手術数で分かる皮膚がんの名医がいる病院ランキングトップ10

小さく転移のない皮膚がんの場合は、局所麻酔で手術ができるため大きな病院でなくとも治療は可能です。

しかし、病気のひろがり具合によっては全身麻酔を要する手術が必要な場合もあります。また状態によっては薬物療法や放射線療法が必要になることがあります。しかし、このような治療方法はどの病院でも可能なわけではありません。では、どのようにして治療する病院を探したらいいのでしょうか?

ここではDPCデータを基に皮膚がんの症例が多い病院や手術をたくさん行っている病院をランキングにしました。病院選びの参考にしていただければと思います。

目次

皮膚がんの手術が適応となる症例

(手術が適応となる皮膚がんと適応外の皮膚がんの違い)
皮膚がんの基本的な治療は切除であり、手術ということになります。しかし多くの皮膚がんは外来で施行することができます。入院を必要とする場合は全身麻酔を要する手術の場合や、基礎疾患の管理が必要な場合です。

皮膚がん手術数トップ10

(DPCデータ又は信頼できるデータでのトップ10病院を紹介)
厚生労働省が集計し公表している平成30年度のDPCデータをもとに、皮膚がんに関連した手術件数の多い病院トップ10です。
DPCとは病名や治療ごとに決められた医療費の定額支払い制度で、大きな病院のほとんどがこのDPC制度を取り入れています。病院が医療費を請求する場合、主となる病名や行った治療などを報告しなければならないため、そのデータを分析することにより、どの病院でどんな病気の患者が多く治療を受けているかがわかります。

皮膚がん手術のデータ

DCPデータでは皮膚がんはまず「黒色腫」と「皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外)」に分かれています。
黒色腫では「皮膚悪性腫瘍切除術等」でまとめられており、通常の黒色腫切除以外に「リンパ節郭清」等の手術も含まれています。

黒色腫皮膚悪性腫瘍切除術等の多い病院

  1. 国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院(53例)
  2. 宮崎大学医学部附属病院(41例)
  3. 東北大学病院(39例)
  4. 国立大学法人 千葉大学医学部附属病院(39例)
  5. 東京都立駒込病院(36例)
  6. 国立大学法人 信州大学医学部附属病院(34例)
  7. 名古屋大学医学部附属病院(34例)
  8. 日本医科大学付属病院(32例)
  9. 国立大学法人三重大学医学部附属病院(32例)
  10. 熊本大学病院(30例)

※数字は年間症例数

皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外)皮膚悪性腫瘍切除術等の多い病院

  1. 国立大学法人 千葉大学医学部附属病院(184例)
  2. 独立行政法人 国立病院機構 鹿児島医療センター(155例)
  3. 獨協医科大学埼玉医療センター(153例)
  4. 名古屋市立大学病院(122例)
  5. 熊本大学病院(103例)
  6. 産業医科大学病院(99例)
  7. 鳥取大学医学部附属病院(95例)
  8. 国立大学法人三重大学医学部附属病院(93例)
  9. 国立大学法人群だが医学医学部附属病院(93例)
  10. 獨協医科大学病院(93例)

※数字は年間症例数

手術数以外にも注目したいポイント

手術を行わない悪性黒色腫の症例数

黒色腫手術なしの多い病院

悪性黒色腫では手術できない症例も多く、その場合抗がん剤等の治療が考慮されます。
ここでは黒色腫で入院したものの手術が行われなかった症例数でランキングを作成しました。この症例数が多い病院は黒色腫に対する手術以外の治療の経験数が多い病院と推測されます。

  1. 浜松医科大学医学部附属病院(211例)
  2. 埼玉医科大学国際医療センター(157例)
  3. 国立大学法人京都大学医学部附属病院(144例)
  4. 国立大学法人三重大学医学部附属病院(142例)
  5. 国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院(121例)
  6. 弘前大学医学部附属病院(117例)
  7. 名古屋大学医学部附属病院(113例)
  8. 東京都立駒込病院(99例)
  9. 杏林大学医学部付属病院(96例)
  10. 国立大学法人 信州大学医学部附属病院(92例)

※数字は年間症例数

ここまでは病院を選ぶ目安に手術数と患者数を取り上げましたが、そのほかにも病院を選ぶ目安がいくつかあります。病院によってはホームページなどで情報公開を行っていますが、ただ単に数字を比べるだけではなく、正しく納得のいく病院が選べるように、それぞれのデータについて正しい知識を得ましょう。

がん診療連携拠点病院

がんに関する専門的な医療を提供したり、地域内での連携協力体制を整備などを担う病院で、原則各都道府県に1つ指定されている「都道府県がん診療連携拠点病院」と、各地域で中心的な役割を果たす「地域がん診療連携拠点病院」があります。これらの病院は専門的な知識をもった医療者が所属し、病状に応じた病院間の連携を行ったり、緩和ケアの提供を行ったり、セカンドオピニオンに対応したりします。

皮膚がんと診断されたけれども、どの病院に受診したらいいかわからない場合は、がん診療連携拠点病院にある「がん相談支援センター」に相談することもできます。

治療開始までの期間

一般的に評判のいい病院は患者が集まり、また全身性の皮膚がんの治療を行っている病院はそれほど多くないことから、場合によってはすぐに入院や治療ができないこともあります。病院にこだわるばかりに治療のタイミングを逃すと診断されたステージよりも進んでしまうことがあるため注意が必要です。
治療に入るまでの期間を公表している病院の平均的な待ち時間は以下の通りです。

手術:2~4週間
化学療法(抗がん剤):2~3週間
放射線治療:2週間

平成30年度DPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」の結果報告について
聖路加国際病院 | がん種別治療待ち日数、入院日数の目安 – がん診療と相談 – 受診案内
国立がん研究センター 中央病院 | 治療・検査待ち期間一覧
参照日:2021年4月

春田 萌

日本内科学会総合内科専門医・日本消化器内視鏡学会専門医