膀胱がん
膀胱は尿とためておく袋です。膀胱がんは発症者数でみると男性のがんの第6位、女性の15位にあたる疾患です。
膀胱は下腹部にある尿をためておく袋ですが、膀胱がんの特徴としては再発しやすいということがあります。膀胱がんは年齢では50歳を過ぎてから増加し、性別では男性に多い疾患です。また、タバコを吸う人に発生しやすい病気でもあります。
膀胱がんの治療は膀胱の壁にある筋層という部分にがんが及んでいるかどうかが、膀胱が残せるかどうかの境界になります。しかし膀胱がんの初期症状は血尿や膀胱炎症状、時には全く無症状ということもあり気をつけていても早期発見が難しいこともあります。
膀胱がんは年々患者数が増えてきている病気です。元気な方はどのようにすれば膀胱がんになりにくいのか、どうすれば膀胱がんを早期発見できるのかについて、膀胱がんと診断された人は膀胱がんとはどのような病気なのか、どんな検査をしてどのように治療していくのかについて、このサイトではそれぞれ細かく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
膀胱とは
膀胱は尿とためておく袋です。左右それぞれ1個ある腎臓でつくられた尿は腎臓の真ん中にある腎盂(じんう)という空間に尿をあつめて腎臓と膀胱をつないでいる左右の尿管によって膀胱に尿を運びます。膀胱では、ある程度尿がたまると尿意が発生し、膀胱の出口にある膀胱括約筋が緩んで、尿道という通り道を通って尿は外に排出されます。
膀胱の壁は層状になっており、内側から粘膜層、粘膜下層、筋層、漿膜の順になっていて、さらにその外側を脂肪組織が取り巻いています。膀胱の働きとしては、尿を貯めておく畜尿機能と尿がたまったときに尿意を感じさせて排尿する排尿機能があります。
膀胱がんの主な原因と特徴について
膀胱がんは発症者数でみると男性のがんの第6位、女性の15位にあたる疾患です。性別で見ると最大で男性は女性の約5倍膀胱がんになりやすく、死亡率も約5倍です。
膀胱がんになりやすい人の特徴としては喫煙している人、糖尿病の人、尿道カテーテルという膀胱から外に尿を出す管を長期間留置している人は発症率が高いと報告されています。そのほかにカフェインの摂取が多い人、昔染色業をしていた人、ヒトパピローマウイルスに感染している人、一部の薬剤でも膀胱がんになりやすい可能性があります。
膀胱がんの分類やステージについて、そして膀胱がんになりやすい人の特徴や予防の詳細については「膀胱がんになりやすい人の特徴や原因リスクについて」をご覧ください。
膀胱がんの初期症状と診断方法
膀胱がんの初期症状で一般的なものは血尿と膀胱炎症状です。
血尿は尿に赤い血がついていれば誰でも気づくことができると思いますが、場合によっては茶色や黒っぽい尿になることもあります。また肉眼では気づかなくても尿検査をすると尿潜血が陽性になっていることもあります。
膀胱炎症状とは頻尿・残尿感・排尿時痛といった症状です。これらの症状は膀胱内の尿に細菌が感染した膀胱炎の時に現れやすいので、膀胱炎症状といいますが、実際は膀胱がんでも現れることがある症状です。50歳を過ぎて、トイレに行ったのに、またすぐに行きたくなる、おしっこが出きっているのに、まだ膀胱に残っている感じがする、おしっこを出すときに痛みがあるいった症状が、続いたり、繰り返される場合には膀胱がんの可能性を考えなければいけません。
膀胱がんの確定診断は膀胱鏡という検査になりますが、この検査は多少苦痛を伴う検査になるので、健康診断などでは膀胱がんの可能性があるかどうかをみる検査として尿の一般検査で尿潜血が陽性かどうかをみます。人間ドックなどのオプションでは尿細胞診でがん細胞を探す検査や、尿を用いた腫瘍マーカーが選択肢として入っていることもあります。画像検査としては腹部超音波検査や腹部単純CT・MRIがありますが、膀胱がんを診断するには膀胱にある程度尿がたまっていないとわからない場合もあり、平らな病変は画像検査では見つけられない場合もあります。
膀胱がんの初期症状から診断までの流れ、検査にかかる費用についての詳細は「膀胱がんの初期症状と検査方法、検診に掛かる費用とは」で紹介しています。
膀胱がんのステージ別生存率
一般的にがんの治療効果を表現するために用いられているのは5年相対生存率です。膀胱がんではない人と比較して膀胱がんの人が5年後生存している割合を表しており、100%に近いほど治療効果の得られやすい病気、ということになります。
膀胱がんの5年生存率はがん全体と比較すると男性は高く(つまり治療効果が得られやすく)、女性は低い結果となっています。ステージ別でみた場合、がんが筋層におよんでいないステージ0~1であれば80%以上ですが、ステージ4になると30%を切ってきます。
病気の経過を別に表現したものに平均余命があります。これは100人がその病気になったときに半分の50人が亡くなる時期を示したものです。
膀胱がんの末期では病変が尿管や尿道を塞ぐと水腎症や尿閉という症状が現れます。その場合には管を通して尿の通り道を確保する処置が行われます。膀胱の外側までひろがると腸管や女性の場合には子宮などを巻き込んだ症状が現れます。
主要な膀胱がんの種類、ステージはどのように決められるのか、そして平均余命、罹患者数や死亡数の推移、末期膀胱がんの症状やケアについては「膀胱がんのステージ別生存率と平均余命」をご覧ください。
治療と副作用
膀胱がんの治療の基本は手術であり、手術は大きく分類すると膀胱をすべて取り出す膀胱全摘術と、尿道からカメラを入れて膀胱の内側を削るようにしてがんを切除する経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)の2つになります。
そのほかに抗がん剤や放射線療法、BCGの膀胱内注入、免疫チェックポイント阻害剤などの治療があります。
それぞれの治療にはメリットとデメリットがあります。基本はがんを完全に体から消し去ることですが、治療によってはその後の生活が変わる場合や、手術をして病変を取り去っても再発予防のために治療を継続しなければならない場合もあります。膀胱がんは再発の多い病気であり、長く付き合うつもりで治療の選択もしなければなりません。
膀胱がんの治療とその副作用の詳細については「膀胱がん治療と副作用について」をご覧ください。
全国の病院ランキングトップ10
どの病院で膀胱がんの治療を受けるかについて考える場合、参考のになるのはどれくらいの数の膀胱がんの患者をみているか、ということです。一般的に患者の数が多ければ、その病院では様々なケースの膀胱がんの患者をみていると推測できます。その際に参考になるのはDPCデータです。DPCとは病名や治療ごとに決められた医療費の定額支払い制度で、厚生労働省から報告されています。膀胱がんの手術数が多い病院は症例数も多いことが予想されるので、ここでは膀胱腫瘍の手術数でランキングを作成しました。
「手術数で分かる膀胱がんの名医がいる病院ランキングトップ10」では実際のランキングや手術の数を載せています。そのほかに病院選びの際のポイントも載せましたので、参考にしてみてください。