはさらさらした液体を意味しており、嚢胞の中に卵巣から分泌されるサラサラの液体が溜まっています。10~30歳代の若い女性によくみられるタイプです。

粘液性嚢腫

粘り気のある液体が溜まってできたもので、閉経後の女性に多く見られます。

類皮嚢腫

毛髪や歯、脂肪などを含んだ嚢腫で、20~30歳代に多く見つかります。閉経後に稀にがんに変わることがあります。

チョコレート嚢腫

子宮内膜の一部が卵巣に発生し、生理の時に出血した血液が溜まってチョコレート色の内容物が溜まります。30~40歳代によくみられ、一部は40歳を過ぎるとがんに変化します。

悪性腫瘍について

悪性、つまり卵巣がんの中では上皮性腫瘍が最も多く(約60-70%)、そのほかに胚細胞腫瘍が15%、性策間質性腫瘍が10%、そのほかに転移性卵巣腫瘍があります。上皮性腫瘍はさらに4つに分類され、多い順に漿液性腫瘍(37%)、明細胞腫瘍(25%)、類内膜腫瘍(18%)、粘液性腫瘍(11%)となっています。

卵巣がんの進行度(ステージ)

進行度とはがんのひろがり具合を表します。卵巣がんのステージは1から4までがあり、一般的に数字が大きくなるにつれ病気のひろがり具合が広いことを表しています。実際にはさらにステージの中でも細かく分類されています。

ステージ1

卵巣あるいは卵管内限局発育(卵巣か卵管内におさまっているもの)

1A
腫瘍が片方の卵巣や卵管の中にあり、表面に顔を出していないもの。

1B
腫瘍が両方の卵巣や卵管の中にあり、表面に顔を出していないもの。

1C
腫瘍が片方もしくは両方の卵巣や卵管の中にあるが表面に顔を出したり、腹水にがん細胞がみられるもの。

ステージ2

卵巣あるいは卵管に存在しさらに骨盤内にもみられるもの。

2A
子宮や卵巣、卵管にひろがったり転移しているもの。

2B
2A以外の骨盤内腹腔内臓器にひろがったもの。

ステージ3

骨盤外の腹膜播種や後腹膜リンパ節転移を認めるもの。

3A
後腹膜リンパ節転移のみを認めるもの、もしくは骨盤外に顕微鏡でしか確認できないような微小な播種を認めるもの。

3B
2cm以下の目に見える腹腔内播種があるもの。

3C
2cmを超える腹腔内播種があるもの。

ステージ4

腹膜播種を除く遠隔転移

4A
胸水中にがん細胞を認める。

4B
他臓器の実質や腹腔外臓器に転移を認めるもの。

卵巣がんのステージ別5年生存率

5年生存率とは

5年生存率は正式には5年相対生存率といいます。病気ごとの治療効果を表現するための数値で、性別や年齢の条件を同じにそろえた上で、交通事故などほかの事故や病気で亡くなる数を取り除き、卵巣がんのある人とない人の5年後の生存数を比較したものです。5年生存率が100%に近ければ近いほど治療効果の高い病気、0%に近ければ近いほど治療効果が出にくい病気ということになります。
がん全体の5年生存率は男性で62.0%、女性で66.9%、全体では64.1%でした(2009~2011年のデータ)。

卵巣がんの5年生存率はどのくらいあるか

2009~2011年の卵巣がんの5年生存率は女性のみが報告されており、60.0%でした。
進行度別では、がんが卵巣内にとどまった状態の5年生存率は92.5%、領域リンパ節にひろがった状態では59.3%、他臓器に転移がある状態では23.9%でした。
ステージ1では92~96%、ステージ2は64%、ステージ3は30~41%、ステージ4は12~28.9%です。

ステージ4の平均余命とは

平均余命とは同じ病気の人が100人いたとき、半分の50人が亡くなる時期を示します。100人の患者の生存期間をすべて足して人数で割った「平均」ではないことに注意が必要です。患者や家族にとっては平均余命はとても気になる数字ですが、がんに対する治療効果を判断するのは平均余命ではなく5年生存率です。平均余命はあくまで目安であり、かなり幅がある数字であることを知っておきましょう。

ステージ4の平均余命

卵巣がんステージ4の平均余命は少数を対象にした調査ですが、2年4カ月となっています。

罹患数と死亡数の推移

罹患数の推移

卵巣がんの患者数は調査開始の1975年には10万人あたり4.0人でしたが、1987年には倍の8.0人、2015年にはさらに倍の16.0人と増加してきています。

死亡数の推移

卵巣がんによる死亡者数は、罹患者数と同様に年々増加しています。1958年の死亡率は10万人あたり1.2人でしたが、1987年では5.0人、2018年には7.5人となっています。

卵巣がんの末期症状とケアに関して

腹水・胸水

卵巣がんの末期で多い症状はお腹に水が溜まる腹水や、胸に水が溜まる胸水です。腹水がたくさんになればお腹が膨隆し胃や腸を圧迫するので食べられる量が減り、また便秘がちになります。膀胱も圧迫するため頻回にトイレに行きたくなります。お腹に水が溜まると胸を押し上げるので呼吸もしづらくなります。

胸に水がたまった場合も肺を圧迫するので息が苦しくなります。こういった水が溜まることによって起きる症状に対しては、大量であれば針をさして水を抜く処置を、少量で症状が軽微であれば利尿剤を使って水を減らす治療を行います。

全身に対する処置

痛みについてはほかのがんと同様に、医療用麻薬などを用いて痛みを取り除く治療が行われます。

食欲不振や吐き気についてはその症状を和らげる薬が使われます。
栄養状態が悪いときには点滴で栄養を補うこともあります。
そのほか精神的な不安が強い場合は、不安を和らげる薬を使うこともあります。

https://rblc.jp/blog/post-255/
http://www.fkmc.or.jp/information/gynecologylist/17049.html
https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/treatment.html
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/search/cancer/nurse/bk/200907/511272.html
https://www.med-takaoka.jp/gan-kyoten/gan-5nen-seizonritsu/
Avatar

春田 萌

日本内科学会総合内科専門医・日本消化器内視鏡学会専門医