造血幹細胞移植の手術数で分かる白血病の名医がいる病院一覧

白血病治療においては、化学療法を根幹とした治療計画が基本であり、特別な手術を行うことなく完治を十分期待出来る場面も少なくありません。しかしその一方、抗がん剤による治療のみでは白血病細胞を根絶出来ない場合、造血幹細胞移植が適応となることもあります。

造血幹細胞移植はどの医療機関でも受けることが出来る治療ではなく、通常の化学療法よりもさらに高い専門性が要求されます。そのため、より安全に、かつ、より高い治療効果を期待するためにも、最善の医療機関にて造血幹細胞移植を受けることが必要であると言えます。

このページでは、造血幹細胞移植を受ける際に、どういった医療機関で治療を受けるべきか、どういった情報をもとにセカンドオピニオンを行うべきか、などの視点を基にして記載します。造血幹細胞移植により安心して向き合うためにも、本記事を最大限に活用していただけたらと思います。

目次

白血病の手術が適応となる症例

造血幹細胞移植には様々なタイプのものがありますが、基本的には化学療法のみでは根治が望めない状況にて行われる治療方法です。ただし、造血幹細胞移植の適応について判断することは必ずしも容易ではなく、例えば単純に病名のみでは決めることが出来ません。

具体的に考慮される因子としては、白血病細胞の悪性度(化学療法の効きやすさ)はもちろんのこと、化学療法や造血幹細胞移植以外の治療薬の可能性、患者さんの全身状態(小児期のお子さんの方が全身状態がよく、高齢者に比べて強度の強い造血幹細胞移植に耐えやすいです)、造血幹細胞移植のドナー状況などにも左右されます。

また、化学療法のみで再発をきたした場合に造血幹細胞移植の適応になることがありますが、どういったタイミングで再発をしたのか(治療中の再発なのか、10年以上経ってからなのか)、どの部位に再発きたしのか、などの状況によっても、移植が適応になる時ならない時があります。

こうした複雑さから想像されるように、造血幹細胞移植の治療のみならず、そもそも適応になるのかどうかについても高い専門性が要求される部分であると言えます。そのため、造血幹細胞移植を行う必要があるかどうかを正確に判断するためにも、診療に長けた医療機関にて判断を受けることが重要です

造血幹細胞移植の手術数

造血幹細胞移植を安心に受けるためには、医師の専門性はもちろんのこと、看護体制やコメディカルの方の充実度などが、高いレベルで兼ね揃っていることが求められます。国民皆保険、専門医制度などが徹底している日本においては、基本的には各地域毎に造血幹細胞移植を行うに遜色のないレベルを備えた医療機関が整備されています。そのため、多くの場合には、患者さん及び支えとなるご家族の方が生活基盤とする地域において、安心できる医療機関を探されるのが第一の視点であると言えます。

そうした状況を加味しつつも、セカンドオピニオンが必要とされる状況に直面されることも想定されます。造血幹細胞移植件数は都道府県の人口比率に相関する側面もあるため、「移植件数」が絶対的な指標とはなり得ないこともままありますが、セカンドオピニオンに際して一つには「移植件数」に着目することが有意義なこともあります。また、移植が白血病以外の疾患に対して行われることもあるため、白血病治療に特化した数字ではない点にも留意が必要です。

【地域別】移植件数の多い病院一覧

以下には、移植に慣れた医療施設を探したい方のため、造血幹細胞移植件数の多い施設を地域毎にいくつか記載します。先に述べた限界はありますが、こうした情報を一つの参考としつつ病院検索に役立ててください。

(日本における造血細胞移植.平成30年度全国調査報告書.日本造血細胞移植データセンター/日本造血細胞移植学会から引用)

  • 北海道大学 血液内科
  • 東北大学 血液免疫科
  • 国立病院機構 仙台医療センター 血液内科
  • 自治医科大学附属病院 無菌治療部
  • 埼玉県立小児医療センター 血液・腫瘍科
  • 埼玉医科大学総合医療センター 血液内科
  • 自治医科大学附属さいたま医療センター 血液科
  • 国立がんセンター中央病院 造血幹細胞移植科
  • がん・感染症センター都立駒込病院 血液内科
  • 国立成育医療研究センター 血液がんセンター
  • 国家公務員共済組合連合会虎の門病院 血液内科
  • 神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター
  • 東海大学医学部附属病院 血液腫瘍科
  • 新潟大学医歯学総合病院 高密度無菌治療部・血液内科
  • 信州大学医学部附属病院 血液内科
  • 静岡県立静岡がんセンター 血液・幹細胞移植科
  • 名古屋大学医学部附属病院 小児科、血液内科
  • 名古屋第一赤十字病院 血液内科
  • 京都大学医学部附属病院 血液内科
  • 大阪大学医学部附属病院 血液・腫瘍内科
  • 大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター 血液内科
  • 神戸市立医療センター中央市民病院 血液内科
  • 岡山大学病院 血液内科
  • 広島赤十字・原爆病院 血液内科
  • 愛媛県立中央病院 血液内科
  • 九州大学 小児科、血液腫瘍心血管内科
  • 国立病院機構 熊本医療センター

手術件数以外に注目したいポイント

先の項目で記載したように、造血幹細胞移植件数は一つの注目ポイントとは言え、必ずしもそれのみでは患者さんの病状に対して最適な施設であるかどうかを判定することは出来ません。造血幹細胞移植を受けるに際して、その他にもどういった点を加味するべきかをいくつか挙げます。

生活基盤

造血幹細胞移植は、時間軸の中で「点」として完結するタイプの治療ではありません。すなわち、移植当日の治療だけではなく、そこに至るまでのドナーの選択や前治療、移植に関連した急性期合併症への対処、退院後の免疫抑制剤の調整、再発の有無に至るまで、多種多様な状況に対して「線」の観点を持って対応することが求められます。

こうした性質上、患者さん並びにそのご家族の生活基盤を最大限ずらすことなく、治療に向き合える環境を考慮することも大切です。具体的には、容易にお見舞いに行けるか、ご家族が仕事を辞める必要はないのか、家で残されるご兄弟への心のケアも十分できるか、などを例に挙げることが出来ます。生活基盤にあまりにもそぐわない状況ではご家族の生活にまで支障が生じ、最悪の場合には離職や離婚にも発展することもあるため、注意が必要です。

医師の専門性

白血病に対しては満遍ない治療を受けることが出来るよう、日本では専門医制度が整っており、いわゆる標準治療を受けることは保証されていると言えます。

しかし、「白血病」と一言に表してもその分野は多岐に渡るため、難しい複雑な状況では専門医の中でも意見が分かれることも少なくはありません。そのため、「ある白血病のある治療の第一人者」と呼ばれる専門家がいらっしゃることもあります。こうした専門家を探し意見を求めることも、医療機関を選定する上で一つの方法であると言えます。

こうした情報を得るためには、学会発表や論文投稿、医療機関のホームページなどが参考になりますが、医療知識のない患者さんにおいては正確に情報を選択することは難しいこともあります。そのため、「自分の病状について、より治療経験のある医療機関があるかどうか」を、担当医に率直に伺うことも一つの方法です。

この際注意すべきことは、情報源としてはっきりしない情報には振り回されないことです。特に生死が関わる状況では誤った情報を鵜呑みにしてしまうこともあるため、最大限の注意を払うことが求められます。

希少がんセンター | 造血幹細胞移植
JALSG | 造血幹細胞移植療法(骨髄移植療法)
Biology of Blood and Marrow Transplantation
一般社団法人 日本造血細胞移植データセンター | 移植データ
参照日:2019年7月

植村 元秀

医師 | 日本臨床腫瘍学会専門医・臨床遺伝専門医・日本癌学会 会員/評議員・アメリカ癌治療学会 会員・ヨーロッパ癌治療学会 会員

大阪府生まれ。1997年(平成9年)大阪大学医学部卒業。医師免許取得後、大阪大学や大阪労災病院の泌尿器科で務める。

2006年東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターで、研究を始める。ホルモン不応性の前立腺がんにおいて高発現する新規遺伝子の同定などを行い日本泌尿器科学会総会の総会賞を受賞する。

成果を一流がん専門誌に掲載、それが認められ、アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学に3年間、研究員として留学。
帰国後、大阪大学大学院医学部医学科で、教鞭をとりつつ研究に励む。

その後、大阪大学では、講師、准教授となり、手術などの診療のみならず、後進の指導を行うなども続ける。大阪大学での活動では大阪大学総長賞やヨーロッパなどでの学会で複数回受賞、科研を中心とした公的研究費も多くを獲得するなど、研究活動も熱心に継続。その後、さらに活動を広げるべく、名古屋大学商科大学経営大学院でMBA(経営学修士)を取得。福島県立医科大学医学部の特任教授に招致され、後進の育成や研究の幅を広げている。

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