手術数で分かる卵巣がんの名医がいる病院ランキングトップ10

卵巣がんの治療で手術はとても重要な意味があります。ここでいかにがん細胞を減らすことができるかが、その後の治療効果や再発予防に大きな影響を与えるからです。そして卵巣がんの手術の難しさは、手術前に予想した状態と、実際に開腹したときの病気の状態が違っていることがある、という点です。そういう意味で卵巣がんの手術は経験の豊富な医師にお願いできると安心です。

どの病院で治療を受けるか迷った場合、その病院では卵巣がんの手術をどのくらいおこなっているか、という情報は1つの参考になります。卵巣がんの患者が多い病院は経験値の高い医者が集まりやすいからです。ここではDPCデータをもとに、卵巣がんの手術件数が多い病院をランキングで表しました。その他に病院選びの際に注目すべきポイントも紹介しています。病院選びの参考にしていただければと思います。

目次

卵巣がんの手術が適応となる症例

卵巣がんでは基本的に手術を行います。手術の目的はがんをすべて取り除く根治目的の場合と、がんすべてを取り除けなくてもがんの量を減らす目的で行われる減量目的の手術があります。

減量目的の場合はもちろん手術後に薬物療法を行いますが、根治目的で手術が行われた場合でも卵巣がんは再発が多いため、術後に薬物療法を行うことが一般的です。まれに先に薬物療法を行ってがんを小さくした後に手術を行う場合もあります。

手術は基本的に開腹手術で、両側の卵巣と卵管、そして子宮と大網(たいもう)を切除します。大網とは網目状の脂肪でできた膜で、胃からぶら下がり、腸と腹膜の間にひろがっていて、卵巣がんは大網に転移しやすいので、転移がなくても再発を防ぐ目的で大網を切除することが一般的となっています。その他に病変のひろがりによっては転移の可能性があるリンパ節や大腸、小腸、脾臓なども切除することがあります。

卵巣がん手術数トップ10

厚生労働省が集計し公表している平成29年度のDPCデータをもとに、卵巣がんに関連した手術件数の多い病院をランキングにしました。


DPCとは病名や治療ごとに決められた医療費の定額支払い制度で、大きな病院のほとんどがこのDPC制度を取り入れています。病院が医療費を請求する場合、主となる病名や行った治療などを報告しなければならないため、そのデータを分析することにより、どの病院でどんな病気の患者が多く治療を受けているかがわかります。

卵巣悪性腫瘍手術のデータ

DPCのデータでは「子宮附属器悪性腫瘍手術」として報告されています。ここには骨盤内臓全摘術や子宮附属器腫瘍摘出術(両側)以外に、後腹膜や骨盤のリンパ節群郭清術、大網切除術、直腸切除(切断)術などが含まれています。

子宮附属器悪性腫瘍手術の多い病院

  1. 公益財団法人 がん研究会 有明病院(179例)
  2. 東北大学病院(80例)
  3. 兵庫県立がんセンター(73例)
  4. 国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院(65例)
  5. 埼玉医科大学国際医療センター(62例)
  6. 順天堂大学医学部附属順天堂病院(61例)
  7. 東京大学医学部附属病院(58例)
  8. 大阪大学医学部附属病院(57例)
  9. 国立大学法人山形大学医学部附属病院(56例)
  10. 茨城県立中央病院(56例)

※数字は年間症例数

手術数以外にも注目したいポイント

卵巣がんでは最初の手術が重要

多くの卵巣がんはまず手術を行ってがんのひろがり具合や細胞の種類を確認しつつ、できる限りのがんを切除します。そしてその後検査結果に合わせて薬物療法を行っていきます。もちろんどのような薬剤を使用するかも重要ですが、卵巣がんの手術は何度も行うことができないのでとても重要なのです。

手術が何度もできない理由としては、卵巣がんの手術は切除する範囲がひろく、手術が終わると傷を閉じる反応が起きておなかの中のあちこちがくっつく、癒着という反応が起きます。

さらに卵巣がんが腹腔内に散在するとがん細胞によって小さな炎症を起こすことでも癒着が起こります。癒着が増えると再びお腹を開くことが難しくなり、手術がより難しくなります。そのため最初にいかに十分がんを取り除くことができるかどうかが重要なのです。そのためにはできる限り手術の経験豊富な病院で手術を行うことが勧められます。

他科との連携

ときに卵巣がんの手術は産婦人科の範囲だけではなく、直腸や脾臓といった消化器系臓器、膀胱や尿管といった泌尿器系臓器を切除しなければならないこともあります。

手術前の検査であらかじめ転移の範囲が分かっている場合は、消化器外科や泌尿器科と連携することができますが、なかにはお腹を開くまで転移が分からない場合があります。

お腹を開いてみたら想定外の臓器に転移があった、そういう場合にどのように対応するのかは重要です。この判断は手術中に行われるため、結果は手術が終わってから聞くことになります。その時に後悔することがないよう、手術前の説明の段階で、そのようなことが起きた場合、その病院ではどのように対応しているか聞いておきましょう。

術中迅速病理診断

手術前の検査では良性の可能性が高いと判断された卵巣腫瘍も、お腹を開いてみると悪性の可能性がでてくる、ということがあります。

良性の卵巣腫瘍であれば、病気がある部分だけを切除すればいいのですが、悪性ならばリンパ節や場合によっては反対側の卵巣も切除しなければなりません。

その時にその病院が術中迅速病理診断可能かどうかは、ときに重要になります。術中迅速病理診断とは手術中に取り出した臓器にがん細胞があるかどうかをお腹を閉じる前までに判断することです。

通常の病理検査と比較して精度は低くなりますが、お腹を閉じる前にがん細胞の存在が判明すれば、そのまま卵巣がんの手術の内容に変更して手術を終えることができます。一度手術を終えてからがん細胞があると判明した場合は再手術が必要になってしまいます。そのため可能であれば術中迅速病理診断ができる病院で手術を受けたほうがより安心でしょう。

がん診療連携拠点病院

がんに関する専門的な医療を提供したり、地域内での連携協力体制を整備などを担う病院で、原則各都道府県に1つ指定されている「都道府県がん診療連携拠点病院」と、各地域で中心的な役割を果たす「地域がん診療連携拠点病院」があります。これらの病院は専門的な知識をもった医療者が所属し、病状に応じた病院間の連携を行ったり、緩和ケアの提供を行ったり、セカンドオピニオンに対応したりします。
卵巣がんと診断されたけれども、どの病院に受診したらいいかわからない場合は、がん診療連携拠点病院にある「がん相談支援センター」に相談することもできます。

治療開始までの期間

卵巣がんは細胞の種類によっては進行の早いタイプもあり、病院選びや治療までに時間がかかってしまうと病気が進行してしまいます。病気が進行すれば手術そのものの負担も増えますし、場合によっては残すことができたはずの臓器を切除しなければならないこともあります。そのため治療開始までの待機時間にも気をつけましょう。

ホームページ上で公開されている治療までの待機時間の目安です。
手術:2-5週間
薬物療法:1-2週間

http://hospital.luke.ac.jp/guide/cancer/schedule.html
https://www.pref.chiba.lg.jp/gan/riyo/gairai/matijikan.html
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春田 萌

日本内科学会総合内科専門医・日本消化器内視鏡学会専門医